新鹿山荘控帳

山荘管理人が季節の移ろいを、書きとめました
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「昭和の名人完結編 八代目桂文楽」

2011-06-10 18:02:22 | 芸術鑑賞
今週発売は、八代目桂文楽でした。今週もどうも後味がいいものではない噺でした。

演目
①酢豆腐
おなじみの、町内の若者たちが通人の若旦那にカビの生えた腐った豆腐を食べさせてしまうと言う噺です。すぐに文楽と判る独特の話し振りの噺です。

②心眼
初商品化の音源だそうです。
揉み療治で生計を立てている盲人が弟に罵倒され、悔しさから女房お竹に進められ薬師様に願を掛け、満願の日に開眼します。浅草の売れっ子の芸者の小春に声をかけられ、二人で待合に入ります・・・

昭和34年のラジオ東京の放送です。当時の世相はこんなだったのでしょうか。盲人関連の表現が沢山出てきます。かなり聴き辛いです。また主人公の盲人の女房の顔つきに対して、贔屓の旦那がかなりと言いますかむちゃくちゃな言い方をします。『人三化け七ではなく人なし化け十だ』と盲人の女房だからと言わんばかりの侮蔑です。
この噺は、三遊亭圓朝の盲人の弟子、圓丸の語った逸話から作られたそうですが、あまりにもひどいです。最後には女房の有り難味に気づく話ですが、決して後味のいい噺ではないと思います。落語を楽しむ前になにか気になってしまうのは、私だけでしょうか。

②愛宕山
旦那のお供で京都の愛宕山に登った、幇間の一八。中腹の茶屋からかわらけ投げの遊び場で旦那がかわらけの代わりに、三十両の小判を的に投げます。それを拾うため傘を使って谷底へ飛び降りますが。

かわらけや小判を谷底の的に投げる様子や、笠で谷に下りる様子、竹に帯をつけて引っ張り谷底から戻って来る様子などがかなり長く描写されます。実際に演者を見られれば面白いかもしれませんが、音声だけではちょっとつまらないです。旦那と幇間の身分の違いもはっきり表現されています。

ある意味、文楽の持っている雰囲気が明治大正の空気を漂わせているのでしょうか。噺の内容ではなく、噺家の持っている雰囲気を感じられる一枚でした。

落語に対する私の気持ちが変わって来ているのでしょうか、ちょっと考えてしまう一枚です。
コメント
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