原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

一子(いちこ)よ、もう一度東京で頑張ろう!

2015年07月20日 | 自己実現
 本日のエッセイは、現在NHKにて放映中の連続テレビ小説 「まれ」をご覧になっていない方々には分かりにくい内容であることをあらかじめお断りしておく。

 今年4月にNHKドラマ 「まれ」 の放映が開始して以来ほぼ4が月が経過し、物語が後半戦に入っている現在、主人公である 希(まれ)は既に自分が目指していた“パティシエ”としてある程度の地位を築くに至っている。


 ここで私論を展開しよう。

 これぞこのドラマが嘘臭い所以であり、さほどの高視聴率が得られない最たる理由ではあるまいか?
 NHK連続テレビ小説では毎回恒例となっているが、若き主人公女性のドタバタ劇を描くなるスタンスの典型例を逸脱していないドラマ展開の今回の「まれ」だ。 

 それにしても今回の「まれ」に関しては、主人公をパティシエとして成功に導くストーリー展開が早急過ぎるのではあるまいか?
 我が記憶によれば、主人公まれがパティシエになるべく頑張ったのは、能登にて開催された素人ロールケーキ大会出場(当然ながら落選)、その後横浜へ移動後に自分が目指すケーキの「味」にこだわり自ら就職先を決定した場面のみだ。
 その後のまれは、単に就職先に“厚遇”され続けているとしか捉えられない。 何故厚遇されるかの理由とは、まれには天性の「味」を見極める特異性があるとシナリオは言いたいようだが、たかが未熟な若造にそんな能力があると現実世界にて実際に認められる事などほぼあり得ない。

 しかも本日(7月20日)放映のドラマ内容によれば、まれは なんと! 店長氏よりの厚遇によりフランスに“パティシエ留学”させてもらえるとの事だ!??
 ちょっとNHKさん、嘘八百もいい加減にしないと、世の“パティシエ”を目指している若者達が安易にパティシエになれると勘違いしないとも限らないよ~~。  我が娘が一応、それを目指す仲間もいる私立大学学科に所属しているのだが、栄養学・食品衛生学等々学問基本分野を含め本人が相当の努力をして尚且つ(親の資金力がなければ)、成し遂げられない職種と私は捉えているんだけど…。

 しかも主人公まれは横浜のケーキ店に就業した後は、ただ単に店主シェフの言いなりになるばかりの存在だ。 例えば「メレンゲを作れ!」と指示されればそれに躍起になるし、「フランス菓子ケーキ」を作れと言われればそれをめくら滅法成し遂げようとする…
 これを“下積み”と理解するべきかもしれないが、私に言わせてもらうならば職人とは元々地道に下積みを重ねるべきなのは当然でしかなく、 まれ本来の“パティシエ”なる職業に対する熱意の程が一切描かれていないドラマと解釈するしかないと、現在マイナス評価している。


 そんな中、ドラマ内で光り輝いているのが、脇役である まれの女友達「一子(いちこ)」の存在だ。

 一子はドラマ内で中学生の頃から、「私は東京に出て必ずモデルになる!」と宣言していた。
 残念な事にオーディションに受かる事はなく、一子はとりあえず大阪に出てブティック(洋服店)の店員の身分で頑張ると同時に、ブティック仲間達と楽しい大阪三昧をしいてたようだ。
 (その後、何故一子が郷里である能登へ戻ったのかの記憶が私にはないのだが)結局一子は自分が最初から目指していた東京へ単身にて上京し、その場で独り身にて生活を繰り広げるに至る。

 最初はアパレル系で働いていた一子だが、そこがあえ無く倒産した暁には、キャバクラにてキャバ嬢をする事と相成る。
 ただ、この場でのNHKの一子の描き方に私は同感する。 一子の場合、単に周囲に流されてのキャバ嬢生活ではなく、虎視眈々と次なる展開を狙っていたのだ。 キャバクラに来た顧客のコネを頼り我が身を復活させようと虎視眈々と狙った一子こそが、東京暮らし女性の勝者として讃えられるべきであるまいか!

 何で、NHKシナリオはそんな一子を郷里に戻そうとするのか!?  それって、ド田舎から上京する若き女子(過去の私も含め)にとって大いなる“偏見”としか考えられないのだが。 

 一子の場合、自分がキャバクラにて出会った男性を一子側が丸め込み、ネット放映したバトルに於いて勝利した「安価スイーツ」をコンビニ販売に転化すれば成功の第一歩だったと私は捉える。 これなど、まさに一子が自力で勝ち取った勝利であり、中途半端なパティシエとして他力本願にチャンスを与えられ続けているまれよりよほどレベルが高いと私は判断する。
 なのに何故、それをNHKのシナリオは中途半端に終わらせ、一子を一旦能登へ帰らせたのか!  


 本日(7月20日)の 「まれ」放映によれば、能登に戻った一子に対し、母が言い放った言葉に助けられる思いだ。
 「東京へ出て成功を勝ち取りたいのならば、今更能登へ帰って来ないでもう一度上京して、一子の思いを果たすべきだ。」
 そして、一子は再び上京して自らの思いを成就するとの 今後の「まれ」物語展開に一応安堵した私であるが…


 最後に、原左都子の私論を記そう。

 真面目な話、実際ちょっと勘弁して欲しい。 
 安易に上京する若き女性すべてが“阿呆”だから田舎に戻れ!と言いたいようなドラマ展開にはまったくもって辟易とさせられる。
 他方、まれのごとく“一応”の目的がある女性に関しては、都会に出没する事を奨励するがごとくのステレオタイプの描き方は、今の時代に至って一体全体どうしたものか??!

 そんな中、ドラマ「まれ」内で一子自身がいつも口癖のごとく発言する言葉に賛同する私だ。
 「田舎は仲間意識が強すぎて私は嫌悪感を抱く。 だからそれの延長線で、田舎の食べ物など食べたいとも思わない。 もういい加減にして欲しい。 私を田舎から解放してくれ!」

 上京後既に40年近くの年月が流れている原左都子にとっても、一子同様に本当にいい加減にして欲しい事柄がある。 それは、上京後40年近く経過した私にいつまでも郷里より同窓会の便りを寄越す連中が存在する事実だ。
 私は今後も東京こそを我が真の故郷として、喜んでこの地に骨を埋める覚悟である。
 なに? 郷里開催の同窓会に今更出席しろだと??  何のためだ。 貴方達が郷里で頑張っている姿を上京して頑張っている私に今更認めて欲しいのか!?  その種の自己証明手段としての郷里での同窓会などに誘われるのは、本気で鬱陶しく勘弁して欲しい思いだ。 (個人的に私に是非会いたいとおっしゃるなら、その旨伝えて下されば同窓会でない場でお会いしますよ。) 

 最後に、話題をNHK連続テレビ小説「まれ」に戻そう。
 我が私見によれば、他力本願でしか動けない主人公まれより、失敗を繰り返し落胆失望しつつも、自分の意思で再びの上京を目指している一子の将来性こそを有望視している。
 とにかく一子よ、今一度初心に戻って再び上京して頑張ろう!
 私は、貴方こそを応援しているよ!