TINKERBELL BLOG

茨城県取手市「美容室アトリエティンカーベル」ティンカーベルのスタッフを身近に感じていただければ嬉しいです

快晴の立山

2015年05月28日 | Weblog
先週の薬師岳の興奮も醒めやらぬ中、立山に行ってきました。
先週の薬師岳はいわば立山の代わりだったワケで、今週はプランを日帰りに変更して出かけました。

いつものように夜出の現地泊します。立山へは長野県側よりアクセスし、あの有名な黒部ダムを通過します。
トロリーバス→ケーブルカー→ロープウェイ→トロリーバスの順に乗り継ぎ、室堂まで入ります。平日の始発は7時30分で室堂に着くのが9時25分です。そこから登山開始ですから、ちょっと遅いですね。ちなみに室堂から扇沢に戻る最終接続は、室堂を16時30分に出ないとなりません。

この日は先週とうって変わっての登山日和です。風も穏やかでゴツゴツした稜線も恐怖感なく通過できます。
立山の主峰は雄山(おやま)ですが、最高峰は大汝山です。この2座は登っておきたいですが、一ノ越から雄山と反対側にそびえる龍王岳にも登ってみたいのです。
龍王岳には正式な登山道はないのかな?地図にも道の記入がなく、どこから取り付くのかよく分かりません。とにかく近づいてみることにします。一ノ越にザックをデポして往復します。稜線に出るとスキーヤーが板を担いで登って来ました。かなり大変そうです。いつか僕も立山を滑りたいと思う瞬間でもありました。
一ノ越から裏側の御山谷はとても滑りやすそうな斜面でした。

さて龍王岳ですが、鬼岳に向かうトラバース道にそのまま乗っかると通過してしまいます。どうやら一ノ越から見て正面の岩場を登るようですね。僕は裏側の傾斜が緩いところを這い上がってしまいました。
山頂は狭く、展望は素晴らしいです。風が強いと危なそうです。山頂からは一ノ越に向かって道が付いていました。やはりこちらが正解なのですね。遠くから見ると登れそうもない尖った岩峰に見えるのですが。

一旦一ノ越に戻って雄山に向かいます。ガレた岩場は落石の危険性が大きく、ヘルメット着用が望ましいですね。すれ違ったパーティーの方に『あ、ヘルメットしてますね。よく分かってらっしゃる。ここは簡単に来れるけど、けっこう危ないですからね』と言われました。
まさに僕もそう思います。
現に外国人(特に中国人、韓国人観光客)が勢いで登って来て、それも登山道を外して(よく見て判断しないと簡単に道を外します)上から石を落としてきました。大声で騒ぎながらガンガン来るので怖いです。

雄山までの登りはけっこうキツいです。またまたフラフラになりました。龍王岳に寄り道してたせいもありますが、一緒にスタートした人達はすでに戻り始めています。
でもそこは都合よく、誰もいない山頂でゆっくりと展望を楽しみました。出来れば真砂岳まで行って大走りを下山したかったのですが、この時点でタイムオーバーしたので大汝山までのプランに変更しました。ちょっと悔しいですが、これが今の僕の実力です。
大汝山は岩が積み重なっただけの危ないとんがりです。あまりゆっくりする場所ではないですね。一旦大汝休憩所まで下って、ちょうど良さそうな石の上に腰を下ろしました。
遅い昼食を誰もいないここで済ませました。ちなみに大汝休憩所はまだ半分雪に埋まっていました。

さて、下山です。
下山は得意ですが、ここはゆっくりと降りないと危ないですよ。浮き石も多いし、ルートを見失いやすいです。自分はいいけど、石を落としたらかなり危険ですね。今日は人がほとんどいないですけど、これからの夏山シーズンはおそらく事故も多いと思いますよ。僕だったらハイシーズンは避けたいですね。

ゆっくりと一ノ越まで降りてきました。ちょっと休憩してスノーシューを履きます。ここから室堂駅までは雪が緩み過ぎてツボ足ではツラいと思います。遠回りかもしれませんが、ブル道を歩った方が結果的には早かったです。
ショートカットした前方のおじさんをパスして室堂駅に戻ります。たくさんの観光客がいました。
扇沢に戻るすべての乗り物はほとんどが満タンでした。
それもほとんどが外国人観光客です(笑)

