MET(メトロポリタン・オペラ)のオペラを映画化したものはテレビで見たが、近所のMOVIXの大画面で見るのは初めてだった。実際のオペラとはまた違った面白さがある。一番良いのはオペラグラスがいらないことだ。10台のHDカメラで撮影しているのでアリアを歌う役者の顔がアップされるからだ。またカメラの角度により、正面から見ている実際の舞台より迫力ある映像にもなる。音響技術が進み、これまた迫力満点、更に良いことは3500円と安い値段でMETが味わえ、オペラが身近になった。
今週はアンナ・ネトレプコのマノンで、見逃せない出し物だ。以前よりやや太ったアンナは妖艶な姿態でマノン役を見事に演じた。真面目な相手役を演じるのはポーランド人のテノール歌手ピョートル・ベチャワ、アンナの兄役を演じるのはブラジル人のバリトン歌手パウロ・ジョット。METの凄いところは世界から優秀な歌手を抜擢して使うところで、主役のアンナ・ネトレプコはロシア人で、まさにグローバルな人材が競っている。
オペラ座では見られないことも映画ではサービスとして提供してくれる。それは幕間に行う舞台装置の設置を移してみせてくれる。米国のメトロポリタンだから機械化が進み舞台装置の変換も簡単と思っていたが、実際は全て人手で配置図を見ながら組み立てて行くことがわかった。今回のマノンでは回り舞台は一回もなかった。
もう一つのサービスは、幕間に主演歌手のインタビューがあり、インタビュアーはMETのオペラ歌手だから気の利いた内容で、言語は英語なのでネイティブでないアンナやピョートルにとっては大変だがこれまた良かった。演目のマノン自体はフランス語でオペラ歌手には語学の素養が必須だ。
来週は椿姫だが、日程がつまっていて行けそうもない。残念だ。