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共に生きる道

2024-12-10 10:57:46 | メッセージ
礼拝宣教 マタイ1章18節-25節  

本日も救いの主、復活の主に導かれてアドベントⅡの礼拝を共に捧げております。
アドベントは日本語で待降節です。待ち望んだ救いの主が、遂にお生まれになるという天使の喜びの知らせに始まり、降誕・クリスマスに備えて祈りつつ、歩む時であります。
全世界に与えられた救いの福音は、先ほど読まれましたように聖霊により身ごもったマリアを、ヨセフが天使いのお告げのとおり、「恐れず妻マリアとして迎え入れる」ことによって訪れるのであります。そうして救い主イエスさまはお生まれくださった。クリスマスが来たのです。神がお与えくださる救いの主、イエス・キリストを迎え入れる。ここにすばらしい喜びと平安・平和のクリスマスがあるのです。

今日は、マタイ1章18節~25節より御言葉に聞いていきます。
この主イエスの誕生の予告についてのお話はルカ福音書ではマリアへの受胎告知として記されております。マタイとルカに共通していること、又異なる点を読み取っていくことは意義あることです。マタイの福音書に特徴的なのは、22節において「主が預言者を通して言われていたことが実現するためである」と記されている点です。それはこれまで旧約聖書のエレミヤ書を読んできましたように、ユダの民は捕囚からの帰還と神殿再建を果たしユダヤ人の信仰復興がなされていきますが。その後も、周辺の大国による侵攻、さらに最も厳しい迫害と苦難の時代が訪れるのです。それは旧約聖書外典のマカベヤ記等からも読み取ることができます。その厳しい状況下、かつて預言者たちが語った、「救い主(メシア)の到来の予告」が人々の生きる望みでありました。
マタイによる福音書には歴史の主が、ユダヤの民の苦難を共に担い、導かれたという視点があります。ルカによる福音書ではマリアが、マタイ福音書ではヨセフが「聖霊」のお働きによって導かれ、やがて同じ聖霊によって主の福音が全世界に拡がってゆくのです。この偉大な神のご計画を覚えながら、今日の御言葉に聞いてゆきたいと思います。

さて、ヨセフとマリアは婚約していました。当時の婚約は、結婚と同じ法的効力をもっていたようです。この当時のユダヤ社会では、たいてい女性は12、13歳で婚約をしていたそうですが。マリアが10代前半であったことはほぼ間違いないようですが、ことヨセフに関していえば諸々の説があり、かなり年齢が高かったといわれています。
又、婚約期間はだいたい1年で、その期間を経てから、夫となる人が妻となる人を自分の家に迎えて同居を始める。これが当時ユダヤ式の結婚であったようです。このヨセフとマリアの二人はその婚約期間中であったのです。
ところが、ヨセフは婚約者のマリアが一緒に暮らす前に妊娠したことを知ります。
自分のあずかり知らぬところで婚約者が身重になるという衝撃的な事態は、ヨセフをどんなに失望させ苦悩させたことであったでしょう。
又、彼は神を畏れ敬う人であり、神の律法規定に正しく従う人でしたから、不貞を働いたかも知れぬ女性を迎え入れることなど出来ないと考えたことでしょう。更には、このことが公になれば、彼女はさらしものとなり、裁かれ、最期は石打の刑で母子ともにその命が絶たれる悲劇となりかねない。そんな心配までヨセフの頭をかけめぐっていたのではないでしょうか。それはもう混乱と恐れが入り混じった感情であったのではないかと想像します。
裏切られたことへの苦しさ。又、神と律法に正しくあろうとする思い。そして、自分の良心として何とかマリアと生まれてくる子を守りたいという板挟みの中で悩み考え抜いた末に、彼は良心に正しくあろうと、マリアと密かに縁を切る決心をするのです。

さて、ヨセフがそのように考えていると、主の天使が夢に現れてこう告げます。
聖書の中には「夢」についての記述が多くあります。旧約聖書ではヤコブが夢で天の梯を上り下りする天使を見て力づけられます。ヤコブのその11番目の息子ヨセフも夢を見て、その夢を説いて神さまのご計画が明らかにされ、実現していきますが。このヨセフも夢の中に天使が現れて、「ダビデの子ヨセフ、恐れず妻マリアを迎え入れなさい。マリアの胎の子は聖霊によって宿ったのである。マリアは男の子を産む。その子をイエスと名付けなさい。この子は自分の民を罪から救うからである。」と告げられるのです。
神の御心は実に明快です。主の使いがヨセフに告げたのは「恐れず、妻マリアを迎え入れなさい。」ということです。箴言19章21節口語訳では「人の心には多くの計らいがある。しかし、主の御旨のみが実現する。」とあります。
ヨセフは律法に基づいて正しさに生きるか。あるいはマリアと子を助けるべきか。迷います。しかしどれを選んだとしても人の計らいは不完全なのであります。心配や後悔がつきまといます。人間ヨセフの正しさの限界がありました。そういう中でヨセフは主の御声に聴き従いました。そこに迷いはありませんでした。私たちは何を規範に歩むべき道を決めるでしょう。主なる神さまは常に生ける御言葉をもって、私たちを導こうとされています。私たちに平安と希望、生きる力と確かさを与えてくれるのです。

