函館や釧路、稚内などもそうですが、港町は昔からあらゆる地域の人やモノが集まるからか、実に様々な料理の店があり、かつ、独自の食文化が根付いているように思えます。
その最たるは、小樽。
掘り下げれば底無しのように、実にバラエティに富んだ料理と店が揃っている印象があります。
中々足を運べないのですが、行きたい店は和洋中、イタリアンにフレンチに焼肉、蕎麦、さらにはピザやハンバーガーやカツ丼に至るまで、いくらでもあります。老舗も新しい店も、魅力たっぷり。
どうしても小樽と言うと寿司。
でも、僕は小樽で寿司を食べたことは実はありません。
(^_^;)
この奥深い食文化の小樽に、奥深いバルが。
中心部のアーケードからヒョイと横道に。
居酒屋などが並ぶ小路に、そのバルはあります。
木目を活かした店内と、優しいライト。温もり溢れる空間。
もう、十年以上はお世話になってるバーテンダーさんが、アメリカなどでも働いていらっしゃったと言うシェフとタッグを組み、最近開店した店です。
お料理も本格派にして、酒呑みのツボを突くものばかり。
おつまみを色々盛り合わせたもの。自家製ポークジャーキーにレバパテ、オリーブ、キノコのマリネにオススメのチーズなど。
この佇まいに、ニンマリしない酒呑みは居ないのではないかと。
レバパテがあまりに気に入ってしまったので…
単品でも注文。臭みはなく、旨味だけを凝縮したようなそのレバパテは、実に柔らかな味わい。まるで程よく空気を含んだ、ケーキのバタークリームのように仕上げられ、舌の上に載せればすぐにフワリと旨味がほどけるように溶けて、口の中にドドッと拡がります。
…すみません、レバパテにはうるさいんです。
(^_^;)
久しぶりにレバパテで至福の時間を過ごしましたよ。これは他のお料理も間違いない証し。
すっかり写真を撮り忘れてバクバク食べてしまったんですが(笑)、倶知安産のジャガイモで作ったジャーマンポテトが、もうベーコンもポテトもカリカリの、ベーコンの旨味も染みまくりだったので、もう一品ジャガイモで何かを、とお願いしたら…
ビネガーを利かせたトマトソースで仕上げたものが。
次々と、ツボを突いてきます。お酒を呑む、その中盤で正しく欲しくなる味。その酸味で口の中をさっぱりさせつつ、酒を加速させるジャガイモの旨味と甘味。
これでずっと呑んでましたよ、実際。
そして、これまた酒呑みの癒しのような逸品。
アメリカ仕込みなんでしょうか。このホットドッグ。甘めのソースがまず素敵。香りも食感も素敵なパン。そして、噛むと肉汁がプチンと弾ける素敵なソーセージ。
…素敵だらけのホットドッグ。
しみじみ噛み締めました。
そして。
もちろん、お酒も。
一枚目の写真は、ジャックローズというカクテルをロックスタイルにしていただいたもの。
普通のバーテンダーさんであれば、ウイスキーで使うグラスに普通の丸氷をいれるか、シェーカーの氷を入れて注ぐと思うんです。
でも、このジャックローズ、小さめで若干の丈のあるグラスに、小さめの丸氷を入れて注いでます。
すると、最初は沈んでいる丸氷がしばらくすると徐にプカリと可愛く浮かぶわけです。
それはまるで地球のよう。氷の周りのグラデーションも美しい。
実は、ススキノのバーのバーテンダーさんにもこの写真を見ていただいたのですが、一様に驚いてました。
この「演出」、実際に飲んだ自分もすっかり魅了されました。それは客を思うお気持ちの現れ。ありがたい。
こちらでカクテルを頼むお客さんは少ないようなんですが、バーに通いつめた方には、カウンターの上の道具やバックバーで解るはずです。
ぜひ、カクテルも味わっていただきたい。
開店から数ヵ月なのですが、「ただいま~」なんて言いつつ入ってくる常連さんも既に。
自分は客の一人に過ぎません。
でも、このブログのブックマークにもあるとおり、自分が全幅の信頼を置くバーテンダーさんが、このシェフをパートナーに小樽で闘っている。
それだけで嬉しくなってしまった夜でした。