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北アルプス薬師岳その5

2015年05月27日 | Weblog
長いようで短かった3日間も、いよいよ終わろうとしています。
だんだん下界に降りて来た感じが気温の上昇で分かります。あんなに寒かったのにね。

その3でちょっと触れましたけど、危ない箇所があってそこを避けるように樹林帯を上がったあの場所…。
2日目の暖かさで融雪が進み、登山道がだいぶ出てきたので、登りのルートとは別に登山道をなるべく追うようにGPSをこまめに確認しながら下山していました。
そこは、ストンと落ちるように傾斜が強い場所に登山道が付いています。雪がないと、こういうところはジグザグに道が付けられているのでしょうか。それとも鎖場のトラバースか。
ところが雪に覆われると、ただの崖に見えたりします。傾斜は45度はありそうです。もはや登るのも下るのも難しい状況です。
やばい… 登りで避けたあの場所だ。

徐々に傾斜が強くなっていったので気がつくのに遅れてしまったのです。典型的な沢地形の上部です。
上を見ると這い上がる気力を失うほどの傾斜、下を覗くと吸い込まれるような沢地形です。今立っているところは斜面の途中なので、アイゼンを履いたりピッケルに取り替えるなど、ザックを降ろしての作業が出来ないのです。
落ち着け。考えろ…周りをよく観察するんだ。
ちょっと下ると木が生えている。そこがわずかに傾斜が緩んでいるのが目にはいりました。そこでザックを下ろし、12本爪のアイゼンを装置。ピッケルを出してストックをしまいます。ヒラヒラしたタオルなんかも一度しまうことにします。
…さ、行くぞ。
トラバース(横に行く)することに決めました。距離は長くないので、ゆっくりと確実に足場を作って、ピッケルで確保。必要以上に刺激を加えると雪崩とともに奈落の底へ…なんてことが頭の中をグルグル回ります。

ふぅ~ 脱出完了。
雪の状態が良かったのかな、助かりました。さあ気を取り直して先に進むぞー。
途中でこの日初めて人に会いました。
リタイアして間もない感じのお父さんでした。
僕『こんにちは~』
お父さん『一台だけ赤い車が停まってたけどあなたの?』
僕『僕のです。ちょうど雪崩の撤去作業してたところを通してもらいました』
お父さん『いや~、途中迷ってしまってコイツ(GPS)がなかったら無理でしたよ』
まったくですね。残雪期は難しいですよね。
お互いの情報を伝え合って別れました。お父さんの背中には25kgの荷物が乗っかっていました。
お父さんは以前、燕岳で5月末に猛吹雪にみまわれてからというもの、怖くて冬山装備のすべてを持ってきてしまうんだとか。ま、僕も24kgですから似たようなもんですけどね。

どんどん暑くなってきます。それだけ終わりの時が近づいているということですね。
やがて、上から自分の車が見えてきました。やれやれ終わったな。

一通り片付けて温泉に向かいます。なんてったって3日ぶりの風呂ですからね。どこに入ろうか迷ったあげく、導かれるように『ガーテンホテル焼岳』に吸い込まれました。
残念ながらレストランは休みだったのですが、お風呂だけ利用させてもらうことにしました。なかなか広くていいお風呂でしたよ。
屋根つき露天風呂の奥にはなんとなんと!ななななななんと!!
混浴の露天風呂があるではありませんかぁー! これはどうしたもんか…。
入り口に混浴の利用方法が書いてありました。
どうやら湯衣(ゆあみ)を着用するらしいです。それなら入りやすいかも。
さ、どうする俺。人生初の混浴体験、ここで行かなきゃこのブログも面白くならないってもんでしょ。
よーし、突撃だーっ。

