イラクの混迷を招いた日本の“選択”―自衛隊がやっていることVS私たちがやるべきこと (かもがわブックレット)自衛隊イラク派兵差止訴訟全国弁護団連絡会議かもがわ出版このアイテムの詳細を見る |
・田母神前空幕長、何が悪い! 参考人招致で堂々持論展開(スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081112-OHT1T00014.htm
・前空幕長招致 「言論の自由」をはき違えるな(11月12日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20081111-OYT1T00871.htm
生憎、私はまだ、「死神トシオ」(田母神俊雄)参考人招致による11月11日の参院外交防衛委員会審議の内容を、ネット中継で確認出来ていません。全部視聴するには、それなりの時間も必要ですから、次の休日にでも、じっくり見ようと思っています。
ただ、マスコミ報道や、ネットでの書き込み、実際に見た人の感想によると、この人、審議中や、その後の記者会見においても、相当横柄な態度だったらしいですね。不規則発言を繰り返して議長から再三注意されたり、終了後の取材でも、「生活が苦しいので退職金は貰う」なぞと、見苦しい言い訳に終始していたり。
ただ、敢えて逆説的な見方をすれば、私は「死神トシオ」の言い分にも一理あると思うのです。「政府見解に反する事は何もいえないのでは、独裁国家と同じではないか」という彼の言い分は、その部分だけを取り出して見れば、確かにその通りです。勿論、公務員の憲法遵守義務はありますが、だからと言って、個人としても「反政府的な意見は一切言えない」という事にはならない。そんな事を言ってしまえば、多数のごり押しで強行された教育基本法改悪や、「日の丸・君が代」強制、休日のビラ配布禁止も、全部認めなければならなくなります。
また、最近の政府・与党の動きを見ると、密かにそれを狙っている節が感じられます。実は、日米両政府は「死神」たちを、自衛隊イラク・海外派兵の露払い役として、体よく利用してきたのです。だから、隊内での彼らの軍国主義の暴走にも、見て見ぬふりをしてきたのです。
それが、彼らを更に増長させる事になった。その結果、政府の言う事も聞かなくなってしまった。実は政府にとっては、現代の米軍再編・海外派兵に協力する事が全てであって、「過去の日本は侵略国家だったか?」なんて、本当はどうでも良いのです。「死神」たちは、あくまでも「現代の米軍再編・海外派兵」を援護してれば、それで良かったのです。
ところが、「死神」たちは、今やそれに止まらず、「米国もソ連に騙されて、日本を開戦に追いやった」なんて、トンデモな事まで言い出し始めた。このままでは、それまで散々苦労して自衛隊から旧日本軍のイメージを払拭しようとしてきたのが、全部水泡に帰してしまう。これは流石に拙い。
だから、「死神」言説の内容は一切問わずに、「文民統制からの逸脱」だけをことさら問題視し、「臭い物に蓋」で幕引きを図ろうとしているのです。更に、この理屈で行けば、「文民統制」を格好の口実にして、自衛隊内外の反戦運動まで取り締る事が出来ますからね。その間、「死神」たちには、少しだけ泣いて貰い、ほとぼりが冷めた後は、また丁重にもてなしてお戻りいただき、また以前の様にご活躍いただく。
故に、「文民統制」以前の問題として、まず「死神」言説の内容自体を問題にしなければならないのです。「そもそも今の日本国憲法が何故生まれたのか」という所から解き明かす中で、「死神」言説の本質が「19世紀的帝国主義の賛美・復権」にあり、およそ現代では相容れない反人権的・反民主的・ファッショ的主張でしかない事こそ、きちんと見破られなければならないのです。
それがあってこそ初めて、「公務員の憲法遵守義務」や「文民統制」の必要性にも言及出来るのです。己の「言論の自由」を声高に叫びたてながら、その裏で、部下に己のイデオロギーを強要し、アパ・グループとの癒着・談合や佐藤まさひさ後援会加入を半強制的に進め、部下の「言論の自由」や基本的人権を踏みにじっている事の犯罪性も、初めて指摘出来るのです。
・防衛大学ほか自衛隊関係教育機関での歴史教育はすべて「田母神・濡れ衣史観」とほぼ同工。(どこへ行く、日本。)
