『通潤橋・通潤用水は、時間差はあるがローマ水道橋の技術に敵う』
『水道管に「サイフォン、正確には逆サイフォン」を採用が特徴』
『2023/09/25橋などの土木構造物としては全国初の国宝に指定』
冒頭から余談で恐縮、先ずは、ローマ水道橋(約2000年前の傑作)なぜ作られた?
平和を長く保つ方法は、ローマ帝国のどの都でも変わらない快適な暮らしを提供すること。 そのために何より大切なのは、きれいな水の確保だったが、当時のローマ都市のひとつ・ネマウススでは人口増加のため、公共施設で使用する水が不足していた。 そこで、この水不足を解消する理想の泉(ユゼスの水源)を山間部で見つけ出し、ネマウススに水道・ローマ水道橋(1kmあたり34cmの傾斜1:3000)で引いた。
国宝になった熊本県の通潤橋(170年前の力作)は;
通潤橋は熊本県上益城郡山都町にある石造単アーチ橋・日本一の水道橋。 「笹原川」から取水する「上井手」が、五老ヶ滝川が流れる深い谷を越えるために作ったもの。 2023年9月25日、橋などの土木構造物としては全国初の国宝に指定されている。 現在も170haの農地を潤す現役の農業水利施設です。 今日においても農業用水路橋として重要な役割を担っています。 江戸時代の1854年に阿蘇の外輪山の南側の五老ヶ滝川(緑川水系)の谷に架けられた水路橋で、水利に恵まれなかった白糸台地へ通水するための通潤用水上井手水路の通水管が通っている。 この水道管が、ローマ水道橋(1kmあたり34cmの傾斜1:3000)と異なり『サイフォン、正確には逆サイフォン』を採用しているところがユニークです。
逆サイフォン
水の流れを横から見ると、通常のサイフォンは。形が∩であるのに対して、逆サイフォンの形は∪となります。 水路(管路)にかかる圧力は、サイフォンは頂部で負圧になることが多く、逆サイフォンは常に正圧となり、水理学的には両者はまったく別のものです。 なお逆サイフォンとは、inverted siphonの誤訳ではないかという人もいます。(単なるU字管構造でしょうか、外国語も、技術の世界も、難しいものです。)
通潤橋
石造単アーチ橋で、橋長は78メートル、幅員は6.3メートル、高さは20メートル余、アーチ支間は28メートルである。 橋の上部には3本の石管が通っている。 肥後の石工の技術レベルの高さを証明する歴史的建造物。
ウエブ情報から引用
通潤橋の衛星写真(右の中央に潤った棚田が見えます。)
ウエブ情報から引用
逆サイフォンの取水口
ウエブ情報から引用
逆サイフォンで水道が谷に下り、渡り、そして上る、江戸時代に、これだけの土木工事を。
ウエブ情報から引用
サイフォン技術と通潤橋
ウエブ情報から引用
「図1」がサイフォンで、「図2」はサイフォンではないということになります。単に閉じた管の中で、圧力差を利用して液体を移動する仕組みというのなら「図2」も同じ、サイフォンと考えたくなります。 通潤橋の水路(右下に略図)は「図2」の変形です。「いったん高所に・・・」という点を考えると、通潤橋はサイフォンではないことになります。
この頃のことを考えると『休耕田』などは作らずに、もっと知恵を出し・工夫をして、食料輸入・仮想水輸入減らしを実現したいものです。 政治家。官僚の皆様のご尽力をお願いします。
(記事投稿日:2023/10/07、#691)
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