まず目に入ったのが、掃除してない湯船。…と思ったら、これがこの温泉の名物『うぐいすの湯』らしいです。一応、「エメラルドグリーンに輝くお湯が…」という触れ込みでしたが、どうみてもこれは青コケというか、藻というか…。では念のため入浴します。
おおおー 混浴の湯船に入ったぞー。
なんかヌルヌルするなぁ。変な油っぽいアブク立った気泡も浮いてる。すぐに上がりました。
そしてその奥に『瀑泉洞』という洞窟のような雰囲気のお風呂がありました。そろーりと浸かってみます。
うん、こちらは湯加減もよろしくいい感じです。
さて問題の混浴の雰囲気は…
だ、だ、誰ひとり入っていませんでした。(笑)
おかげで僕の混浴体験はなんとマヌケな結末を迎えたという訳です。でもね、気兼ねなくこのホテル自慢の湯に浸かることが出来て満足しました。また寄ってみたい温泉の1つになりました。

そして帰り道、中央道の集中工事渋滞に身をゆだねることとなり、11時30分に下山して、お風呂と食事も含めてですが家に着いたのが23時30分と12時間後でした。
山も家も遠かった…

おしまい。


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北アルプス薬師岳その4

2015年05月26日 | Weblog
太郎平小屋の冬季解放部屋を利用させて頂いた僕、小屋にはやっぱり僕1人きりでした。今夜は当然のごとく目覚まし時計を音を出すようにセットします。
早い時間に寝たので、余裕を持って早めに起きました。時間は午前2時半です。
ゆっくりと朝食を採ります。ま、朝食と言える時間ではないですけどね(笑) 山ではよくあることです。メニューは昨日の晩ご飯の残りを温めたものです。ちなみに麻婆春雨とごはんでした。
あまり食欲が湧かないですね。でも食べておかないとバテてしまいますから。

まだ暗い時間ですが、星空でも眺めてみよっかなー ガス晴れてるかなー。
えっ!ええっ!
雪です。
冷え込むとは分かっていましたが、雪は聞いてないよ。スキー場で降る雪とは訳が違うんだから。やべー緊張する。
持ってきた防寒着をすべて着込みます。厳冬期とはいかないものの、めちゃくちゃ寒いです。バラクラバ(目だし帽)も持ってるし、薄手で軽いダウンも持ってきた。何よりも厳冬期用のハードシェルも念のため持ってきました。完璧か…
ああああああー
グローブが薄手だ。これはマズいぞ我慢出来ないレベルになったら一大事だぞ。まてよ、確かにオーバーミトン(グローブの上に重ねる空気の層をつくるグローブ)も持ってきたはずだ。まず探すんだ、どこかに潜っているかも知れないぞ…。
な、ない…。
デポして来ちゃったんだ、きっと。
落ち着け落ち着くんだ。なにか方法はないか?ビニール袋?
あ!あるあるシュラフやシュラフカバーの袋を使うんだ!
左右大きさは違うし、ヘンテコだけど仕方がない。よーし行くぞー。

やがて天候は回復し、雲はどんどん流れていきます。このあと関東地方は雷に見舞われたらしいですね。
山の天気は変わりやすいけど、本当にそうですね。
稜線から太陽が顔を出し、視界もどんどん良くなります。
今回は夜中に気圧の谷が通過してくれたので良かったですけど、これが早かったり遅かったりしたら危ないですよね。
天気予報も精度が良くなってきていますが、山はひとつ谷を挟んだだけで変わったり、稜線の左右でまったく違う天気だったりします。
良く調べて来てはいるけれど、あとは的確な判断をしないといけませんね。嫌な予感ってありますよね。
それをバカにしないことですね。

さて、目の前にある大きな山を越えて北ノ俣避難小屋に戻ります。デポしたはずの水がなかったので、誰かに持っていかれちまったかな?とも思ったのですが、どうやら僕の勘違いですね。あまりに重い荷物だったので、1リットルザックから抜いたんだったな。
仕方ないので、雪を溶かしてラーメンを作ろうと思いましたが、持ってきたスコップも歯がたたないぐらいカチコチでした。
もう少し気温が上がって雪が緩まないとダメだな。なので食事は行動食だけで我慢することにしました。
3日目になると飲む水もギリギリになってきました。
しばらく歩いていると気温も上がり、雪も緩んできました。そこら辺を掘って雪を口に入れ、水を含んで溶かして飲みます。山に登り始めた頃は気持ち悪くて出来なかったけど、これで具合悪くなったことは一度もありません。
人間ってスゴいですよね(笑)

