原題は「HEAVY LOAD FREE」
ながらく国内版が通常流通ルートで発売されなかった書籍だ。
実に濃密で重厚な労作だ。
70年代の「忘れじのブルースロック・グループ=フリー」の伝記本。
David Clayton氏と、Todd K. Smith氏との共著
フリーは洋楽コンサートに飢えた1971年の日本ファンの前で伝説的な
演奏を披露し、根強い人気のあるロックバンドに関わらず、和訳の伝記本が
無かった。
そして、ボックスセットCDの国内盤も発売されなかった。
とんでもない事である。
それを憂いた(?)日本人のフリー・ファン=葛葉哲也氏が自ら翻訳し、
自主出版されたのが、「HEAVY LOAD FREE “ブリティッシュ
ブルース・ロックの雄 フリーの軌跡”」であり、私自身、訳者の方に直接
連絡して購入した物だ。2013年の事だった。
当時、国内出版社を訪ねたそうだがサイズの大きさとページの多さに難色を
示され、出版不況もあって遂に良い返事は貰えなかったという。
自費出版を知らせる記事を書いてくれたのも、レコード・コレクターズと
ストレンジ・デイズなど、ごく一部…。
それでも熱心なフリー・ファンは「ヘヴィ・ロード」を入手し、貪るように
読んだ。当時ウチのブログで取り上げた記事にも大きな反響があった。
※「存在を知った時には手がかりを失っていた」という悲痛なコメントが
寄せられたものです。
葛葉氏はネットやメールを一切やらない人ゆえ郵便でのやりとりのみで、
人を紹介するのには在庫の有無や個人情報を伝えてよいかの確認が必要
だったのでした…。
ほぼ在庫が終了した、そんな時「国内出版社が興味を示してくれた」という
手紙が来ました。ただし、せっかくなら写真やデータを原書通りに掲載した
「完全版」にしたいという返答があったという。
そこから数ヶ月。
遂に「フリー・ザ・コンプリート」出版の報が届いた。
以前、葛葉氏を紹介した同好の士も知らせてくれた。飛び上がらんばかりに
私は喜んだ。
発売日は伸び、副題も「伝説のブリティッシュ・ブルース・ロックバンド、
栄光と奈落」から「栄光と転落」→「栄光と苦悩」へと変わった。
限定1500冊。これは買い損なうわけにはいかない。
amazonで予約した。
そして遂に我が家に到着した。(発売日から1日遅れで)
「フリー・ザ・コンプリート/伝説のブリティッシュ・ブルース・ロック
バンド栄光と苦悩」
デヴィッド・クレイトン+トッド・K・スミス 訳:葛葉哲也
4,536円(税込) DU BOOKS JPN
写真が、ツアー記録が、スタジオデータが、満載だ!文字が横書きだ!
宝物が増えた感慨…。
しばらく感動に浸り続けた後、ページを捲る。
巻頭文は、アレクシス・コーナー、クリス・ブラックウェル、そして
アル・クーパー!
自身も白人ブルースロックを切り開いた紐育人アル・クーパーが、英国
ブルース・ロックの雄・フリーを絶賛している!
頁を読み進めると、メンバーの生まれ育ちから綴られる。
ポール・ロジャース、ポール・コゾフ、アンディ・フレイザー、サイモン・
カークの幼き写真が可愛らしい。
音楽で身を立てる事を決意した若者が、バンドを組み、やがて吸い寄せら
れるかのようにロンドンで集結。
※コゾフがカークをオーディションで選ぶシーンもあり。
野心に満ちたメンバーだが全員が十代!
