経営再建中の日産自動車、スペインで5月下旬にバルセロナの工場を閉鎖すると発表したが、これに労働組合が猛反発、5月4日より全面的なストライキに突入した。8月7日、ほぼ3ヶ月の長期闘争の後、当局の仲裁も入り、2021年末まで生産し、雇用を確保する協定を締結した。以下、国際産業別労組インダストリオール(本部ジュネーブ)のニュースは報じている。
労働組合は5月4日に無期限のストライキ行動を開始した後、キャラバン隊を組織し、全国的な抗議運動を展開、スペイン全土の日産ディーラーでデモが行われた。パンデミック下での厳しい闘争で、8月に入り、仲裁委員会による日産自動車イベリカ(NMISA)とスペイン3労組との39時間の交渉の結果、生産の継続を2021年末まで行うことが決まった。とりあえず協定により、バルセロナのゾナ・フランカ、モンカダ、サン・アンドレウ各生産拠点と日産流通センターの従業員の雇用は確保された。その間、早期退職制度による手当ての積み増しなどで、希望退職は認めることになった。
今後の問題は工場閉鎖後の対策に焦点は絞られ、雇用を確保する職場(再工業化)をどう存続させるか労働省との交渉が進められている。インダストリオール書記長ヴァルター・サンチェスは「日産スペインの協定は非常に良い結果で、2500人の雇用が確保された。重要なポイントは、本協定と再工業化プロジェクトとの間のリンクだ。熟練した労働力の再配置は、これらのスキルと生産能力が失われないようにするヨーロッパのグリーンニューディールの一部だ。我々は、労働省に対し、このプロジェクトの詳細に細心の注意を払うよう強く求めて行く」と述べている。
此のニュースからグリーンニューディールという環境問題から拡張した新しい概念が出てきた。熟練技術をどう残してゆくか日本でも大きなテーマだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます