◎速やかに和平を講ずる以外に途はない(高松宮宣仁親王)
共同通信社「近衛日記」編集委員会編『近衛日記』(共同通信社、一九六八年三月)から、「近衛日記」を紹介している。本日は、その四回目で、一九四四年(昭和一九)六月二五日と二六日の日記を紹介する。
二十五日
鈴木貞一中将来訪
鈴木中将いわく
今回の事態は海軍の大責任だ。ソ満国境の要塞は陸軍が六年で難攻不落のものにした。然るにサイパンは、海軍が三十年近く持っていて、コンクリートの要塞さえない有様だ。それであんなに脆【もろ】くいって仕舞った。
二十六日
細川護貞氏来訪
細川氏いわく
高松宮〔宣仁親王〕殿下は、連合艦隊は無力化した。此の上は速やかに和平を講ずる以外に途〈ミチ〉はない、近衛に早くそういうよう尽力しろと言ってくれ、ということでした。