ここからはずっと海沿いを歩いて行きます。
海沿いと言っても海はほとんど防波堤により見えませんでした。
千年希望の丘11号丘付近に「千年希望の丘長屋釜」があり、そこには「津波に耐えた大銀杏」もありました。
今ではのどかな風景ですが、震災当日の津波を想像するとなんとも言えない気持ちになります。
そして「東日本大震災慰霊碑」がありました。
恐かったでしょう、苦しかったでしょう、辛かったでしょう、悲しかったでしょう···。
鼻と目の奥がツンとなりました。
慰霊碑がある「千年希望の丘相野釜公園」を振り返ると、昔の風景画がありました。
左手前の看板をよく見て下さい。
今は··· のっぺりとした土地になってしまいました。
ひたすら北上します。
さらに海寄りの道になりました。
行き交う車はほとんどが工事関係車両です。
歩道の補修をしていました。
警備員のおじさんが丁寧に誘導してくれました。
いつも思うのですが、挨拶してくれて感じ良い方が多いのです。
暑いのにヘルメット、長袖でたいした交通量無くてもずっと立っているという仕事は大変だなと思います。
僕はいつも『ご苦労さまです。ありがとうございます』と労うようにしています。
その警備員のおじさんが僕に話しかけてきました。
『ここに来る途中で見かけましたよ。ずっと歩いて来たんですね。頑張って』と。
みちのく潮風トレイルのことを知っているようです。
僕は『はい!ありがとうございます』と言ってお辞儀をしました。
仙台空港の脇をかすめて行きます。
「北釜防災公園」も千年希望の丘の造りとなっています。
通過しましたが、未練が残ってしまい、戻って丘に上がりました。
写真ではよく分からないと思いますが、ANAの実機がありました。
小型のセスナ機が一定間隔でどんどん着陸してきます。
こんなに来るもんなんだなぁ。
しかし、なんであんなものが空を飛ぶんだろう。
だいぶ疲れてきました。
なんだかかかとが痛いと思ったら、大きなマメ(幅3.5センチ✕1.5センチぐらいの水疱)になっていました。
コロナウイルスによる自粛は僕のかかとが柔らかくなるほどの期間、足止めを強いていました。
名取市に入ります。
名取には「トレイルセンター」があります。
ほとんどの情報はここから発信されます。
が、本日火曜日は定休日です。
残念ですが、外から眺めるだけで終わりました。
名取川を渡ります。
ここは閖上地区です。
閖上(ゆりあげ)といえば僕がまだ小学生低学年の頃、仙台のおじいちゃんに連れられて釣りに行ったのを思い出します。
近くに橋があったのを覚えているのですが、川幅はこんなに広くなかったので、たぶんこの河の支流だったのでしょうね。
今では全然わからないほど変わり果ててしまいました。
おじいちゃんはいつも僕に優しかったです。
あの日結局1匹も釣れなかったんだよなぁ〜。
わがまま言って連れてきてもらったのに、釣れなくてブスくれてしまう可愛くない少年でした。
そう、僕の両親は仙台出身なのです。
だから、だからここを通るのが何となく辛いです。
みちのく潮風トレイル歩くことにしてからというもの、ずっとずっと気にしていた場所です。
やがてルートは自転車道路に入りました。
ずっと手前から自転車道路はありましたがここで合流することになりました。
とにかく長いです。
自転車だとなんでもない距離ですが、歩くにはとても長く辛いです。
景色も全く変わらず見所もありません。
右手には水路があり、たくさんのカモが僕が通るたびバタバタと飛び立っていきます。
釣りしてる人(柵を乗り越えちゃっていいのかな?)も何人かいましたが、誰一人釣れているところは見れませんでした。
ふと左手に鉄パイプで造られた通路のようなものが目に入りました。
その奥には木道が続いていました。
おじさんがこちらに向かって歩いてきます。
なんとなく1人でいたかったので追いつかれないようにしていました。
実はここを通るの少し前に女房からLINE入ってきました。
『膝痛くない?』と。
膝は痛くないんだけど、かかとにでっかいマメが出来たんだよと返答しました。
ところがそのすぐあとから膝に違和感が出ました。
皆さんが痛くなる膝のお皿の下ではなく、スキーで切ってしまった内側側副靱帯の古傷が痛むのです。
スピードががっくりと落ちてしまいました。
後ろからさっき木道から出てきたおじさんが少しずつ少しずつ近づいてきます。
話しかけられて歩みが遅くなるのが嫌で逃げるように進んで行きました。
もう少しで追いつかれるというところでおじさんは自転車道路から外れていきました。
ちょっとホッとしたのかな。
すごく疲れが溜まってきたからなおさら1人でいたかったのです。
その少し先の鉄柵があるところで膝にテーピングを巻くことにしました。
荷物を下ろし、持ってきた小さなクッションを敷いて柵に寄りかかりました。
おじさんが振り返ってこちらを見ています。
目が会っちゃいました。
えっ?
こっちに来るよ?
わざわざ戻ってきます。
標的は間違いなく僕ですよね?
草むら越しにおじさんがこちらを見て立っています。
すると···。
その3へ続きます。