順調に高度を下げています。
雪のウネリや登り返しはキツいけど、無事下山できそうだな…

ところが…今回ばかりはそうもいかなかったんですよ。
一瞬頭が真っ白になった僕…。

その5(完結編)に続きます。
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北アルプス薬師岳その3

2015年05月25日 | Weblog
『僕はいつでもコロンと寝れますから、気にせず夜を楽しんで下さい。そのかわり明日の朝早くからゴソゴソやります(^^)』
と言って一夜限りの同居人よりも先にシュラフに包まれます。タイマーをバイブレーションにしてセットします。3時15分起床予定です。
zzz…

暗闇の中で一瞬目覚めました。時間は2時、まだ寝れるな…zzz
はっっ。
再び目覚めると午前3時10分。起きるとしますか。えーっとタイマーは… あれ?ない。シュラフの中の奥の方に姿をくらましていました。あぶねー、この状況で寝坊はまずいです。
朝食を済ませて出ようかとも思いましたが、さすがに迷惑だなと思いました。歩きながらエナジージェルとシリアルバーで済ませることにします。
スノーボーダー2人組みに目で挨拶して先発しました。まだ暗がりの中ですが、やんわりと見えます。
雪が堅くしまり、滑りやすくなっています。ゆっくりとスタートし稜線を目指しました。

あれだけもうダメだと音を上げていた身体が一晩でずいぶん回復し、順調に高度を稼いでいきます。やがて辺りは明るさを取り戻し、穏やかな朝を迎えました。
一旦なだらかになり、さらに現れた目の前の北ノ俣岳がとてつもなく大きく感じます。なかなか越えられない感覚に襲われました。
一歩ずつ…とにかく一歩ずつ詰めてやっとの思いで稜線に立ちました。冷たい風に襲われ、一枚羽織ることにしました。
黒部五郎岳が大きくそびえ、去年登った水晶岳と鷲羽岳、赤牛岳も丸見えでした。そして向かうこの稜線の奥に目指す薬師岳があるはずです。
雪解けが早いとはいうものの、稜線上の全ての雪が無くなっている訳ではなく、進むべき方向を何度も確認しながら歩みます。
吸い込まれるような斜面をトラバースするように登山道がついているようです。ここは危険だ… 樹林帯を這い上がって回避します。帰りも気をつけなきゃ… ここが雪崩て谷に吸いこまれたら、雪解けまで見つかることはないだろう。(のちにこのポイントで苦しむことになろうとは思わずに…)

しばらくすると太郎平小屋が見えて来ました。その手前のピークが太郎山だな?
太郎山の山頂は平に近く、そこでハイマツの影に隠れて風を避けながら食事をとることにしました。(画像は太郎山から見た薬師岳)
簡単で早いカップ麺にしました。ニンジン、ほうれん草、ごぼうの乾燥野菜を入れるはずだったのですが、昨日の2人組みが野菜を切って用意していたのに忘れてきたー と嘆いていたので、あげてしまいました。なので野菜はなし。
お腹を満たし再び出発です。

太郎山から見ると、手前が大きく落ち込んでいるように見えます。薬師峠です。
ここを越えると登山道は大きく右に巻いていきます。ですが、当然登山道は雪の下なので道が出ている訳ではありません。雪の上をショートカットしたつもりが、ハイマツに阻まれて通過困難です。あと5mがどうにも抜けられません。急がば回れとはまさにこのことですね。
それでもなんとか登山道に復帰すると、そこからはグッとと高度を稼いでいく雪の斜面です。さすがにここはアイゼンを付けました。キックステップでもいいのですが、体力の消耗が激しいので、わずかなスリップも避けたいがためです。

