朝日新聞朝刊紙上に於いて、34回に渡り連載された 「いじめられている(いじめている、いじめを見ている)君へ」 シリーズが先日やっと終了した。
上記記事を見ていない人のために少し補足説明をすると、当該シリーズは大津市の中学2年生男子が「いじめ」により自殺した問題を受け、朝日新聞が各界の“著名人”を対象として“いじめ”問題に対する体験談や意見等を集結した連載ものである。
「原左都子エッセイ集」先月26日付バックナンバー 「いじめられている君、今はとにかく逃げよう。」 に於いて、私は既にこのシリーズに対する批判的見解を述べている。 それを少しだけ振り返らせていただこう。
現在朝日新聞紙面で「いじめ」に関する“見識者”達によるメッセージを朝刊で連載中のようだ。 その中には原左都子に言わせてもらうと、いじめられている人物の“切羽詰った”状態を本気で理解できているのか?!? との拍子抜けのメッセージが数多く存在する。
7月に上記エッセイを公開した後も、私は世の“見識者”(と名乗る人)達が“いじめられている子ども達”を救うべく如何なるアドバイスを朝日新聞紙上で展開するのかを注視し続けてきた。
結論として、上記我がエッセイ集バックナンバーで賞賛させて頂いた 社会学者 土井隆義氏 による 「友達づくり、苦手でいい」 との見解以外には、残念ながらこれとして実際に“いじめ”を受けて苦しんでいる子ども達を救済できそうな内容の記事が一つも見出せない。
それに少し近いご意見を書かれている“著名人”の方もいなくはないのだが、結論部分でご自身の“成功談”を披露することによりすべてを台無しにしている印象を私は受ける…
決して「成功」してはいけない、などとの私論を展開する訳ではないのだが、とにかく、今現在“いじめ”を受けて自殺さえも視野に入れている子ども達に対して「自分は成功したぞ!」との言及は如何なものであろう? 今はその記述を慎むべきではあるまいか?
天邪鬼の原左都子でなくとも、全国紙上で著名人によるそんな“自慢話”を庶民の誰が読んだって、「だったらあんた達は今後も勝手に有名人として生きていけば?」との、付き合っていられない感覚に襲われるというものではなかろうか??
この朝日新聞“いじめ”解決?シリーズは、“著名人”にアドバイスをしてもらおうとのスタンス自体がそもそもの誤りであると原左都子は判断する。 名も無き年少の子ども達が今現在切羽詰っている事象を、世の成功者(? そうではない“名ばかりの著名人”も多く存在する実態ではあろうが…)にその解決策を委ねたところで、適切な回答が望めるべくもない事など歴然だったであろうに。
とは言っても新聞紙上で無名人がアドバイスをしたところで、誰もそんなもの読みやしないしねえ、朝日新聞さん……
そうこう悶々としていたところ、経済学者の 金子勝氏 がこの朝日新聞“いじめ”シリーズ終盤で「大人」相手にとんでもない喧嘩を売って出たのだ!
参考のため、金子勝氏とは朝日新聞別刷「be」“悩みのるつぼ”の相談員として長い期間活躍されている人物でおられる。 原左都子としては、氏の回答内容より“中庸穏便な人格者”として一応好印象を持たせて頂いていた。
ところが驚いた事に私にとって穏便な印象の金子氏が「いじめている君へ」の記事においておっしゃるには、 「おかしな大人見習うな」 である。
この題名を一見して、被害妄想かもしれないが原左都子のような大人を見習うな!と金子氏から斬られた思いの私だ…
と言うのも私は本エッセイ集を通して、世間相手に言いたい放題辛口論評を公開しているがごとくの印象を振り撒いているのであろう、との客観的視野で自分自身を捉えている部分があるからだ。 実は、現実世界では常に自己を様々な角度から省みている私であるが、そんな事を一庶民が自己分析したところで埒が明かないことも承知しているし…
それでは、上記金子氏による「おかしな大人見習うな」の記述内容の一部を以下に紹介しよう。
金子氏は自民党参院議員 片山さつき氏 が高額所得者であるお笑い芸人の母親が生活保護を受けている事を国会で突いたことを 「いじめ」 とみなしておられるようだ。 そして、これこそが学校で生徒が受けている「いじめ」と似ていると指摘されている。
加えて、片山さつき氏が“親族の扶養義務を強めるべきだ”と主張した事に対し、そんな事をしたらたちまち生活に困ってしまう弱い立場の親子だっている、と訴えておられる。
この事案に対しては、原左都子は片山さつき氏が国会でお笑い芸人を突いたことを評価している事に関して、本ブログバックナンバーで既に公開している。
当該議論に関しては、現代社会に於いて誰が弱者で誰が強者なのかを根本的に突き詰める事からスタートし直すべきであろう。
おそらく金子氏のご見解とは、片山さつき氏こそが強者であるのに、何故弱者であるお笑い芸人を国会で突き倒したのかとのご自身の論理によるのであろう。
金子氏が如何程の生活をされているのかを私はまったく存じないが、一時とてお笑い芸人が5000万円を超過する年収を得ているのならば、やはり親をその年収内で扶養する選択こそが庶民感覚と私は判断する。 従って原左都子としてはこの事例の場合、片山さつき氏がお笑い芸人を国会で突いたことに関しては、国会議員として正当な行為であったと位置付けるのだ。
さらに金子氏は大震災に伴って発生した福島第一原発事故に関しても言及しておられるが、これなどはまさに東電や原子力安全保安院の責任が今後に至って追求されるべきなのは当然である。
それにしても、ちょっと待ってよ金子さん。
すべての事象を一緒くたにして、「弱い人はいじめられ、追い込まれる。強い人は何をしても許され平気でいられる。こんな社会を今の大人は作っているんです。 どうか、今若い君達は今の大人とは違った生き方をして下さい」 とは、どうしたことか??
