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神に立ち帰れ

2023-10-22 13:59:41 | メッセージ
主日礼拝宣教  イザヤ40・1-11    

ロシアとウクライナに続き、現在イスラエルとパレスチナに起っている状況はすでにみなさまもご存じのとおりであります。多くの市民が戦争状態に巻き込まれ、実にいたたまれない思いです。このまま負の連鎖が続けば様々な勢力が働き、とんでもない惨事になりかねません。
ニュースで知ったのですが、アメリカの中心部でこのイスラエルの空爆に対する即時停戦と、これに加えて、アメリカの戦争協力に反対を訴える市民のデモが行われており、それはユダヤ系の人たちのデモだということでした。平和を求めて祈り、行動するユダヤ人たちがこんなにもおられるという事実。今のガザに対する強硬な態度を見て、「ユダヤ人は皆、好戦的だ、残虐である」というのは偏見であり誤りであることに気づいた方も多いのではないでしょうか。イスラエル国内にも実に平和を祈り、いのちが軽んじられことに反対する市民が多くおられるのではないかと思います。パレスチナにおいても、又ロシア、ウクライナの国内においても同様です。分断から和解へと憎しみの連鎖を断ち切る決断をもって、平和を願う人たちがいるのです。
私どもも又、キリストによる和解と平和に招かれている者として、平和の主の義と愛を掲げつつ、共にこの世界の状勢を覚え、祈り続けましょう。

本日はイザヤ書の40章の御言葉からですが。南ユダの国と民は預言者イザヤによる神の戒めの言葉を聴いて悔い改めません。不正や搾取ははびこり弱者は顧みられず、神ならざるものの力と勢力に依存し堕落した彼らはとうとうバビロニア帝国に滅ぼされてしまいます。そして、技能を持った者などの働き手を中心にバビロニアの捕囚とされてしまうのです。その彼らは神に見放されたと嘆くのでありますが、神は彼らを見捨てられることなく、その中から一人の主の預言者を召し出されるのです。それが第二のイザヤとされる人物でした。
彼は、先週まで読んできました預言者イザヤとは異なる人物ですが、その第一イザヤの影響を受け、その後を受け継いだとされています。
その預言の中心は、バビロニアの捕囚からの解放とエルサレムに残されていた民の救いと回復の希望であります。それはエルサレムと神殿の崩壊から約半世紀以上の年月を経て、不思議な主の導きにより、遂にペルシャ帝国による捕囚の解放というかたちで実現されていくのです。
もはや激しい審判の苦役の時代は去り、主の慰めを受ける新しい時代が始まります。第二のイザヤは、主なる神から見捨てられた者のようであった捕囚の民、又ユダに残された民に向けて、主のお言葉を取り次いでいくのです。

その冒頭1-2節、イザヤは主のみ声を聴きます。「慰めよ、わたしの民を慰めよ。エルサレムの心に語りかけ、彼女に呼びかけよ。苦役の時は今や満ち、彼女の咎は償われた、と。罪のすべてに倍する報いを 主の御手から受けた、と。」
主なる神は、罪と咎のゆえに打たれたユダの民を、いつまでも捨ておかれず、その「苦役の時は満ち、咎は償われた」と宣言なさるのです。このお言葉は、心打ち砕かれ、罪を悔いるユダのすべての人々にとってどれほど大きな魂のいやし、心の平安、拠り所となったことでしょう。
私たちキリスト者も又、主のみ前にあって罪の赦しの宣言を戴いた者として大いに共感を覚えるものでありますが。ここに神との和解が生じていることに注目したいと思います。

さらに3節には、「呼びかける声がある。主のために、荒れ野に道を備え、わたしの神のために、荒れ地に広い道を通せ」と語られています。これは新約聖書のバプテスマのヨハネがキリストに先がけて登場する際に引用された言葉であります。
そして重要なのは、5節「主の栄光がこうして現れるのを肉なる者は共に見る」ということです。荒れ野に切り拓かれた道を通り、囚われの民が約束の地、それは実に神との和解、神との平和に立ち帰ってゆくことによって、主の栄光が現れされるのです。
ただその道備えは、人ではなく主である神ご自身が整えてくださるのです。
この「荒れ野に道を備え」の「備え」というもとの意味は、「一つの方向に体を向ける」ということです。人が行うことは唯、主が備えて下さった道と、その招きに心と思いと体とを向けて歩み出すこと。そのことが重要なのです。主なる神御自身が、荒れた地に広い道、平坦な道を通し、人の立ち帰るのを待っていて下さる。ここに救いと希望の良き知らせ、福音が語られています。

