礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

対北朝鮮外交の転換と2017年9月の出来事

2019-05-09 02:50:52 | コラムと名言

◎対北朝鮮外交の転換と2017年9月の出来事

 五月七日の東京新聞夕刊によれば、安倍晋三首相は、五月六日、トランプ米大統領と電話で協議し、「条件を付けずに」日朝首脳会談を模索するとの考えを伝えたという。
 同じく五月七日、ヤフー・ニュースに、「拉致問題で譲歩、後退する安倍政権 過去の発言から180度転換」というタイトルの記事が掲載された(12:19配信)。執筆したのは、ジャーナリストで、コリア・レポート編集長の辺真一(ぴょん・じんいる)氏である。
 タイトルの通りの記事であるが、この記事によれば、二〇一七年九月二一日、安倍晋三首相、国連総会での演説で、世界各国に対し、次のように呼びかけていたという。

▲「対話による問題解決の試みは、一再ならず、無に帰した。なんの成算あって、我々は三度、同じ過ちを繰り返そうというのでしょう。北朝鮮にすべての核・弾道ミサイル計画を完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な方法で、放棄させなくてはなりません。そのため必要なのは対話ではない。圧力なのです」

 安倍政権の対北朝鮮外交は、圧力路線から対話路線へと、大きく舵を切ったといえるだろう。
 ところで、安倍首相が国連総会で演説した日の前日、つまり、二〇一七年九月二〇日、天皇、皇后両陛下(現在の上皇、上皇后両陛下)が、埼玉県日高市の高麗神社を訪問されるという出来事があった。今日からみれば、これは、かなり重要な意味がある出来事だったのではないだろうか。
 その翌々日、つまり同月二二日の東京新聞朝刊の「視点」欄には、「渡来人系神社訪問/朝鮮半島への深い関心」という署名記事が載った。執筆したのは、吉原康和編集委員である(この記事は、当ブログ二〇一七年九月二三日のコラム「高麗神社を訪れた著名人」で、すでに紹介している)。
 記事の冒頭は、次のようになっていた。

 初秋を迎えた今月二十、二十一日、天皇、皇后両陛下は、私的な旅行で埼玉県内を訪問された。その中で印象に残ったのは、朝鮮半島からの渡来人が建立した高麗【こま】神社(日高市)訪問だった。昼食を含めて約三時間にわたって滞在。本殿参拝後、同神社の神職を代々務めてきた高麗家の旧住宅「高麗家住宅」などを熱心に見学した。
 同神社には昨年〔二〇一六〕四月、日韓共催のサッカー・ワールドカップ(W杯)開催時に訪韓したことのある高円宮妃久子さまが立ち寄られているが、歴代天皇では今回が初めてだ。

 今から二年前の九月、天皇、皇后両陛下は、朝鮮半島にゆかりがある高麗神社に参拝された。同月、安倍首相は、国連総会で演説し、北朝鮮への圧力を強調した。それから、二年が経過し、天皇、皇后両陛下は、上皇、上皇后両陛下となられ、安倍首相は、北朝鮮に対する外交姿勢を大きく転換した。この二年間の変化は大きかった。改めて歴史の流れというものを感じた。この二年間の歴史を、的確にまとめた記事が読みたいと思う者だが、今のところ、そうした記事には接していない。

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