急登が終わると薬師岳小屋が現れました。ここは完全に閉鎖されています。目の前にはドーンとそびえる頂が見えます。
『あれが薬師かな?』
山頂に祠のようなものが見えます。ザレた登山道をジリジリとジグザグに詰めていきます。ここも急登です。やっとやっと辿り着くと山頂標識はありません。
『えーっ(T_T) まだか』
そのさらに奥に鎮座するのが目指す薬師岳山頂ということになります。

きたーきたきたきたー(^o^)
いやー長かった、本当にキツかった。すべて標準コースタイムオーバーでした。いい経験になりました。やっぱり雪があると時間かかりますね。
しばし山頂からの展望を楽しみ、セルフタイマーで記念撮影をしました。山頂には僕1人きりです。

さて、あまりゆっくりもしていられません。ここは北アルプスの最深部です。
雲も上がって来てます。予報ではこれから気圧の谷が通過します。さほど天気が崩れなければいいのですが…。
登って来た道をどんどん下ります。あっという間に薬師小屋、そして登り返してさらに急斜面を下り太郎平小屋に到着したのが14時でした。
すると間もなく視界が無くなるほどガスに包まれました。
天候がもてば北ノ俣分岐を越えて避難小屋まで戻るつもりでいました。雪の中でガスに包まれると上も下も方向さえも分からなくなります。むしろこの時間にこの場所でガスに包まれて良かったのかもしれません。
ここは潔くあきらめて、予定通り太郎平小屋を使わせていただくことにします。

食事をして、明日の準備を整えシュラフに潜ったのが16時。寝付けない時間なので、睡眠導入剤を利用します。一粒のんで横になりました。
…1時間経っても眠くならない。
…2時間経っても眠れない。
人間、疲れ過ぎると眠れないのか?
だめだもう一度服用した方が良さそうだ。
一度起きて薬をたしかめると、なんと僕が服用したのは胃薬でした(^^;)
これは眠くなるはずもないですね。今度こそ導入剤を服用してお休みなさーい。

あっさりと眠りに導かれていきました。その頃、小屋の外で起こっていることに気付く訳もなく…

その4へ続きます。
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北アルプス薬師岳その2

2015年05月24日 | Weblog

飛越(ひこし)トンネル登山口から山頂を目指して歩くわけですが、そのトンネルまでの林道で雪崩が起こって道をふさいでいたお話しは「その1」でしましたね。
その雪崩で電柱がボッキリ折れて道路上に横たわっていました。かろうじてその横をすり抜けることが出来ました。道路を管理する方々は毎年これを整備していくわけですよね?それもあちらこちらで。大変ですよねー、ありがとうございます。

さて歩き始めてすぐに倒木のお出迎えを受けたわけですが、『ここはどうだ?』とか『こんなのはどうする?』とかまるでアスレチックのようでした。重い荷物を担いでいる者としては『くそーマジで?』とか『えーっ、どうするのこれ』なんて言葉をついついつぶやいてしまいます。
一カ所腹の高さほどの倒木がありました。傾斜のついた登山道ですから、見上げる形になって上を越えるのはちょっと無理です。ではくぐるしかないな…。かかんでくぐり抜けようとすると、背中のザックが引っかかってしまう。リンボーダンスでくぐり抜けようとするものなら、ひっくり返ってバックドロップで失神間違いなし。仕方ないので腹ばいぎみに行きました。こりゃあ先が思いやられますね。

飛越トンネル登山口には当然僕の車だけしかなく、他の入山者は期待できない、つまりトレース(足跡)もなし。その前に付いていたであろうトレースも雨と融雪で消えていました。
しばらく喘ぎながら登っていくと、うっすらとスキーで登った跡が付いていました。さすがにもう滑るには難しい状況だと思いますが、最後に山頂付近のカールを滑るんだろうと思いながらその薄いトレースを追いました。
僕は歩きなので登山道であろう付近をあまり外さないように、かつ歩きやすそうな部分を縫うように進んでいきます。木の根本部分が蟻地獄のようにバックリと開くんですけど、落ちたら人間が見えなくなりそうな深さのところもあります。
スキーのトレースはいつしか担いでの登坂に変わり、足跡の形からスキーではなくスノーボードだと分かりました。2人組みのパーティーですね。

