行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

長期安定雇用を再評価した労働白書

2010-08-10 18:24:37 | Weblog
厚生労働省は8月3日、2010年版の労働経済白書を発表した。注目すべき点は、今回の白書では、①1990年代半ば以降、非正規雇用化が強まり、2000年代の景気拡張期には、大企業を中心に非正規雇用が増加した。②非正規雇用の増加により、平均賃金が低下するとともに、相対的に年収の低い層の増加が、雇用者の賃金格差拡大の要因となった。

③このような平均賃金の低下や格差の拡大により、所得、消費の成長力が損なわれ、内需停滞の一因になったものと考えられる。④これを踏まえ、近年では、人材育成機能を備えた長期安定雇用のメリットがデメリットに比べて大きくなると考える企業が多くなっている。

以上のような分析をし、白書は今後、着実な経済成長を実現していくためには、先ず経済活動の成果を適切に配分し、労働者の働きがいを高めていくことが求められる。そして長期的な視野のもとに人材の採用、育成、能力評価がなされ、労働生産性の上昇を実現することが重要であるとし、特に商品やサービスの付加価値を生み出す力を高め、経済成長を実現するには人材育成が重要として、長期安定雇用が有効であると訴えた。

私の持論である「長期安定雇用」が再評価されたが、日経をはじめマスコミにどれだけ理解されたか?国際競争力コスト論から非正規労働者の規制緩和をいまだに主張しているが、この根拠はこの白書により論破された。国際競争力の原点である開発力や技術力は長期安定雇用なくしては難しい。むしろ正規労働者の雇用の柔軟化と長期安定雇用をどう実現するか今後の大きな課題だがそれはふれてない。


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