こんな陳腐な決まり文句を、現役学者たるものが一般新聞紙上で公表して許されるのか??
金子さん、こんな場で恥をかかせて申し訳ないが、庶民の私が拙いエッセイ集を綴る時とて世に公開されている各種資料や文献を参照しつつ、自らの記事に関する検証・監修作業に時間を費やしている。
今の時代とは各種学問が融合しつつ発展を遂げている事実をも捉えるべきではないのか? 通り一遍の決まり文句をそのまま新聞紙面に公開するのではなく、その背景要因を深く掘り下げ自分なりに分析・考察し直す作業に時間を費やすべきである。それこそが学問を追究する(した)者の社会に対する使命として。
私自身は“おかしな大人”であることを少し認める。
それでもそんな私も含めて世の中に生きている庶民達とは、子どもも大人も経済学者であられる金子氏の想像の及ばぬ処で、“おかしな世の中”を自分なりに渡っていこうと努力を重ねつつ生を営み続けていると私は信じたい。
上記記事を見ていない人のために少し補足説明をすると、当該シリーズは大津市の中学2年生男子が「いじめ」により自殺した問題を受け、朝日新聞が各界の“著名人”を対象として“いじめ”問題に対する体験談や意見等を集結した連載ものである。
「原左都子エッセイ集」先月26日付バックナンバー 「いじめられている君、今はとにかく逃げよう。」 に於いて、私は既にこのシリーズに対する批判的見解を述べている。 それを少しだけ振り返らせていただこう。
現在朝日新聞紙面で「いじめ」に関する“見識者”達によるメッセージを朝刊で連載中のようだ。 その中には原左都子に言わせてもらうと、いじめられている人物の“切羽詰った”状態を本気で理解できているのか?!? との拍子抜けのメッセージが数多く存在する。
7月に上記エッセイを公開した後も、私は世の“見識者”(と名乗る人)達が“いじめられている子ども達”を救うべく如何なるアドバイスを朝日新聞紙上で展開するのかを注視し続けてきた。
結論として、上記我がエッセイ集バックナンバーで賞賛させて頂いた 社会学者 土井隆義氏 による 「友達づくり、苦手でいい」 との見解以外には、残念ながらこれとして実際に“いじめ”を受けて苦しんでいる子ども達を救済できそうな内容の記事が一つも見出せない。
それに少し近いご意見を書かれている“著名人”の方もいなくはないのだが、結論部分でご自身の“成功談”を披露することによりすべてを台無しにしている印象を私は受ける…
決して「成功」してはいけない、などとの私論を展開する訳ではないのだが、とにかく、今現在“いじめ”を受けて自殺さえも視野に入れている子ども達に対して「自分は成功したぞ!」との言及は如何なものであろう? 今はその記述を慎むべきではあるまいか?
天邪鬼の原左都子でなくとも、全国紙上で著名人によるそんな“自慢話”を庶民の誰が読んだって、「だったらあんた達は今後も勝手に有名人として生きていけば?」との、付き合っていられない感覚に襲われるというものではなかろうか??
