最高気温7、0度(最低気温3、4度)。
「今日は、ひやいすねぇ・・・」
「ひやいねぇ、いきなり真冬になったねぇ・・・」
午後。沈下橋に向かう途中の僕は、そんな挨拶を、散歩をしているおんちゃんと交わしました。
朝の空は、雨雲に閉ざされていて、暗い空からミゾレ混じりの冷たい雨が降りました。
冷えるなぁ・・・。コタツに閉じこもって、熱いお茶をすすりつつグレーの空をながめる。
しかし、昼まえから吹きはじめた、木々を大きく揺さぶる強い風が、
雨雲を吹きながせば、じこじこと晴れ間が広がりはじめて、やがて陽がこぼれてきました。
ひさしぶりに顔を見せた太陽。その嬉しさに、ぬくさに外にでかけたくなるのは、誰も同じですね。
ゴウゴウと吠える風が、水面にウサギを飛ばし、岸辺の木々を大きく鳴らし、午後の川を吹きぬけてゆきます。
沈下橋の上では、しっかりと足を踏ん張らないと、川に吹き落とされそうなほど。
ダウンジャケットのポケットに手を突っこんだ僕は、
小雪混じりの凍えをはらんだ風に、震えながら、鼻水を流しながら川をながめました。バカですね。
でも、僕は、この真冬の爆風を待ちわびていたのです。
南国の川に、本格的な冬が来たことを、カラダとココロで感じられるし、
(デラシネガイドは)こんな強い川風に吹かれる経験も、そういつまでも出来る訳がないと知っているから。
風に吹かれる旅の日々。
いつか、記憶の川に吹く風のコトを懐かしく思い出すときがくるのでしょう。自分が風になるときに。
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