法律は解釈論が面白い。
元々理論派の私は法解釈の“理屈っぽさ”にはまってしまい、学業の中途から経営法学へ方向転換したといういきさつがある。
さて、今回の“左都子の市民講座”では、「法の適用と解釈」を取り上げる。
まずはその前半、「法の適用」から解説しよう。
Ⅰ 法の適用
①法の適用とは
具体的事実、例えば殺人事件などに 法 をあてはめて、合法的な判断を
下すこと。
法的三段論法
具体例:殺人
大前提 … 具体的事実 : AがBを殺したという事実
小前提 … あてはめる法 : 刑法第199条 殺人
結論 … 合法的判断 : Aが死刑または無期懲役もしくは3年
以上の懲役に処せられる。
※参考 法律用語における「または」「もしくは」の位置づけ
甲 または (乙 もしくは 丙)
②法の適用の方法
A.事実の確定とは
法を適用するために、その適用の対象である具体的事実の存否、内容
を正確に認定すること
事実の確定の重要性
例:殺人事件
事実の内容により適用される刑法規定、刑罰の種類、重さが
異なってくる。
殺意をもって殺した場合→刑法第199条(普通殺人罪)
頼まれて殺した場合 →同第202条(嘱託殺人罪)
※過失により死に致した場合 →同第210条(過失致死罪)
B.事実の確定の種類
a.立証
事実の確定は原則として証拠に基づいてなされる。
= 証拠主義
刑事訴訟法第317条、民事訴訟法第257条
○刑事訴訟:実体的真実発見主義
被告人の自白がある場合も、事実の認定は証拠によることを要する。
○民事訴訟:口頭弁論主義
当事者が口頭弁論で相手方に主張した事実を争わないときは、
自白したものとみなされる。
立証責任(挙証責任)
証拠は原則として事実を主張するものがあげなければならない。
民事訴訟 →当時者
刑事訴訟 →検察官
b.推定 「…ト推定ス」「…と推定する」
周囲の事情や事物の道理から考えて、一応の事実の存在、または、
不存在を認めること。
反証可能。反証がない以上、法が一定の事実の成立を認める。
例:民法第762条2項(夫婦間の財産の共有の推定)
民法第772条(嫡出の推定)
c.擬制 「…ト看做ス」「…とみなす」
法が事実の存在、または不存在を確定すること。
反証不可。
例:民法第1条の3(権利能力の始期)と、
民法第886条1項(胎児の相続能力)との関係
私権の共有は出生に始まるのが原則であるが、胎児は相続に
ついては既に生まれたものとみなす。
例:民法第85条(物の定義)と、
刑法第245条(電気)との関係
民法において物とは有体物をいうが、刑法における窃盗及び
強盗の罪において電気は財物と看做す。
例:民法第3条(成年期)と、
民法第753条(成年者としての能力の取得)の関係
満20年をもって成年とするのが原則であるが、未成年者が
婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。
その根拠
婚姻とは社会の基本的な一単位をつくる行為であるため、
人格の成熟が前提である。そのため精神的、社会的成熟、
経済的能力が必要とされる。ゆえに、未成年者が婚姻を
すると成年者とみなされる。
では、離婚した未成年者は成年者とみなされるか?
民法上学説は分かれているが、成年者とみなすのが有力説
※参考 学説とは法律学者の打ちたてた理論
通説 …おおよそ8割以上の支持を得ている説
多数説…おおよそ6割以上の支持を得ている説
有力説…(いい加減で根拠はあまりないらしい…)
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元々理論派の私は法解釈の“理屈っぽさ”にはまってしまい、学業の中途から経営法学へ方向転換したといういきさつがある。
さて、今回の“左都子の市民講座”では、「法の適用と解釈」を取り上げる。
まずはその前半、「法の適用」から解説しよう。
Ⅰ 法の適用
①法の適用とは
具体的事実、例えば殺人事件などに 法 をあてはめて、合法的な判断を
下すこと。
法的三段論法
具体例:殺人
大前提 … 具体的事実 : AがBを殺したという事実
小前提 … あてはめる法 : 刑法第199条 殺人
結論 … 合法的判断 : Aが死刑または無期懲役もしくは3年
以上の懲役に処せられる。
※参考 法律用語における「または」「もしくは」の位置づけ
甲 または (乙 もしくは 丙)
②法の適用の方法
A.事実の確定とは
法を適用するために、その適用の対象である具体的事実の存否、内容
を正確に認定すること
事実の確定の重要性
例:殺人事件
事実の内容により適用される刑法規定、刑罰の種類、重さが
異なってくる。
殺意をもって殺した場合→刑法第199条(普通殺人罪)
頼まれて殺した場合 →同第202条(嘱託殺人罪)
※過失により死に致した場合 →同第210条(過失致死罪)
B.事実の確定の種類
a.立証
事実の確定は原則として証拠に基づいてなされる。
= 証拠主義
刑事訴訟法第317条、民事訴訟法第257条
○刑事訴訟:実体的真実発見主義
被告人の自白がある場合も、事実の認定は証拠によることを要する。
○民事訴訟:口頭弁論主義
当事者が口頭弁論で相手方に主張した事実を争わないときは、
自白したものとみなされる。
立証責任(挙証責任)
証拠は原則として事実を主張するものがあげなければならない。
民事訴訟 →当時者
刑事訴訟 →検察官
b.推定 「…ト推定ス」「…と推定する」
周囲の事情や事物の道理から考えて、一応の事実の存在、または、
不存在を認めること。
反証可能。反証がない以上、法が一定の事実の成立を認める。
例:民法第762条2項(夫婦間の財産の共有の推定)
民法第772条(嫡出の推定)
c.擬制 「…ト看做ス」「…とみなす」
法が事実の存在、または不存在を確定すること。
反証不可。
例:民法第1条の3(権利能力の始期)と、
民法第886条1項(胎児の相続能力)との関係
私権の共有は出生に始まるのが原則であるが、胎児は相続に
ついては既に生まれたものとみなす。
例:民法第85条(物の定義)と、
刑法第245条(電気)との関係
民法において物とは有体物をいうが、刑法における窃盗及び
強盗の罪において電気は財物と看做す。
例:民法第3条(成年期)と、
民法第753条(成年者としての能力の取得)の関係
満20年をもって成年とするのが原則であるが、未成年者が
婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。
その根拠
婚姻とは社会の基本的な一単位をつくる行為であるため、
人格の成熟が前提である。そのため精神的、社会的成熟、
経済的能力が必要とされる。ゆえに、未成年者が婚姻を
すると成年者とみなされる。
では、離婚した未成年者は成年者とみなされるか?
民法上学説は分かれているが、成年者とみなすのが有力説
※参考 学説とは法律学者の打ちたてた理論
通説 …おおよそ8割以上の支持を得ている説
多数説…おおよそ6割以上の支持を得ている説
有力説…(いい加減で根拠はあまりないらしい…)
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