アンディは16歳だがジョン・メイオールのバンドでの経験もあり、領収書・
チケットの切り方を心得たマネージャー的役割もコナした。そしてリーダー
宣言!(イザという時は北の男ロジャースさんが睨みを効かせたそうだよ)
荒々しいブルース演奏は口コミで評判を呼び、ライブハウスに客を呼べる
人気バンドになった。
そして新興レーベル「アイランド」との契約、アルバム発売、大ヒット曲・
「オールライト・ナウ」誕生。
その中で続くヒット曲を求められるプレッシャー、焦燥も生まれる。
新人時代、次のライブハウスに移動する間、バンの中で笑いあって曲を描いた
彼らが、バラバラになっていく。
スタジオ・レコーディングの際、弾き方を指図される事にコゾフは我慢ならず、
移籍を図ったり、クスリに走ったり…。
そして崩壊。
再結成しても、やっぱりダメ。
誌面も後半はひたすら辛い。キーフ・ハートリーの自伝「ブリックヤード・
ブルース」はゲラゲラ笑えて爽快感さえあったが、フリーの伝記は…。
真面目なのだ、音楽に、ロックに身を殉じてしまうのだ。
※ワイト島の映像…数万人を前に全身全霊で演奏し、フラフラになって退場
する姿…。若いよ、バカだよ!(涙)
それでもブルースロックとハードロックの架け橋となり、世界中の若者に本物の
ロックを伝えて消えたFREEの勇姿は永遠に残り続けるだろう。
英国の同業者、ルウ・グラムやレイナード・スキナードのメンバー、サバイバー
たちの米国ミュージシャン、成毛滋ら日本のミュージシャンに与えた影響、衝撃は
計り知れない。
レイナードの面子なんて「オレは音楽に本腰を入れる!遊んでなんていられない!」
…と決意したという。
ロニーは直に見れなかったらしいが、若きレイナード達はフリーの公演の凄さを
語り、見れなかったメンバーは本当に悔しがったという。
おそらく最後の公演地となった豪州でも、ヤング兄弟が衝撃を受けたことだろう。
だって自分らと大差ない、十代の若造が凄まじいブルースロックを、ハードロックを
命がけみたいな勢いで演奏するんだぜ!!
この書籍はコゾフの死、スタッフの死など辛いエピソードを重ねながら終りに向かう。
明るい話題は、メンバー2名が参加したバッド・カンパニーが大成功を収めるシーン
くらいか…。
コゾフ亡き後、再結成の話は一切出ないFREE。アンディ・フレイザーも故人となった。
こういった書籍で記録、記憶に残す重要性も感じる。
「フリー・ザ・コンプリート」
~伝説のブリティッシュ・ブルース・ロック・バンド栄光と苦悩~
巻末には68年から74年までの全ライブ日程を掲載。
単行本: 280ページ 出版社: DU BOOKS
価格: 4,536円(税込)
今回、完全版としての刊行を出版社から果たした葛葉氏の熱意と継続力に、改めて
最大限の敬意を表したいと思います。
そして出版元のDU BOOKSさんに感謝!(完売したら電子書籍で販売継続して下さい!)
FREE FOEVER!!
ながらく国内版が通常流通ルートで発売されなかった書籍だ。
実に濃密で重厚な労作だ。
70年代の「忘れじのブルースロック・グループ=フリー」の伝記本。
David Clayton氏と、Todd K. Smith氏との共著
フリーは洋楽コンサートに飢えた1971年の日本ファンの前で伝説的な
演奏を披露し、根強い人気のあるロックバンドに関わらず、和訳の伝記本が
無かった。
そして、ボックスセットCDの国内盤も発売されなかった。
とんでもない事である。
それを憂いた(?)日本人のフリー・ファン=葛葉哲也氏が自ら翻訳し、
自主出版されたのが、「HEAVY LOAD FREE “ブリティッシュ
ブルース・ロックの雄 フリーの軌跡”」であり、私自身、訳者の方に直接
連絡して購入した物だ。2013年の事だった。
当時、国内出版社を訪ねたそうだがサイズの大きさとページの多さに難色を
示され、出版不況もあって遂に良い返事は貰えなかったという。
自費出版を知らせる記事を書いてくれたのも、レコード・コレクターズと
ストレンジ・デイズなど、ごく一部…。
それでも熱心なフリー・ファンは「ヘヴィ・ロード」を入手し、貪るように
読んだ。当時ウチのブログで取り上げた記事にも大きな反響があった。
※「存在を知った時には手がかりを失っていた」という悲痛なコメントが
寄せられたものです。
葛葉氏はネットやメールを一切やらない人ゆえ郵便でのやりとりのみで、
人を紹介するのには在庫の有無や個人情報を伝えてよいかの確認が必要
だったのでした…。
ほぼ在庫が終了した、そんな時「国内出版社が興味を示してくれた」という
手紙が来ました。ただし、せっかくなら写真やデータを原書通りに掲載した
「完全版」にしたいという返答があったという。
そこから数ヶ月。
遂に「フリー・ザ・コンプリート」出版の報が届いた。
以前、葛葉氏を紹介した同好の士も知らせてくれた。飛び上がらんばかりに
私は喜んだ。
発売日は伸び、副題も「伝説のブリティッシュ・ブルース・ロックバンド、
栄光と奈落」から「栄光と転落」→「栄光と苦悩」へと変わった。
限定1500冊。これは買い損なうわけにはいかない。
amazonで予約した。
そして遂に我が家に到着した。(発売日から1日遅れで)
「フリー・ザ・コンプリート/伝説のブリティッシュ・ブルース・ロック
バンド栄光と苦悩」
デヴィッド・クレイトン+トッド・K・スミス 訳:葛葉哲也
4,536円(税込) DU BOOKS JPN
写真が、ツアー記録が、スタジオデータが、満載だ!文字が横書きだ!
