◎銀座のキャバレーで「証城寺の狸囃子」
今月一三日からの続きである。先日、DVD『月光仮面 どくろ仮面篇』(ハミング)を鑑賞し終った。改めて気づいたことを補足する。
11 第一部第五十四話「拳銃は招く」では、キャバレー銀座館の店内が描かれる。たぶん実写であろう。専属のバンドによるナマ演奏があり、専属と思われる女性歌手が歌っている。歌は、なんと、「証城寺の狸囃子」である(ジャズ風にアレンジされている)。場面変わって、その地下室では、柳井博士がどくろ仮面とその一味に取り囲まれている。博士にピストルを突きつけているチャイナドレスの美女は、柳井家に「女中」として潜入していたトミ(深川きよ美)である。「証城寺の狸囃子」の音楽が、その地下室まで聞こえてくる。この人を喰った演出に、驚き呆れ、そして拍手した。
12 続く第五十五話「蛇と悪党」の舞台も、キャバレー銀座館である。司会があらわれて、フロアーショーが始まることを告げる。登場するのは、「スネーク中村」と称する芸人だが、これが実は、どくろ仮面の一味。ポケットからホンモノの蛇を取り出すや、いきなり、その蛇を客席に向かって投げつける。すると……。
13 第一部第七十話「勝利の歌声」のラストは、どくろ仮面事件の解決を祝い、関係者が記念撮影をしている場面。祝十郎(大瀬康一)、柳井博士(小栗一也)、その娘のあや子、山本記者(大塚周夫)、その妹の節子(藤原文子)、カボ子(宇野よし子)、繁(日吉としやす)、木の実(猿若久美恵)、松田刑事部長(佐藤一郎)の顔が見える。カメラマンは、袋五郎八(久野四郎)である。そこに、安井警官(北村弘一)が、月光仮面からの速達便を持って、やってくる。――これらのキャストのうち、柳井家の清楚な令嬢を演じた女優だけが、名前がわからない。なお、五郎八が持っているカメラは、メーカーや機種はわからないが、二眼レフである。
14 七十話の最後に、「第一部/月光仮面現わるの巻/終」というクレジットが入る。月光仮面の第一部は、この段階では、「月光仮面現わるの巻」と呼ばれていたらしい。「第一部どくろ仮面篇」というのは、あとになって定着した呼称と思われる。
15 東都新聞の山本記者を演じた大塚周夫(ちかお)は、のちに俳優・声優として活躍する。アニメ『ドラゴンボール』で、タオパイパイの声を担当していたのは、この大塚周夫(一九二九~二〇一五)だったという。
16 安井警官を演じた北村弘一(一九三一~二〇〇七)も、のちに俳優・声優として活躍する。アニメ『ドラゴンボール』で、両津勘兵衛(勘吉の祖父)の声を担当していたのは、この北村弘一だったという。
17 どくろ仮面(その正体は、赤星博士)を演じたのは、武藤英司(一九一七~一九九九)である。のちに映画やテレビドラマの俳優として活躍する。悪役を演ずることが多かったようだ。
※訂正 以上のように書きましたが、『月光仮面』第三部「幽霊党の逆襲篇」を鑑賞し直してみましたところ、「13」に、訂正の必要があることが判明しました。安井警官(北村弘一)と北村警官(加藤精三)は、第三部には登場しますが、第一部には登場しません。速達便を届けにくる警官は、第一部には、たびたび登場しますが、それを演じているのは北村弘一ではないようです。そこで、「13」を、下のように訂正します。「16」は、ここで述べるべきことではなかったわけですが、一応、そのままにしておきます。2020・5・25記
13 第一部第七十話「勝利の歌声」のラストは、どくろ仮面事件の解決を祝い、関係者が記念撮影をしている場面。祝十郎(大瀬康一)、柳井博士(小栗一也)、その娘のあや子、山本記者(大塚周夫)、その妹の節子(藤原文子)、カボ子(宇野よし子)、繁(日吉としやす)、木の実(猿若久美恵)、松田刑事部長(佐藤一郎)の顔が見える。カメラマンは、袋五郎八(久野四郎)である。――これらのキャストのうち、柳井家の清楚な令嬢を演じた女優だけが、名前がわからない。その記念撮影の場に、月光仮面からの速達便を持って、警官がやってくる。第一部には、たびたび登場する警官だが、この警官を演じている俳優も、名前がわからない。最後に、この警官も加わって記念撮影。なお、五郎八が持っているカメラは、メーカーや機種はわからないが、二眼レフである。