原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

「休眠預金」は持ち主へ返す事を最優先するべき!

2012年06月30日 | 時事論評
 朝日新聞本日(6月30日)の一面記事によると、政府は銀行等金融機関で10年以上お金の出し入れがない「休眠口座」の預金を、2014年度より政府基金として組み入れ活用する方針を固めたようだ。


 「休眠預金」に関しては、本エッセイ集今年2月22日付バックナンバー 「“休眠預金”政府基金繰り入れ”って泥棒行為じゃないの?」 に於いても綴っている。
 以下にその内容を少し反復させていただこう。

 銀行預金口座を開設されている国民の皆さんは、誰しも多かれ少なかれ「休眠預金」を手元にお持ちであろう。 原左都子も同様であり、現在使用していない銀行口座通帳が10口座以上に及び、おそらく総額1万円を超える「休眠預金」を抱えている。
 ただ私は決して怠慢で「休眠預金」を放置している訳ではなく、経済観念が鋭い私の場合「休眠預金」を抱えている事に関して常にその認識が脳裏にあり、いつかは全額を取り戻すべく預金口座通帳を手元に保管している。
 ところがバブル経済期及びその崩壊と共に銀行は統廃合を繰り返し、その都度、銀行名が変更に変更を重ねてきている。  今現在原左都子の手元にある「休眠口座」通帳の一部をここで紹介すると、「富士銀行」「第一勧業銀行」「三和銀行」「太陽神戸三井銀行」「さくら銀行」「あさひ銀行」……  これらの銀行が現在如何なる名称に変遷しているのかを皆さんは即答出来るであろうか??  経営法学を心得ている私の場合、銀行の統廃合に関しても一時その趣旨に関して学んだ経験があり、銀行グループに関してある程度の知識がある。 そんな私ですら、今現在手元に保管している通帳を何処の銀行に持参すれば「休眠預金」を返却してもらえるのか、即答は出来ない有様だ。
 国民が「休眠預金」を返却請求しない最大の理由とは、銀行の統廃合により自分が保持している銀行口座の金融機関が現在如何なる銀行名に移り変わったのかが分からないという、とんでもなく単純な事情故ではなかろうか?  そうであるとするならば「休眠預金」を眠らせている最大の責任は金融機関側にあるはずだ。
 私が過去に於いて何故数多くの銀行口座を開設せねばならなかったのかと言うと、勤務先を変えたり転居する都度、職場や子どもの学校の取引銀行口座を開設することを組織から強いられた故である。  国民に「休眠預金」を大量発生させた2つ目の課題として、国民個々人が欲さない口座を企業や公的団体がその開設を“強制”した責任を再追求するべきではあるまいか。  このような事態が何故発生してしまったかに関して原左都子が考察するに、それは金融機関と企業、及び政府・地方自治体との癒着の実態しかあり得ないと結論付けるのだ。
 以上のように分析した場合、今頃になって政府が「休眠預金」を政府基金に繰り入れたいと言い出した事態とは“眉唾もの”としか結論付けられない事となる。 「休眠預金」とは単に金融機関や政府側が身勝手に名付けただけの名称でしかない。 その実態とは持ち主である庶民としては、決して眠らせてなどいない国民個々人が涙ぐましいまでに努力して貯めた財産の一部なのだ!
 まず政府が最優先して取るべき対策とは、法的観点からも銀行等の金融機関へなけなしの金を預けている庶民の権利を守ることではなかろうか? 零細預金者である国民の「休眠預金」返還請求には“多大なる費用が発生する”などと泣き言を言っている場合ではなく、身銭を切ってでも積極的に応じる体制を構築するべきだ。
 (以上、「原左都子エッセイ集」バックナンバーより要約引用)


 冒頭の本日付朝日新聞記事によると、政府基金として繰り入れられた数百億円規模の「休眠預金」は、来たるべく14年の活用スタート時には “ベンチャー企業”や“NPO組織”等 を支援するために利用される方針であるらしい。
 
 ちょっと待って欲しい。
 原左都子の記憶によると、ほんの4ヶ月前の本年2月に政府が表明していた活用先と大幅に異なるぞ。  本年2月時点では、「休眠預金」を東日本大震災被災地企業の支援策に使うと公言したはずだったのに…???

 本日朝日新聞記事内には、上記の通り「活用先としてはベンチャー企業や震災などでお金に困っている企業、NPOなどを想定している」とある。
 これ、国民に対する“目くらませ”と判断されてもやむを得ないのではなかろうか? この私ですら、東日本大震災被災者の皆さんを“直接”支援可能ならば、我が微々たる休眠預金を“差し出してよし”とも考えていた。

 ところが政府が出した結論とは、ベンチャー企業やNPOの支援…… 
 我が歪んだ視点かもしれないが、私はこれらの組織を元々信用していない。 もちろんその一部には優良組織も存在するのだろうが、そのほとんどは脱税(いや失敬、「節税」)等“我が身息災”目的でその種の団体を設立している実態ではあるまいか?
 そんな“得体の知れない組織”に我が休眠預金を差し出せるはずもない。

 朝日新聞記事によると、政府側は対象になる企業や融資の条件、及び管理する機関や運用方法等具体的な制度設計は今年度内に終えるとのことだが、これこそがまた政府と政治家・官僚どもとその種の団体組織との新たな癒着の温床となるのだろうねえ…… 

  
 法治国家である我が国において「休眠預金」の今後の扱いに関しては、とにかく金融機関が一旦所有権者である預金者に返却する対策を政府が構築し返却を実行した上で、その使い道を預金者個々人が吟味決定するのが世の道理と私は捉えている。
 「休眠預金」管理機関は14年度からは新たな組織にするとの政府の意向でもあるようだ。 預金者から払戻し請求があればその組織がそれに応じる方針との事だが、それらの細部に関しては13年度中に法整備して実施するとの朝日新聞報道である。

 「休眠預金」をお持ちの皆さん、早めに金融機関へ出向きご自身の金融資産を取り戻しておかないと、またもや愚かな政府の“無駄な財源”と落ちぶれて今後バブルのごとく消え去るのが関の山ですよ……