この朝日新聞“いじめ”解決?シリーズは、“著名人”にアドバイスをしてもらおうとのスタンス自体がそもそもの誤りであると原左都子は判断する。 名も無き年少の子ども達が今現在切羽詰っている事象を、世の成功者(? そうではない“名ばかりの著名人”も多く存在する実態ではあろうが…)にその解決策を委ねたところで、適切な回答が望めるべくもない事など歴然だったであろうに。
とは言っても新聞紙上で無名人がアドバイスをしたところで、誰もそんなもの読みやしないしねえ、朝日新聞さん……
そうこう悶々としていたところ、経済学者の 金子勝氏 がこの朝日新聞“いじめ”シリーズ終盤で「大人」相手にとんでもない喧嘩を売って出たのだ!
参考のため、金子勝氏とは朝日新聞別刷「be」“悩みのるつぼ”の相談員として長い期間活躍されている人物でおられる。 原左都子としては、氏の回答内容より“中庸穏便な人格者”として一応好印象を持たせて頂いていた。
ところが驚いた事に私にとって穏便な印象の金子氏が「いじめている君へ」の記事においておっしゃるには、 「おかしな大人見習うな」 である。
この題名を一見して、被害妄想かもしれないが原左都子のような大人を見習うな!と金子氏から斬られた思いの私だ…
と言うのも私は本エッセイ集を通して、世間相手に言いたい放題辛口論評を公開しているがごとくの印象を振り撒いているのであろう、との客観的視野で自分自身を捉えている部分があるからだ。 実は、現実世界では常に自己を様々な角度から省みている私であるが、そんな事を一庶民が自己分析したところで埒が明かないことも承知しているし…
それでは、上記金子氏による「おかしな大人見習うな」の記述内容の一部を以下に紹介しよう。
金子氏は自民党参院議員 片山さつき氏 が高額所得者であるお笑い芸人の母親が生活保護を受けている事を国会で突いたことを 「いじめ」 とみなしておられるようだ。 そして、これこそが学校で生徒が受けている「いじめ」と似ていると指摘されている。
加えて、片山さつき氏が“親族の扶養義務を強めるべきだ”と主張した事に対し、そんな事をしたらたちまち生活に困ってしまう弱い立場の親子だっている、と訴えておられる。
この事案に対しては、原左都子は片山さつき氏が国会でお笑い芸人を突いたことを評価している事に関して、本ブログバックナンバーで既に公開している。
当該議論に関しては、現代社会に於いて誰が弱者で誰が強者なのかを根本的に突き詰める事からスタートし直すべきであろう。
おそらく金子氏のご見解とは、片山さつき氏こそが強者であるのに、何故弱者であるお笑い芸人を国会で突き倒したのかとのご自身の論理によるのであろう。
金子氏が如何程の生活をされているのかを私はまったく存じないが、一時とてお笑い芸人が5000万円を超過する年収を得ているのならば、やはり親をその年収内で扶養する選択こそが庶民感覚と私は判断する。 従って原左都子としてはこの事例の場合、片山さつき氏がお笑い芸人を国会で突いたことに関しては、国会議員として正当な行為であったと位置付けるのだ。
さらに金子氏は大震災に伴って発生した福島第一原発事故に関しても言及しておられるが、これなどはまさに東電や原子力安全保安院の責任が今後に至って追求されるべきなのは当然である。
それにしても、ちょっと待ってよ金子さん。
すべての事象を一緒くたにして、「弱い人はいじめられ、追い込まれる。強い人は何をしても許され平気でいられる。こんな社会を今の大人は作っているんです。 どうか、今若い君達は今の大人とは違った生き方をして下さい」 とは、どうしたことか??
こんな陳腐な決まり文句を、現役学者たるものが一般新聞紙上で公表して許されるのか??
金子さん、こんな場で恥をかかせて申し訳ないが、庶民の私が拙いエッセイ集を綴る時とて世に公開されている各種資料や文献を参照しつつ、自らの記事に関する検証・監修作業に時間を費やしている。
今の時代とは各種学問が融合しつつ発展を遂げている事実をも捉えるべきではないのか? 通り一遍の決まり文句をそのまま新聞紙面に公開するのではなく、その背景要因を深く掘り下げ自分なりに分析・考察し直す作業に時間を費やすべきである。それこそが学問を追究する(した)者の社会に対する使命として。
私自身は“おかしな大人”であることを少し認める。
それでもそんな私も含めて世の中に生きている庶民達とは、子どもも大人も経済学者であられる金子氏の想像の及ばぬ処で、“おかしな世の中”を自分なりに渡っていこうと努力を重ねつつ生を営み続けていると私は信じたい。