原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

自分の趣味を他者より褒められる誉れ

2016年09月08日 | 自己実現
 皆様もそれぞれに様々な趣味をお持ちで、生活の潤滑油として楽しんでおられる事であろう。


 この原左都子にも趣味はある。  ここで思いつくままに列挙するならば……

 ランニングに筋トレ、ダンス、楽器演奏、クラシックバレエ観賞に美術鑑賞。
 それからパズル解答や一人ゲーム。
 ブランドには無関心だがファッションにも趣味がある。(その実現のため自分の体型管理には厳格な私だ。 最近、永久不滅ポイントで「体組織計」を貰って、日々体重は元より体脂肪に内臓脂肪、基礎代謝、筋肉量、体内水分比率、等々を測定している。)
 国内外を問わず、旅行も好きだし。
 学問好きも加齢と共にレベルを大幅に下げつつ続行中だ。

 忘れてならない、エッセイ執筆。
 ただ、これに関しては趣味と言うよりも、私にとってはより位が高い 「ライフワーク」の位置付けである。 今後も綴りたい意欲が内面から湧き出る限り、生涯に渡り続行するつもりだ。


 話が変わるが、昨日行きつけの美容院へ出かけた。

 私は(40歳時に発病した皮膚癌摘出手術痕を頭に抱える身のため)常時ウィッグを使用している。 その関係で、20年程前より大手ウィッグ関連企業が経営している完全予約制の個室美容室を愛用している。
 この度、その美容室で10年程前より私を担当してくれている女性美容師氏が銀座店へ転勤となり、ここのところ銀座の美容室まで足を運んでいる。

 余談だが、東京暮らしが長い私ではあるが、今となっては銀座まで足をのばす機会などほぼ無いに等しい。
 我がお抱え美容師氏が銀座に転勤してくれたお陰で、定期的に銀座へ出向ける事が現在の一つの楽しみともなっている。 いえいえ、何も高額な買い物をする訳ではなく、豪華ディナーを楽しもうとの魂胆も無い。 
 それでも久々に銀座へ出向いてみると、そこは確かに“大人にとって”特別な場だ。  街並みが洗練されていてとにかく美しい。(失礼は承知だが、渋谷・原宿や秋葉原のごとく目障りなギャルもいない。)
 特に美容室周辺がブランド街の中に存在するため、そこを通り抜けて美容室へ通う身にして、お洒落が欠かせないのだ。 美容室へ行く日は、精一杯のコーディネートをして出かけるのもこれまた我が楽しみの一つとなった。 


 さて上記のごとく、私とお抱え美容師氏(A氏としておこう)との関係は既に10年程になる。
 あくまでも私側の感覚だが、A氏は初対面時からツーカー感があった。 何と言うのか、初めて会った気がしないのだ。  時々この種の相手に出逢う機会があるとは言え,年齢を重ねる毎にツーカー人物に遭遇出来る機会が激減する感覚もある。
 A氏とは、いつ何度会っても互いの印象が変わらないし、さっきまで一緒にいたがごとく会話が始められるのが嬉しい。

 昨日の美容室内でのA氏との会話に戻ろう。

 何かの話題で盛り上がっていた流れで、私が年に2度 “市民ロードレース” に出場し始めてから今年で5年になると言ったところ!
 A氏が10年来今までない程に驚くではないか! 「えーー。〇さん、そんなレースに出ていたのですか!!」
 こっちこそが驚き、「いえいえ、そんな大袈裟な事ではなく、たかが市民ランニング大会ですよ。 しかも私の場合、5㎞レースに出場しているだけの話です。」
 ただ私としては過去にも経験がある。 走る趣味が全くない人にとっては「5㎞走れる」という事実が、とてつもなくアンビリーバブルの様子だ。
 A氏も言う。 「私など、今となっては100mすら走れないですよ…… 昔、陸上なさっていたのでしょ?」
 私応えて曰く、「めっそうもない。 子どもの頃より運動音痴この上ない私が、“50の手習い”でランニングに目覚め、少しづつ距離とタイムを伸ばしていって現在に至っているだけの話ですよ。 ただ、せっかく50過ぎて始めた趣味だから今後も続けたいし、大会のタイム基準内で完走可能な限り何歳になってもロードレースに出場したく思っています。」

 当該A氏とは既に10年の関係であり、他の話題も盛沢山に出るのだが、これほど本気でA氏が私の“趣味”ごときに感激してくれたのは初めての事だった。

 もちろんA氏とて顧客対応観点で会話を進めている事など、私側は百も承知の上だ。 
 いつもは、滅多には巡り合えないツーカー関係のA氏との関係をずっと続行したいと志している私の方こそが、若き世代のA氏の聞き役を務めていると言って過言でない。 例えば、A氏の未だ小さき息子氏の教育相談に乗ったりもする。 いつも素直に息子氏の現状を語ってくれるA氏を、これまた肯定的に捉えて対応している私でもある。


 最後に、人の「趣味」に関する私論でまとめよう。

 冒頭に記した通り、皆様それぞれに多彩(多才?)なご趣味をお持ちのことと推測する。

 一言で「趣味」と言えども、まさに多様性を帯びていることであろう。
 なるべく人様に褒められる趣味を持ちたいものだが、多くの場合は “自己満足の範疇” に留まっているのが通例であろう。

 その趣味が、もしも世間より “数多くの感嘆の念” を抱かれるハイレベル次元にまで達した場合、自身の正業として成り立つ等、更なる発展を遂げるのかもしれない。

 そうではなく、多くの趣味がまさに “単なる趣味” の範疇であるのならば、それをちょっとだけ褒められ一時満足出来る事こそが、“単なる趣味” が自分の趣味として成り立つ原動力と理解した我が昨日の出来事だった。