トランプ大統領をはじめ、多くの首脳がコロナウィルスに対する戦いを宣言し、非常時として自動車メーカーなどにベンチレーター(人工呼吸器)や医療用マスクの増産を命じている。それでも米国では死者の数が増え続け、昨日は200人にもなっている。日本の死者の累計が94人だから当に戦時中だ。今日のニュースでは日本でも体温計が逼迫してマスクと同じ現象が出ており、不安感が増している。
ところが、医療用マスクも防護服も備蓄されており、国民が安心している国がある。それは最も幸福な国ランキング1位のフィンランドだ。長年にわたって蓄積された備蓄には、医療用品だけでなく、石油、穀物、農業ツール、弾薬を作るための原材料も含まれ、国民がスーパーに殺到することはない。隣国のノルウェー、スウェーデン、デンマークも冷戦時代に医療および軍事機器、燃料、食料の大規模な備蓄をしてたが、冷戦終了後備蓄を止めてしまった。コロナウィルスによる死者はスエーデン687人、デンマーク213人、ノルウェー101人、に対しフィンランドは40人と少ない。
需要蒸発で各企業はこれから程度の差はあるが苦難の時代をむかえる。米国ではさしあたりボーイングを救済するかどうかが大きな議論となっている。ボーイング社はコロナウィルス以前に737MAXの問題があり、これにコロナウィルス不況が重なり、600億ドルの支援を政府に求めている。しかし、同社は過去に400億ドル強自社株買いで株主に報いており、キャッシュの積立を怠っていたため、国民からは同社への支援は疑問とされている。一方マイクロソフトや配当すらしてないアマゾン、ツィター、グーグルは内部留保が豊富で乗り切りに自信を深めている。大株主の経営者は100億ドル~1000億ドルの寄付を申し出ているくらいだ。
日本の企業はこの20年間、貯め込んでいるが、中小企業は苦しい。経常利益がゼロになる売上げ減はどのくらいか?平均で見るとリーマンショック時にはおおよそ2割、現在は3割売上げが減ると赤字となる。業種別では自動車4割と耐久力があるが、今回最も影響を受ける宿泊・飲食業では10%減ると赤字に転落する。
現代でも生きる蟻ときりぎりす寓話だ。