水野源三は1937年長野県に生まれます。豊かな自然の中で野山を駆け巡って遊ぶ元気な少年でした。しかし、そのような日々は9歳と8ヶ月で突然終ります。1946年8月町を集団赤痢が発生したのです。四年生の源三も感染してしまいました。戦後の物資不足の中で薬も満足になく氷で熱を冷ますしかありません。ようやく意識を取り戻した時には、すでに脳性麻痺をおこし体の自由は奪われていました。天上を見つめ、「死にたい、死にたい」と口走っていた口もやがてきけなくなってしまいました。それから47歳の亡くなるまで、家の奥の六畳間を出ることはありませんでした。
後にこのように詠っています。
「草笛」
レンゲの花が咲く河原に
腰をおろして
少年の日のように草笛を
思い切り吹いてみたい
御神の大きな愛に
つつまれていることを
感じつつ
「悲しみよ ありがとう~まばたきの詩人」水野源三の世界・出典