宝物が増えた感慨…。
しばらく感動に浸り続けた後、ページを捲る。
巻頭文は、アレクシス・コーナー、クリス・ブラックウェル、そして
アル・クーパー!
自身も白人ブルースロックを切り開いた紐育人アル・クーパーが、英国
ブルース・ロックの雄・フリーを絶賛している!
頁を読み進めると、メンバーの生まれ育ちから綴られる。
ポール・ロジャース、ポール・コゾフ、アンディ・フレイザー、サイモン・
カークの幼き写真が可愛らしい。
音楽で身を立てる事を決意した若者が、バンドを組み、やがて吸い寄せら
れるかのようにロンドンで集結。
※コゾフがカークをオーディションで選ぶシーンもあり。
野心に満ちたメンバーだが全員が十代!
アンディは16歳だがジョン・メイオールのバンドでの経験もあり、領収書・
チケットの切り方を心得たマネージャー的役割もコナした。そしてリーダー
宣言!(イザという時は北の男ロジャースさんが睨みを効かせたそうだよ)
荒々しいブルース演奏は口コミで評判を呼び、ライブハウスに客を呼べる
人気バンドになった。
そして新興レーベル「アイランド」との契約、アルバム発売、大ヒット曲・
「オールライト・ナウ」誕生。
その中で続くヒット曲を求められるプレッシャー、焦燥も生まれる。
新人時代、次のライブハウスに移動する間、バンの中で笑いあって曲を描いた
彼らが、バラバラになっていく。
スタジオ・レコーディングの際、弾き方を指図される事にコゾフは我慢ならず、
移籍を図ったり、クスリに走ったり…。
そして崩壊。
再結成しても、やっぱりダメ。
誌面も後半はひたすら辛い。キーフ・ハートリーの自伝「ブリックヤード・
ブルース」はゲラゲラ笑えて爽快感さえあったが、フリーの伝記は…。
真面目なのだ、音楽に、ロックに身を殉じてしまうのだ。
※ワイト島の映像…数万人を前に全身全霊で演奏し、フラフラになって退場
する姿…。若いよ、バカだよ!(涙)
それでもブルースロックとハードロックの架け橋となり、世界中の若者に本物の
ロックを伝えて消えたFREEの勇姿は永遠に残り続けるだろう。
英国の同業者、ルウ・グラムやレイナード・スキナードのメンバー、サバイバー
たちの米国ミュージシャン、成毛滋ら日本のミュージシャンに与えた影響、衝撃は
計り知れない。
レイナードの面子なんて「オレは音楽に本腰を入れる!遊んでなんていられない!」
…と決意したという。
ロニーは直に見れなかったらしいが、若きレイナード達はフリーの公演の凄さを
語り、見れなかったメンバーは本当に悔しがったという。
おそらく最後の公演地となった豪州でも、ヤング兄弟が衝撃を受けたことだろう。
だって自分らと大差ない、十代の若造が凄まじいブルースロックを、ハードロックを
命がけみたいな勢いで演奏するんだぜ!!
この書籍はコゾフの死、スタッフの死など辛いエピソードを重ねながら終りに向かう。
明るい話題は、メンバー2名が参加したバッド・カンパニーが大成功を収めるシーン
くらいか…。
コゾフ亡き後、再結成の話は一切出ないFREE。アンディ・フレイザーも故人となった。
こういった書籍で記録、記憶に残す重要性も感じる。
「フリー・ザ・コンプリート」
~伝説のブリティッシュ・ブルース・ロック・バンド栄光と苦悩~
巻末には68年から74年までの全ライブ日程を掲載。
単行本: 280ページ 出版社: DU BOOKS
価格: 4,536円(税込)
今回、完全版としての刊行を出版社から果たした葛葉氏の熱意と継続力に、改めて
最大限の敬意を表したいと思います。
そして出版元のDU BOOKSさんに感謝!(完売したら電子書籍で販売継続して下さい!)
FREE FOEVER!!
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