http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10163380892.html
・陸自元曹長が告発/憲法無視 暴走怖い/海外派兵 機に管理強化/前空幕長問題(しんぶん赤旗)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-11-12/2008111215_01_0.html
それにしても、己の「言論の自由」だけを声高に叫びたてながら、統合幕僚学校長時代から特異なファシスト史観を生徒に押し付け、部下の「思想信条の自由」は平気で蹂躙する。己も今まで散々、教育基本法改悪や「日の丸・君が代」強制に加担してきたくせに、自分に火の粉が及んできた途端に、一転して「公務員にも言論の自由がある」と被害者ヅラする。この「死神トシオ」という輩は、もうどうしようもない人物の様ですね。
11日のテレビ朝日系番組「報道ステーション」でも少し取り上げられていましたが、元々この人物は、普通なら航空幕僚長にまで出世出来ない筈の所を、時の安倍内閣の下で、久間防衛相―守屋政務次官のラインにうまく取り入る事で、異例の出世を遂げる事が出来たそうです。その挙句に、一民間人にしか過ぎないアパ・グループの代表を、特別扱いで戦闘機に搭乗させ、その見返りに「出来レース」の審査で、300万円もの破格の懸賞金をちゃっかりゲット。
若しそれが本当なら、太平洋戦争中のインパール作戦で、デタラメな作戦指揮で多くの将兵を餓死に追いやっておきながら、己は戦場の遥か後方で芸者遊びに耽り、部隊を窮状から救うべく已む無く撤退に踏み切った下士官の命令違反を無慈悲に詰った挙句に、自分だけ日本に逃げ帰り、戦後も死ぬまで自己弁護に終始した、牟田口廉也とか言うジコチュー軍人と、全く同じではないですか。
・牟田口廉也(ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%9F%E7%94%B0%E5%8F%A3%E5%BB%89%E4%B9%9F
軍事利権にまみれながら、道理も何も無いブッシュの戦争に付き従うだけの事大主義者でしかないくせに、さも自分はイッパシのナショナリスト気取りで、偉そうに「愛国」やら「憂国」やらの説教を説く。「生活に困っている」とかほざきながら、300万円の懸賞金に続いて6千万円もの退職金(我々国民が払った税金)を、濡れ手に粟でちゃっかりせしめる。
こんな奴の為に、食い詰めたワーキングプアが、「経済的徴兵制」(堤未果)の下で、口八丁手八丁で自衛隊に勧誘され、「きさまらの代わりは一銭五厘でいくらでも来る」とばかりに、牟田口廉也や「死神」みたいな奴から散々イジメやセクハラ・パワハラを受け、アフガンやイラクで侵略者として人民弾圧の尖兵に駆り出された挙句に、何故「手と足をもいだ丸太にしてかへし」(鶴彬)で殺されなければならないのか。
こんな似非ナショナリストどもに、「愛国」やら「憂国」を口にする資格なぞは無い。真のナショナリスト、愛国者とは、「売国奴」の汚名をかぶせられるのも覚悟の上で、国を思うが故に誤った国の進路を命がけで是正しようとした英国人スパイ「キャサリン・ガン」や、国防族としての信念から、専守防衛を逸脱したイラク戦争への参戦に異を唱え、最後にきちんと筋を通した箕輪登・元防衛政務次官の様な人の事を言うのです。
・前空幕長論文問題:参考人招致 お粗末な「愛国」への執着=政治部編集委員・古賀攻(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081112ddm002010065000c.html
・戦争を止めようとしたスパイ(The Spy Who Tried to Stop a War)(情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊))
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/9a54a57c1d4446c2b51b25d82d55d590
・自衛隊イラク派兵差止北海道訴訟(箕輪訴訟)HP
http://www.hg-law.jp/iraq/