今の若い人には日本列島改造論といってもピンとこないかもしれない。善し悪しは別として1972年日本の歴史に輝く田中角栄元首相が唱え実際実行したインフラ投資で、日本列島に新幹線網、高速道路網を構築を目論み、四国には橋を4本架けるなど、日本中でブルドーザーが駆けまくった。その後石油ショックで狂乱物価時代になり、多くの計画は頓挫したが、大部分は現在まで引き継がれている。
AIIBが発足し、いにしえのシルクロードを現代の鉄道で復活するなどを念頭に置いた中国と欧州を結ぶインフラ投資やアジア諸国のインフラ投資を行うことが主業務だ。英国を筆頭に欧州やアジア、中南米57カ国が出資するが3割は中国の出資で初代総裁に金立群(ジンリーチュン)・元中国財務次官就いた。いわばユーラシア改造計画で、中国がTPPで東への進出が思うとおりに行かないがために西へと向かう雄大なものだ。
中国からの報道では不況に陥った鉄鋼産業では、在庫が数年分あると云われ、セメント業界を含めこのAIIBのインフラ投資は願ってもない千載一遇のチャンスと捉えている。AIIBの発足が中国の不況と重なり、在庫に喘ぐ中国経済にとって在庫処分用国際組織とらえかねない事態となっている。
しかも、中国の官民の債務は昨年来の金融危機で、大きく膨らみ中国の財布自体万全とは言えない。そうしたことを踏まえて金総裁は発足の記者会見では具体的なプロジェクトには触れず、しかもプロジェクト自体アジア開発銀行やIMFと組んで行うと明言。透明性の確保を強調せざるを得なかった。
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