行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

なぜ米国の消費は不振なのか 日本化現象!

2010-08-08 23:21:34 | Weblog
日本の現金給与総額は2001年以来減少を続け、05年にようやく0.6%,06年0.3%と回復したが07年からまた減少し、2009年には前年比3.8%減となり、減少率の大きさは、統計調査開始以来最大のもので、歴史的にみても大きなものとなった。個人消費は当然縮小し、物価も下がる、デフレの典型的な現象だろう。

ところが、ニューヨークタイムスによると、米国も同じ現象が起きている。会社だけでなく地方自治体が財政危機のため、職員をレイオフする代わりに賃金カットをやり出した。こうした傾向は経済を弱体化し、デフレのリスクに近づく、物や資産の価格が下がり、人々はさらに下がることを予想し,消費を控える。典型的な例が米国住宅市場での価格下落だろう。

ハワイ大学の教授陣は6.7%の賃金カットを受け入れ、A社では6000人の従業員に1.8%の賃金カットを実施、ニューヨーク州知事は州職員の賃金の4%削減を探っている。バーモントの警察官は3%のカットを受け入れた。この傾向は全国的で全国都市連盟の調査によると51%の都市で賃金カットか凍結を実施し,22%が福利厚生を含めたカットをするべく労働協約を改定した。

ウィスコンシンの家電メーカーは労組との交渉で賃金カットを受け入れてくれないなら工場をアリゾナかケンタッキーに移すと提案、労組も他に仕事を探すのは難しいので20%カットの提案をのんだ。GMでさえ新入社員の賃金は半分(時給14ドル)だ。またプロビデンスのウエスティンホテルのようにノンユニオンのホテルと競争するため、労組に20%の賃金カットを受け入れさせた。

以上きりがないくらい米国で今起きている現象で、しかも人々の貯蓄率は4から6%になり、貯蓄ゼロか借金漬けであった同じ国民とは思えないほどだ。バーナンキFRB議長は米国国民の健全化と評価?している。
これまで米国の消費が世界経済を引っ張ってきたがこの調子ではもはや期待できない。米国の消費力に替わるものはまだ見あたらない以上、世界経済は当分回復しないだろう。唯一の望みは中国、インド、インドネシアといった人口大国での経済発展だ。

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