登りながら肩に食い込むザックの重みもさることながら、体力の無さに一抹の虚しさを覚えます。山に登り始めた頃はもう少し軽快だった気がします。つまり年齢的な衰えなのかな?って…。
ツラくてツラくて、雪の上にへたり込んでしまったり仰向けに寝ころんだりしながらもやっとの思いでたどり着いた避難小屋にはスノーボーダー2人組みが陣取っていました。
『こんにちはー、お疲れ様でーす』
お互いに挨拶を交わし、いろいろと今日の行程と明日以降の予定を報告し合い、情報収集します。

今日の宿は北ノ俣避難小屋です。(画像)
避難小屋というのは、ほとんどが管理人不在でまさに避難するための施設です。基本的には緊急時以外は使ってはいけないという事になっていますが、ここを利用しないとかなり厳しいという場合には登山者たちは計画に織り込むことがあります。
さまざまな大きさや形の避難小屋がありますが、ここ北ノ俣避難小屋は狭いです。快適に利用できる人数は5~6人っていうところでしょうか。そして小屋そのものが傾いていて老朽化が進んでいます。
僕はお昼頃から入山したので、この避難小屋に泊まることを考えていました。
当然鍵などはかかっていないので、誰でも入れます。利用者は掃除をしあとを濁さないように出ていきます。見ず知らずの者が隣同士になることもあります。気が合うこともあれば、その逆も有り得ます。もちろん誰もいないこともあります。
誰もいないと夜中怖いぐらいですが、気を使わなくていいという利点の方が大きいかもしれませんね。

僕『ご一緒させていただきまーす。どこから入られましたか?』
2人『飛越トンネルからですけど、雪崩の手前に車停めたら、工事の人がトンネルまで乗せてくれたんですよ』
僕『おー、それはラッキーでしたね。でも雨降ってましたよね』
2人『もうジャンジャン(笑) のっけから心が折れそうでした。いや~キツかった。ここまで6時間ですよ』
僕『僕もちょうど6時間です。やっぱりその位かかるんだぁ、もう死ぬかと思いましたよ(笑)』
2人『(爆笑)僕たちも死にそうでした。それから僕らに気を使わないで下さいね、早出されるならバリバリ音出して構いませんから』
僕『ありがとうございます(笑) 明日は4時頃出たいと思っています』
2人『僕らはのんびり5時頃って感じですかね。黒部五郎岳から鏡平に下山します』

こんな会話を交わし、僕は明日薬師岳の山頂にアタックするための装備を整えます。
要らないものはひとまとめにしてこの避難小屋にデポします。明日の行程も長いので、状況によっては太郎平小屋の冬季開放部分を使わせていただきます。
多くの山小屋は冬山での遭難を防ぐため、小屋閉めのあとも室内に入れるように鍵をかけずに開放しています。事前に管理者に電話で確認し、許可をとっておきました。
管理人さんは、登山届けの提出の義務と下山後に念のため電話を入れてくるように話してきました。その声は少し厳しく感じました。まだ危ない時期ということもあって、不安を感じたのでしょうね。

スノーボード2人組みうち1人は太郎平小屋で繁忙期に手伝っていると話していました。小屋のことを事前に教えてくれて、助かりました。この先に危険箇所がないか、雪の状況はどうかおおまかに把握することが出来ました。
スノーシューや3日目の昼食、着替えの一部をデポすることにしました。アイゼンとピッケルは必要かどうか太郎平小屋の彼に相談しましたが、使わないと思いますけど…と言葉を濁します。結局悩んだ末、保険として持つことにしました。
これが無ければ2kgは軽量化出来るんですけどね…。

2日目の夕方から翌朝にかけて気圧の谷が通過する予報で、風も強まりその後グッと気温が落ちるということです。
アイゼンは早朝の雪が固い時間帯に使うかもしれません。
考えが決まって、早々に横になることにしました。

その3に続きます。
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北アルプス薬師岳その1

2015年05月21日 | Weblog
3連休させていただいて、申し訳ございませんでした。
おかげさまで、思いっきりリフレッシュさせていただきました。ありがとうございました。

そして僕はやっぱり山に行きました。
せっかくの3連休ですから、なるべくなら時間かけないと登れない山に行かなくちゃね。
何日も前から天気予報とにらめっこ。結局初日は雨がらみで、2日目は風が強いもののいい天気、3日目は気圧の谷の通過に伴い一時的に天気が崩れ、その後回復はするものの気温が一気に落ちるという予報です。

まず、風速20メートル近い風が吹くということで、足元のおぼつかない山は落ちたら死ぬのでヤメ。
いろいろ考えたけど、不安を抱えながら行くのも嫌だし、標高の低い山でテント張ってのんびり縦走なんていうのも悪くないかな。
なんて思っていました、少なくとも休みの前の日の夜までは…。

それではどこにしようかな。
とりあえず初日は雨だし、家でのんびり支度して2日目と3日目で出かけよう。
深夜0時を回った頃、最後にもう1度だけあの山の天気を調べてみよう…。

ん?これは?
好転してきたかも。
僕が考えているボーダーラインぎりぎりで行けるんじゃないかな?
よーし決めた行くぞー!
慌てて確実にパッキングして出発は午前2時。中央道入ってすぐに寝て、現地入りはお昼頃の予定です。
ちょうど雨も上がる頃かな?

こんな時、文句もいわず驚きもせず送り出してくれる女房には感謝しています。どうもありがとう(^^)
さて、そうと決まったらトコトン楽しもう。そして気を引き締めて行こう。

ということで、向かった先は北アルプス薬師岳。
冬でも割と登りやすい山ですが、なんせ山頂までが遠いのです。5月半ばとはいえ山そのものがまだ雪だらけです。
残雪期は残雪期特有の難しさがあると思います。
まず、登山道が出たり隠れたりして、どこをどう歩くかルートを自分で決めないとなりません。さらに、登って来たルートは降りる時に間違いなく状況が変わっています。つまり同じ道を戻れない可能性もあるということです。本当に本当に気を引き締めて行かないとなりません。

念のため事前の情報収集は済ませてありました。山小屋はまだ営業前ですし、アクセスポイントもまだ冬季通行止め。話によると別の登山口も途中で雪崩たらしく、登山口3km手前からのスタートです。
一応林道を管理している行政に電話で確認すると、現地はまだ冬季通行止め(トンネルがくぐれない)なので(でもトンネルまでは行ける)状況は分からないと。
雪崩た事実を話すと、『えっ?そうですか。ではその手前までは入れます。』ということでした。
仕方ない、最悪はそこから歩くしかないな…。
ところが、現場にさしかかるとなんとブルドーザーで今まさに片側が除雪されようとしています。
きっと行政が手を回してくれたのでしょう。
作業員に話すと、不思議そうな顔で道をあけてくれました。
思いがけず、第一関門突破です。

雨は最後にザッと降って止みました。時間通りです。ここまではうまく行っています。
車の鍵を閉め忘れて登り始めて、戻って来てピッと押すと逆に閉まっちゃったりしたことも何回かあるので、念入りにチェック。
今回は3日間ですから、ミスは許されませんね。確認してスタート。

登山届けを出して、山に足を踏み入れるやいなや、倒木の嵐。雪の重みに耐えきれなかった樹木が信じられないほど行く手を阻みます。
バキバキいって強行突破していきます。
さて、登り始めるとすぐに雪だらけです。中途半端に溶けているので踏み抜いたり、グチャグチャだったり、どこを歩いているのか分からなくなったりします。
確実に地図だけでは無理です。
昔の人はすごいなぁ… 今はGPSという文明の力があるから僕みたいな人間でもなんとかなるけど。

さてさて、この先何が起こるのか…。肉体と神経をすり減らしながら、その2へ続きます…。
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連休のお知らせ

2015年05月16日 | Weblog
毎度ご利用下さいまして誠にありがとうございます。
5月の連休のお知らせです。
19日火曜日から21日木曜日までお休みをいただきます。
お間違いになられませんようにお願い致します。

