行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

日産のリオ五輪スポンサーに米国労組が異議

2016-04-22 18:43:26 | Weblog
日産は、8月にブラジルで行われるオリンピック・パラリンピックにおいて自動車業界唯一のスポンサー企業として約6,500台の車両を供給することになっている。ところが、米国のミシシッピ州カントン工場の全米自動車労組(UAW)による労組組織化が経営側の反組織化キャンペーンで不調になり、そのことを持ってリオ五輪のスポンサーガイドラインに違反していると上部団体の国際大産別組織インダストリオールを含め、UAWが抗議行動を展開している。
 
また、ブラジルのナショナルセンター3組織はUAW支援に動き、2016年リオ・オリンピック・パラリンピック組織委員会のカルロス・ヌズマン会長と担当のアジェマル・サンクトス大使に訴状を手渡した。その訴状によると、米国ミシシッピ州カントン工場における日産の攻撃的な組合弾圧は、結社の自由を基準の1つに掲げているリオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックのスポンサーとサプライヤーガイドに違反しているとしている。サンクトス大使は、日産経営陣に話をして組合による苦情への対応を求めることに同意した。
日産のカルロス・ゴーンCEOは、フランス議会で「日産が事業展開している世界各国で、労働者は自由に労働組合に加入できる」と主張した。これに対し、ユルキインダストリオール書記長は「私はミシシッピ州の日産カントン工場に行ってきたが、そこでの労働者の話はずいぶんゴーン氏の主張とは違っていた。労働者は威嚇され、組合を選んだら解雇するとか、工場閉鎖の脅しまで受けているという。結社の自由が確保されておらず、オリンピックのルールに反している。だから日産はオリンピックのスポンサーに適していない。日産が今すぐ行いを改めることを要求する。さもなければ、日産のオリンピック関与を阻止しなければならない」と言明した。
 
この問題の背景はUAWが南部に位置する自動車工場組織化に傾注しているが、いずれも失敗していることだ。米国では南部の州を中心に23の州で「労働の権利法」が施行されて、労働組合加入と組合費納入が個人の自由意志となっている。しかも、労組の組織化にあたっては経営側も反組織化キャンペーンを行うことができる。例えば、社長が各労働者に「労組に加入しなくても労働条件は守る」といった手紙を書くことも通常行われている。工場の中でのUAWの労働者への働きかけも阻止でき、UAWは門前での働きかけのみしかできないため組織化は難しい状態となっている。州によっては門前に労組が事務所を設けることを禁止しようという動きもある。
こんかいのUAWの動きはミシシッピの仇をリオでということだ。
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