『気候変動による水不足が物流に波及、パナマ運河の水位低下130隻通航待ち」』
『拡張工事は2016年完了、①運河の年間最大容量が 2倍に増大、②それまでに 通航できなかったLNG船が通航可能になっていたが』
1904年の米国のパナマ運河条約で、運河地帯とその付属施設の主権をアメリカに属することを認めたことによって、パナマはコロンビアから独立と同時に、実質的にアメリカの属国となった歴史がありました。
ここで『水』のことで冒頭からの脱線をご容赦願います。
パナマに5年間滞在しましたので、米軍管理の世界一良質な飲料水でジョ二赤のガロン瓶(マイアミで購入3本まで無税でパナマに持ち込み可能)の水割りを堪能しました。 また熱帯だからでしょうか、ほとんどの賃貸アパートにはシャワーだけで浴槽がありませんでした。
運よく自分が住んだ賃貸アパートには狭いバルコニーを改造し、室内に取り込んだ大きなバスタブありましたが、ボイラー容量が小さく使用には少し不便でした。 自分の上司は引っ越し荷物で日本から『団地サイズバスタブ』を持ち込んでいました。
日本の食料自給率の低さと、その長期的な対策が、いっこうに、できないことを悲しむと、同時に食料輸入大国は『「仮想水」大量輸入国』になり、胸が痛みます。 表題『気候変動による水不足が物流に波及、パナマ運河の水位低下130隻通航待ち」』に戻ります。
パナマ運河
標高差26mですが、水平鉄道式で閘門内牽引移動の閘門式(熱帯雨林中のガツン湖の豊富な水を「湖面航行」と「閘門に流し込んで上げ下げ」利用)。
ウキペディア情報から引用
閘門及び海峡の配列を示すパナマ運河の全体図。南の太平洋岸からパナマ市を右手に見て25kmほど北西に運河を進むとガトゥン湖に入り、北のカリブ海側に到達する。
パナマ運河断面図
ウエブ情報から引用
パナマ運河拡張で何がどう変わったか
拡張工事による変更点は、
①運河の年間最大容量が 2 倍に増大すること、これまで 通航できなかった種類の船舶が通航できるようになること。
②LNG 船が通航可能に 新閘門が供用されることで、新たに LNG 船の通航が可能になる。
本日(2023/08/20)の日経新聞の総合欄の記事抜粋です。 『気候変動による水不足が世界のビジネスの足かせになっている。 運河や河川の水位が下がり、輸送の遅れや物流費の上昇につながっている。 干ばつで穀物などの不作が相次ぎ、オリーブ油は最高値を付けた。慢性的な水不足は今後も続き、経済活動への影響が一段と広がるとの指摘がある。』
さらに、ウェブ情報の抜粋引用です。
『パナマ当局は水不足の影響で、太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河の通航を制限せざるを得なくなっている。 パナマ運河庁は今年の渇水期に既に5回、大型船舶の通航を制限している。 パナマ運河は世界の海上交通の約6%を占めており、航行する船舶の大半は米国、中国、日本のものだ。』
『パナマ運河は、閘門で仕切られた閘門式運河。 船1隻が航行するたびに2億リットルの淡水が海洋に流れ込む。 この水源となっているのが、コロンにあるガトゥン湖と、同じく人造湖のアラフエラ湖だ。 だが、いずれの人造湖も降水量不足で部分的に干上がっている。 運河庁によると、3月21日から4月21日で、アラフエラ湖の水位は7メートル低下した。』
『運河庁の責任者エリック・コルドバ氏はAFPに、通航料が最も高い大型船舶の通過が制限され、収入にも影響が出ていると話した。 2022年度の通航量は1万4000隻以上で、政府の年間歳入は25億ドル(約3800億円)に上った。
■水資源めぐり地元住民との対立も当局が懸念するのは、航路を変更する海運会社が出てくることだ。 運河庁のホルヘ・キハノ元長官はAFPに、「(運河に)水を供給する新たな貯水池がなければ、運河の発展が危ぶまれる」「新たな水源確保が急務だ」と述べた。』
■水資源めぐり地元住民との対立も当局が懸念するのは、航路を変更する海運会社が出てくることだ。 運河庁のホルヘ・キハノ元長官はAFPに、「(運河に)水を供給する新たな貯水池がなければ、運河の発展が危ぶまれる」「新たな水源確保が急務だ」と述べた。』
『一方で運河流域は、パナマの人口430万人の半数以上にとって水の供給源にもなっている。 複数の地域で水不足から給水制限が行われており、抗議運動が起きている。 パナマ市周辺では無秩序な都市化が進んでおり、運河と地元住民の間で水資源をめぐる対立が起こりかねないと専門家は警告する。 パナマの気象・水文地質学研究所のルス・デカルサディージャ氏は「全国的に雨が少ないが、通常の乾期の範囲内」とした上で、エルニーニョ現象により、下半期も降水量が減少する可能性が高いと話した。』
パナマは赤道に近いため、高温多湿の亜熱帯気候で 1~4 月が乾季にあたり、その他が雨季です。 今は雨季ですが、日本の梅雨みたいにじとじと降り続くのではなく、だいたい決まった時間に集中して降ります。 亜熱帯気候なので 1 年中暑かった記憶があります。 パナマ運河は高温多湿の亜熱帯気候で 5~12月の雨季の『無尽蔵』の降雨を利用した素晴らしい閘門式運河と信じてきましたが、今回の気候変動の雨量の影響がこのように大きいことに驚いています。
(記事投稿日:2023/08/20、#681)
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