2012年に経営危機をむかえたパナソニック、ソニー、シャープ、人員削減など大幅なリストラを実施し、パナとソニーはその後何とか再建を果たしたが、この5年間シャープは何回か再建計画を実行したが、果たせずついに崖っぷちに立たされている。今日の報道では産業革新機構が3000億円の出資、メインバンクの債権放棄3500億円で最後の再建に取り組むとのことだ。
台湾の電子機器受託製造サービス(EMS)鴻海精密工業は以前からシャープ買収を狙っており、7000億円を用意しているという報道もあり、まだシャープの技術は捨てたものではない証拠ともいえる。この会社はフォックスコングループの中核会社で世界最大手のEMS、グループ連結売上高は13兆円という急成長したマンモス企業で従業員は92万名という怪物企業だ。
このブログで何回か取り上げたアップルのiPad,iPhoneを中国で受諾生産しているフォックスコン社は鴻海精密工業の子会社だ。フォックスコン社は中国の農民工を劣悪な労働条件で雇い、目下国際的に監視下にある問題企業。米国公正労働協会の調査報告によると、長時間労働や未払い賃金、安全面で違法行為が行われているとし、これを受けてアップル社と鴻海精密工業は改善すると約束した。詳細は2012年3月31日のブログで書いたがこの鴻海精密工業がシャープを買収しなくて実際のところほっとしている。
しかし、液晶関連を取り巻く環境は日進月歩で、かつ中国や韓国の大手が巨額の投資を計画しており、厳しい状況に変わりはない。5年間での実績を考えると、経営者の手腕がお粗末であったことは事実で、思い切った人材を据えないことにはまた同じことが繰り返される。日本航空が京セラの会長であった稲盛和夫氏を招いて見事に再建を果たしたように、トップの人材が再建のかぎを握っている。世界中から相応しい人を探すことだ。
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