さて、数少ない僕らの3連休。
山に行こうと荷物をパッキングしてみたところです。
天気はどうですかね。

そういえば、先日車を洗いました。
買ってからまだ一度も拭き上げたこと事がありませんでした。
3日前に洗ったのですが、初めてピカピカに拭き上げました。その後お天気が良かったので自転車通勤しました。
今朝は雨です。
一度も乗る事なく雨です。
こんな僕の連休は計画通りに山に行けるでしょうか…。

今日明日ともにご予約多めです。
お早めにお電話下さいね(^ー^)
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梯子が多いぞ石裂山

2015年05月12日 | Weblog
台風が近づいているので、遠征はやめてまた前日光に行きました。
ここは鹿沼から北上したところにある石裂山(おざくさん)です。
標高は800mをちよいと超える程度ですが、岩の多い痩せ尾根的な山ですね。
いつものように前夜のうちに現地入りします。毎度のことですが、暗い山道は気分が良いとはいえませんね。よく動物が飛び出して来ます。
今日は野ウサギをひきそうになりました。スピード控えめなので、大丈夫でしたが、そういうものだと思っていないと危ないです。

さて、山。
神社の先に無料駐車場があるのでそこに車を停めます。最初は普通の山道。だんだんと傾斜を増していき、梯子が次から次へと出現してきます。特に危険と感じるところは無いのですが、何かの拍子で落ちると怪我では済まなそうです。
実際に死亡事故も起きています。

左巻きに尾根へ詰めていくと、東剣ノ峰へたどり着きます。そのまま尾根を行くと西剣ノ峰、そして本峰石裂山、さらに月山と狭いながらにもひしめいた峰を抱えていました。

アカヤシオが満開でしたが、数としてはそう多くないですね。聞くところによると花の百名山に指定されているとか?
あと何の花が咲くのだろうか…。

標準コースタイムで3時間半程度で周回出来ます。ここを2時間半で回りました。
ま、軽い山です。
家から連絡があり、風が強くなってきたから気を付けてと。でもここはまだ穏やかです。よく調べて行ってますので、そのあたりは予報通りということになります。思いのほか雲も薄く、それなりに展望もありました。

先週登って眺めた男体山、女峰山、大真名子山などが見えています。
お昼ご飯を担いでいましたが、時間的に短いのでお腹も空かずパスしました。ドリンクも200ml程度しか飲みませんでした。

ここはどうやら熊もまれに姿を見せるらしく、日光界隈は出現率多めですね。
あっさり下山しましたが、傾斜が強いのと、まだ山の身体になっていないせいか膝にストレスを感じました。少し身体も絞らないとハイシーズンは辛いですね。

さてさて、天気が崩れる前に帰りましょう。
このあたりは温泉もないので、このまま退散します。
午後は病院(整形外科)にかかる予定です。実はバネ指を患っていまして、このまま悪化すると仕事がキツいのです。加齢と職業病ですかね(笑)
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ゴールデンウィークは?

2015年05月06日 | Weblog
みなさんゴールデンウィークお疲れ様でした(^^)
あちらこちらで今年も賑わったようですね。毎年、事故が起きていますが、危ない思いはしませんでしたか?

僕も当然家族サービスです。
東日本大震災以降、キャンプから遠ざかっていました。
久しぶりにキャンプしたいねーと言うことになったのですが、昔のように大きな車ではなくなったので、荷物も積めません。
じゃバーベキューしようよ。ってことで、調べてみたら、小貝川の河原で出来るところがありました。
藤代スポーツセンターの野球のグラウンドの後ろの河川敷が、予約なし利用料不要のフィールドになっています。
こんな近くに良いところあって取手もナイスですよね。

朝ゆっくり起きて、荷物を積んで、途中のスーパーで買い物して、それでいい感じにお昼前からバーベキュー。慌てなくていいのが最高でしたよ(^ー^)

焼き肉はもちろん、ホッケやアワビやホタテなんかのシーフード、バナナの包み焼きにシナモンシュガーをかけたもの、焼きトマトなど思いつくままに皆で食べまくるのです。
たまにはいいなと感じました。

ささっ、みなさんも明日からいつも通りに戻りますね。張り切っていきましょうね(^ー^)


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