アップルのCEOスティーブ・ジョブズが病気の理由でティム・クックCOOにその地位を譲った。現在米国で最も価値のある企業に押し上げた56歳の働き盛りがとたんの引退で大きな衝撃が走った。
米国のマスコミでは癌でこれ以上は勤まらないという説が有力だが、シリコンバレー辺りではティム・クックをアップルに引き留めるために降りたという説も流れている。アップルの光と影にふさわしい秘密のベールに包まれている。
1970年代後半コンピューターがようやく大型から小型(オフコン)へそしてパーソナルへと身近になってきた時代、シャープをはじめ家電、通信各社がPCを競って売り出した。会社ではもっぱらNECの98シリーズ、互換性のない時代で、80年代に入り、マイクロソフトのOS、MS-DOSが支配しだした1990年代、ウインドウズの登場で勝負がついたかに見えた。
しかし、当時20歳後半のジョブズが開発したマッキントッシュは初めてマウスを装備し、ウインドウの概念を導入した極めてユーザーフレンドリーで誰でもほしがる夢のようなPCだった。当時ユビキタスという言葉が出てきた。その意はいつでも、どこでも、だれでもが情報を受けることができるインタフェース、環境、技術のことで、ジョブズはそれをひたすら目指した。現在のiphoneやipadで見事にそれらを実現した。しかもPCだけでなくソニーが手がけたウオークマンの機能も取り込み、さらにCDを駆逐するiTunesまで発展させた。
実に傑出した夢追い人で、事業家としてもアップルを時価総額最大企業にのしあげ成功したため、ヘンリーフォードと並ぶとさえ評価する人もいる。まさに光り輝いているジョブズだ。
しかし、ジョブズの米国内でのものづくりは必ずしも利益を上げるところまではいかず、アップルの高収益を生み出した一連のiphoneやipad、MacBookはティム・クックが導入したサプライチェーンによるものだ。しかもこのブログで何回か書いたが、サプライチェーンの中、中国における組み立て工場フォックスコンの過酷な労働は多くの犠牲者を出した。ヘンリーフォードの自動車産業のように米国国内では多くの雇用を生み出してない。
http://blog.goo.ne.jp/ajimayukuo/e/2a3d7bbfbe7aa52981ea056808198a96
引く手あまたのティム・クックをアップルに引き留めたいのは収益を落とせないためと考えるのはうがちすぎか
それにしてもこうした夢を追う経営者が日本にいないものか、日本メーカーもipadに負けずとタブレットを出し始めているが、超えるものは難しい。かつてどこでも音楽をという夢を実現したソニーでも何でも低コストで作れたパナソニックはグローバル時代から取り残されたのだろうか
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