晩秋の晴れ渡った休日。
由仁町「牛小屋のアイス」に到着したのは、開店の1時間半前。
なぜ、そんな早くに行ったのか。
こちらのお店の名物は、店主の「やっちゃん」がお客さん一人一人と向き合い、話しながら、世界でたった一つのアイスを作り上げてくれる「お一人様まぜまぜアイス」。
最初から混ぜ合わせられたオリジナルアイスもありますが、「お一人様」は味の好み、アイスの種類、入れたいトッピング、組み合わせの良し悪しなどを、やっちゃんとお客が話しながらどんなアイスにするか決めていき、目の前のコールドストーンの上で自分好みのアイスを混ぜ合わせてくれるわけです。
その間の、やっちゃんとの会話自体を楽しみにしてるお客さんも多数。
やっちゃんやスタッフさんは、いつも満面の笑みで迎えてくださり、アイスを食べに来る事のみならず、お店の皆さんとのふれあいも多くの人が魅力と感じていると思うのですが、やはりやっちゃんとの会話はその真骨頂。無条件で元気になれます。
豪快な笑い声が響き渡る中、手渡されるアイスは唯一無二の極上の味わい。
お客さんが続々とやって来るのは、当然です。
しかし、残念ながらこの「お一人様まぜまぜアイス」、今年限りで終了となることがしばらく前にアナウンスされていたのです。
すると、最後にもう一度、やっちゃんにアイスを作って欲しい!というお客が殺到し始め、開店後すぐに「お一人様」の受け付けが終了して、三時間や四時間待ちになる…なんて言う、まるでテーマパークのアトラクション状態だと聞き…
開店前、お店の入り口に置かれる整理券を確実に確保すべく、早めに向かった訳ですよ。
…甘かったですね(笑)。
一時間半前で整理券の番号は辛うじて12番。
受け付けしたら二時間半待ち。
なので、待ってる間、近くの温泉に行きましたよ(笑)。予想はしてたので、タオルとか持って行ってたんです。
σ(^_^;)
そして自分の順番がやってきて、やっちゃんに最後にお願いしたのは…
「完全にお任せします。」
の一言のみ。
すると。
イチゴスペシャルが。
これまで、ひたすらイチゴを使ったアイスをお願いし続けて来たので、言わば最終形態。僕の好みを完全に把握してくださってるのがありがたい。自分にとってこの上ないアイスです。
イチゴのショートケーキをアイスにしたような感じ。とにかくイチゴ満載。コールドストーンで軽く凍らせたカスタードソースなども入り、下にはチョコのアイスをベースに、ナッツなどを混ぜたアイスまで隠れています。
とんでも無く美味しかったです。
じっくり、ゆっくり味わいましたよ。
そしてこのまま帰るのも名残惜しく…
太陽ボウルもいただきました。
ソフトクリームにキャラメルポップコーンや、ナッツをどっさりトッピング。
さっぱりした甘さのソフトクリームに、ほろ苦いキャラメルの風味やナッツの香ばしさ。
滑らかに溶けるソフトクリームと、サクサク、カリカリしたポップコーンやナッツの食感の違いも楽しい。
しっかり堪能して、お店を後にしました。
そして、先日の日曜日に今年の営業は終了。
最終日は未明から整理券を求める人がやってきたかとか。
アイスを混ぜ合わせる作業は、かなり手首などに負担をかけることに。以前からやっちゃんはその痛みに耐えつつも、お客さんの笑顔の為に頑張り続けてこられたのだと思います。
ご自身の身体を犠牲にしながら、美味しいアイスを作り、多くの人に笑顔になってもらいたいという想いで、ひたすらアイスと真剣に向き合い続けてこられた14年間。
なので、一度でもやっちゃんに「お一人様」をお願いしたお客さんの中で、今年で終了すると聞いた時に、残念な気持ちになる事はあっても、疑問や「是が非でも続けるべき」なんて事を思った方はいないはずです。
多くの方は感謝の気持ちと共に、「ゆっくり休んで欲しい」「身体を労って欲しい」と思ったのではないでしょうか。
自分も含めて、沢山の「元気」を客は受け取ったはずです。その大きさを考えれば、今回の決断には誰もが同意すると思います。
やっちゃんやスタッフさんは、来年はとりあえず「お一人様」は休むけれど、体調によっては再開するかも、と話されてました。
そうなれば嬉しいのは確かですが、来年も「お一人様」以外のアイスはこれまで通り提供され、やっちゃんもお店に立つとのことですから、それだけでも充分なんですよね。
それに、長年、やっちゃんを支え続けて来たスタッフの皆さんこそが一番、やっちゃんの身体を心配されていたのでは。
なので、やっちゃんには只々、ゆっくりして頂きたい。そう思います。
「お一人様」は無くとも、来年以降もこれまで通り、様々な美味しいアイスを提供してくださるでしょう。
来年以降もこれまで通り、満面の笑みでやっちゃんやスタッフの皆さんが迎えてくださるでしょう。
ならば、僕も変わらず来年以降も、これまでと同じく通い続けるだけです。
そして、またお店の裏のこの景色を眺めてると思います。
来年の春の再会が楽しみです。