さて、ここで注目したいのは、主の使いがヨセフに、「マリアから生まれる子は聖霊によって宿った。」と伝えたことです。ルカ福音書のマリアへの受胎告知の折りは、「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。」(ルカ1章35節)と天使ガブリエルが伝えています。
このように、マリア、そしてヨセフの身に起こっている出来事は、すべて神のご計画とその御旨に基づき、聖霊によって起されたことなのです。
それは二人にとって、それぞれ自分の思い描いていた歩みとは異なるものであったのです。いろいろな困難や葛藤が起こってくる。しかし、聖書は聖霊に導かれて歩み出すとき、「神の義(ただ)しさ」が明らかになり、確かな人生が切り拓かれ生きて行くことができるのです。
私たちも、聖霊が私たち自身の願望とは異なるかたちで導かれることがあるかも知れません。時にそれは困難な道、茨の道かも知れません。けれどもそれが神の備えてくださる道であるなら、聖霊は常に導かれ、その確かさにある歩みをなすことができるのです。それが「インマヌエル」、神が共におられるという体験です。

ヨセフに話を戻しますが。
誰にも相談できずその苦悩を自ら抱え込むしかなかったヨセフ。どんなに彼は孤独だったでしょう。けれども、そのような孤独なヨセフに主は天の使いを遣わして、すべては主の御手のうちにあることを示されました。自分ではどうすることもできないような現実、理解に苦しむような重荷は、自分の肩にすべてかかっているのではなく、主の大きなご計画の中でなされた出来事なのです。
ヨセフは、自分には神さまが共におられる。これから自分たちが負うことになっていく道には神さまが共におられる。そうした信仰の確信へと導かれていくのです。
24節「ヨセフは眠りから覚めると、主の天使が命じたとおり、妻を迎え入れます。」
信仰の確信により彼は新たな日を歩みだします。それは人の力ではありません。まさしく聖霊の力によって、彼は一切を主に明け渡し、新たな道をマリアと共に主の招きに応えて歩み出すのです。

私たちそれぞれも、日常の中で人としての弱さや無力さを感じたり、苦しみ悩み、葛藤することがあるでしょう。
ひそかにマリアと縁を切ろうとした初めのヨセフと同様、私たちもいろんな困難を覚える状況になった時、自分が正しいと思える考え方で解決しようとするのではないでしょうか。人間的な心遣いや配慮も大事ですが、それを優先するあまり、的が外れた方向へ向かうかもしれません。神さまだけが正解を知っておられ、最善を導き、万事を益とすることがお出来になるのです。世の習わしや模範的な回答でなく、すべての真理の源であられる主の御心がどこにあるのかを謙虚に御言葉から聴き取ってゆく、その姿勢が大切でしょう。それが信仰であります。
ローマ12章2節には、「何が神の御心であるのか、何が善いことで、神に喜ばれ、また完全なことであるかをわきまえるようになりなさい。」とあるとおりです。
神の御心に聞き従うとき、私たちの人生の道はまっすぐにされゆきます。まあそうは申しましても、私たちにはそれがなかなか分からない、だからこそヨセフのように苦悩するわけです。そういうもう人の側では何が正しいことなのか、どう生きていけばいいのか分からない、そういう時こそ、ヨセフを信仰に立たした聖霊の力、御霊の導きを求めていきましょう。
「わたしを呼び求めよ。そうしれば、わたしはあなたに答える。」先月エレミヤ書で、主が私たちに語られました。ヨセフはその聖霊のお導きに従ってマリアとその子を迎え入れる新たな一歩を踏み出しました。
ルカ福音書11章13節には、主イエスが「天の父は、求める者に聖霊を与えてくださる。」とおっしゃっています。さらに、使徒パウロは苦難の時は、ローマ8章26節に「同様に霊も弱いわたしたちを助けてくださいます。わたしたちはどの祈るべきかを知りませんが、霊自らが、言葉に表せないうめきをもって執り成してくださるからです。」と記しています。
主によって私たちはこんなにも大きな励ましを頂いているのです。ヨセフとマリアのように私たちも恐れず主を迎え入れましょう。聖霊の確かなお働きに導かれつつ、インマヌエル、「主がわたしたちと共におられる。」命の道を歩んでまいりましょう。
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