行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

働き方改革にヤマト労組の一石

2017-02-25 18:52:09 | Weblog

2月10日のブログ働き方改革の基本で「過剰サービスは自分の首を絞めることになる」と指摘した。それに反応するように、今春闘要求の一環でヤマト運輸の労働組合が労使交渉で宅配便の荷受量の抑制を求めた。インターネット通販の普及で宅配個数が増加し、人手不足で長時間労働が慢性化しているため危機感を持った現れだ。確かにアマゾンのように翌日すぐ配達されれば、便利だが、ドライバーの負担は相当な無理だろう。

 ヤマト運輸の16年3月期の宅配便取り扱い個数は17億3000万個と過去最高で、17年3月期はこれを上回るペースで増えている。労組は18年3月期の宅配個数が、17年3月期を上回らない水準に抑えることを求めている。ヤマト運輸の親会社のヤマトホールディングスは人手不足による人件費高騰や外部委託費の増加を背景に、17年3月期の連結純利益予想を従来の390億円から340億円に引き下げた。まさに骨折り損の草臥れ儲けになっている。

社会的な流れの中で、会社側も労組の要求に応じれば、アマゾンなどの大口顧客に対し、値上げなどを求めることになり、折り合えなければ荷受けが停止される可能性もある。通販業界も夜間に時間帯を指定して届けるサービスの停止や、ある程度の値上げを受けざるを得ないだろうし、消費者も少しの我慢が必要だ。労組の要求で株式市場では早くもヤマトホールディングス社の利益が増えると株価が上昇した。

他の業界でも長時間労働を是正するには、

その原因となる「急な仕様変更」「納期の短縮」「突発事故の処理」など、日本の企業は顧客第一とばかりに現場に負荷を掛ける。近年人手不足で現場は残業で処理をせざるを得ない。これから益々少子高齢化でこのようなことでは長続きしない。そうした事情を会社は顧客に説明し納得してもらわないとやがては共倒れになる。今回のヤマト労組は日本の古き悪習に一石を投じた。


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