そしてさらに6節以降、「呼びかけよ、とみ声は言う。」「何を呼びかけたらよいのでしょうか」とイザヤが答えると、このような声が返ってきます。
「肉なる者は皆、草に等しい。永らえても、すべては野の草のようなもの。草は枯れ、花はしぼむ。主の風が吹きつけるのだ。この民は草に等しい。草は枯れ、花はしぼむが、わたしの神の言葉はとこしえに立つ。」
ここには人の世の「虚しさ」と「はかなさ」が語られています。この地上のいかなる栄華を極めた王や権力者、財を築いた者、又どんな勇者であっても草や花が枯れしぼむのと同様、すべては例外なくいずれは朽ち果てていくのです。ですから、この地上のもの、肉なるものに依り頼み、それにしがみつき、固執しようとすることは虚しく、はかないものであるのです。戦争をしているところではありません。                                     ニュースで伝わってくる悲惨な状況を目の当たりにすると、力が抜けるような無力さを覚えます。草は枯れ、花はしぼむことを思い知らされます。しかし、なおも「わたしたちの神の言葉、その約束はとこしえに立つ。」それは決して揺ぐことがない。この希望に私たちも又、生かされているのです。
新約聖書のヨハネ第一の手紙2章17節にも、「世も世にある欲も、過ぎ去って行きます。しかし神の御心を行う人は永遠に生き続けます」と、記されています。「肉」に属するものはすべて朽ちていきます。しかし、わたしたちの神の言葉によって御心に生きる人は、荒れ野のような人生にも永遠のいのちに至る道が拓かれているのです。

そして9節、「高い山に登れ 良い知らせをシオンに伝える者よ。力をふるって声をあげよ、良い知らせをエルサレムに伝える者よ。声をあげよ、恐れるな、ユダの町々に告げよ。」主は良い知らせを告げる使者を派遣なさいます。
この「良い知らせ」、福音は、エルサレム(シオン)といった中心の都だけでなく、荒れ果て、廃れた近郊のユダの町々にも伝えられる必要があったのです。
かつては主とその御言葉に逆らい、背いて滅びに向った民。「聞くには聞くが理解することなく。見るには見るが悟ることのなかった」ユダとエルサレムから主の栄光は去っていかれました。
しかし今や、主なる神ご自身が再び民のもとに戻って来られ、ユダの国、その都エルサレム、そして小さな町々までも慰めと回復が告げられるのです。
私たちにとっての福音、ゴスペル、良き知らせ。それはまさに、神の言(ことば)が人となった主イエス・キリストであり、その救いであります。主がおかれたその所で福音の伝達者としての人生を歩んでゆきたいと願うものです。

9-11節、「見よ、あなたたちの神、見よ、主なる神。彼は力を帯びて来られ、御腕をもって統治される。見よ、主のかち得られたものは御もとに従い、主の働きの実りは御前に進む。主は羊飼いとしての群れを養い、御腕をもって集め 小羊をふところに抱き、その母を導いて行かれる。」
ここで「見よ、あなたたちの神、見よ、主なる神」と、「見よ」と3度も呼びかけられています。
第二イザヤが最も大事にしているのは、この主なる神、救いの神をしっかりと仰ぎ見て生きるように、というメッセージです。
「主なる神は力を帯びて来られ、御腕をもって統治される。」
それは、かつてイスラエルをエジプトから導き出された時と同じように、捕囚とされた民をバビロニアから救い出された事を示します。さらには、多くの日の後、遂に「見よ、わたしたちの神」「見よ、主なる神」として、主イエス・キリストがお出でになるのです。主は、「羊飼いがその群れを守り養い、散らされた羊たちを集め、小羊をそのふところに抱く」ように、ご自分の民を慈愛といつくしみをもって導き、お治めになられます。その主なる神の統治のもとで、主を仰ぎ見ていく民、それは福音によって救いに与ることがゆるされた今や私たちでもあります。
本日は、「神に立ち帰れ」と題し御言葉を聞きましたが。
実に私たちも主イエス・キリストの十字架、その御救いによって日々主に立ち帰り、新生のいのちに与っています。主のいつくしみは私たち一人ひとりに注がれているのです。
それだけではありません。主イエス・キリストは死に打ち克たれた復活の主であられます。「草は枯れ、花はしぼむが。わたしたちの言葉はとこしえに立つ。」永遠なのです。ここに確かな希望があります。
「見よ、主なる神。彼は力を帯びて来られ、御腕をもって統治される」と語られたように、主は最終的な完成の日にすべての権能をもって来臨されます。主を仰ぎ見、その御言葉に生きて来た者は霊のからだをいただいて復活の主と相まみえるときが与えられる、その終末の希望が私たちに与えられているのです。
「マラナタ」:主よ、来たりませ、と待ち望みつつ、恵みに応えて生きる希望と喜びを感謝します。第二イザヤに臨んだ主の言葉は、主イエス・キリストを通して実現されています。今日のこの日も永久(とこしえ)までも!日々、羊飼いなる主イエス・キリストのふところに抱かれて、主の愛と平和に生きてまいりましょう
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