<ファウルボール対策、球場やきもき 負傷事故で訴訟も>
朝日新聞 http://www.asahi.com/ 2009年5月8日
プロ野球の観戦中、ファウルボールが目に当たってけがをしたとして、宮城県の男性が楽天野球団を相手取って損害賠償を求める訴えを起こした。最近は、選手側にせり出した観客席が人気で、防護ネットがなく選手と同じ目線になる球場もある。各球場は、どんな安全対策を取っているのだろうか。
4月29日、クリネックススタジアム宮城であった楽天―日本ハム戦。楽天野球団から承諾を得て一、三塁側内野席を行き来してみた。
試合開始前、係員がリモコンのスイッチを押してピーッという電子音を流し、「この音が鳴ったら、頭を守ってください。打球から目をそらさないように」と説明した。取り組みは楽天がパ・リーグに参入した05年シーズンから始めている。
実際、ファウルフライが上がるとみるや、黄や赤の制服を着た係員たちが一斉に手元のリモコンのスイッチを押した。続けて「ファウルボールにご注意ください」と場内アナウンスがあった。
それでも危ない目に遭いそうになった。試合中盤、三塁側内野席を歩いていると、急に観客が体をそむけ、目の前の男の子が掲げたグラブにボールがすっぽり入った。男の子は喜んだが、思わず背筋が寒くなった。
まさにこの三塁側内野席で昨年5月18日に事故があった。被害にあった宮城県大崎市に住む税理士の男性(47)が球団と球場を所有する県に先月、約4400万円を支払うよう仙台地裁に訴えを起こした。それによると、楽天の攻撃の際、座席下に飲み物を置こうとしたところ、左打者のファウルボールが眼鏡の上から右目に当たった。今年3月末まで治療を続けたが、0.3だった視力が0.03まで落ちたという。
球場の掲示板や入場券には「試合観戦契約約款」が記載されている。これに従えばファウルや本塁打の打球が当たった場合、球団や球場は責任を負わず、損害賠償の範囲も治療費などに限られる。今回の訴訟について「コメントは差し控えたい」とする球団も、約款にもとづいて治療費を支払っているという。
男性の弁護士は「訴訟に楽観的な見通しはない。しかし約款だけでいいのか。観戦ルールに一石を投じたい」と語る。
今回の事故は、一般的な観客席で起きたが、最近はブルペンわきやファウルゾーンにせり出した「砂かぶり席」とも呼ばれる席を作る球場が増えてきた。「臨場感が味わえる」と好評だからだ。
日本では03年に初めて、神戸市のスカイマークスタジアム(旧Yahoo!BBスタジアム)が一、三塁側のベンチわきに防護ネットのない席を設けた。管理を市から委託されているオリックス野球クラブによると、最も人気が高い席という。西武ドーム(埼玉県所沢市)も今季から、同様の席を新設した。
ただ、球場によっては防護ネットを張っていないため、危険度は高い。そのため各球場は、顔の前に立てる防球板を座席につけたり、ヘルメットの着用を義務づけたりと、安全対策に力を注いでいる。(堤之剛)
■大リーグは自己責任
大リーグの球場ではバックネット以外、防護フェンスはないが、ケガをしたり、個人の所有物が壊されたりしても、球団、選手、米大リーグ機構(MLB)には一切責任がない、という認識が浸透している。入場券の裏にも、打撃練習や試合中のファウルボールなどによるケガについて、観客が責任を持つ旨が印字されている。
04年、ボストン・レッドソックスの本拠フェンウェイパークで観戦中、ファウルボールが当たり、顔面を骨折し、頭痛に悩まされた女性が、治療費など50万ドルを求めて裁判を起こしたことがあった。しかし、請求は棄却。レッドソックス側の弁護士は「野球というスポーツは球を激しく打つことで成り立つ。これを見るために、ファンは球場にやってくる。どこに球が行くかなんて、誰も責任は持てない」と主張していた。
08年7月のシカゴ・トリビューン紙は「米国ではマイナーリーグを含め年間約300人の観客がファウルボールに直撃されている」と伝えた。MLBは各球団に安全策を求めたが、防護ネットなどの設置は見送られたという。ファンから「視界を遮るものはいらない」という声が上がったためだ。(村上尚史)
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乱暴かもしれませんが、ファウルボールに当たるのがイヤだったら球場なんか行かなきゃいいのに・・・っていうのがオヤジの印象です。
その点でアメリカの自己責任という考え方は野球を観るということに関しては非常に頷けます。
球場でのファウルボールなんかは自分で気を付けるしかないし、それでも避け切れない場合はしょうがありません。選手の誰も観客を狙ってファイルにするわけではありません。
それがいやなら、臨場感を諦めて家でテレビ観戦するか、遥か遠くの外野スタンドの上段からオペラグラスで覗けば良いのだと思います。
何に一石を投じるのか。
結局は自分の腹立たしさをどこかにぶつけているように感じるのですが・・・
朝日新聞 http://www.asahi.com/ 2009年5月8日
プロ野球の観戦中、ファウルボールが目に当たってけがをしたとして、宮城県の男性が楽天野球団を相手取って損害賠償を求める訴えを起こした。最近は、選手側にせり出した観客席が人気で、防護ネットがなく選手と同じ目線になる球場もある。各球場は、どんな安全対策を取っているのだろうか。
4月29日、クリネックススタジアム宮城であった楽天―日本ハム戦。楽天野球団から承諾を得て一、三塁側内野席を行き来してみた。
試合開始前、係員がリモコンのスイッチを押してピーッという電子音を流し、「この音が鳴ったら、頭を守ってください。打球から目をそらさないように」と説明した。取り組みは楽天がパ・リーグに参入した05年シーズンから始めている。
実際、ファウルフライが上がるとみるや、黄や赤の制服を着た係員たちが一斉に手元のリモコンのスイッチを押した。続けて「ファウルボールにご注意ください」と場内アナウンスがあった。
それでも危ない目に遭いそうになった。試合中盤、三塁側内野席を歩いていると、急に観客が体をそむけ、目の前の男の子が掲げたグラブにボールがすっぽり入った。男の子は喜んだが、思わず背筋が寒くなった。
まさにこの三塁側内野席で昨年5月18日に事故があった。被害にあった宮城県大崎市に住む税理士の男性(47)が球団と球場を所有する県に先月、約4400万円を支払うよう仙台地裁に訴えを起こした。それによると、楽天の攻撃の際、座席下に飲み物を置こうとしたところ、左打者のファウルボールが眼鏡の上から右目に当たった。今年3月末まで治療を続けたが、0.3だった視力が0.03まで落ちたという。
球場の掲示板や入場券には「試合観戦契約約款」が記載されている。これに従えばファウルや本塁打の打球が当たった場合、球団や球場は責任を負わず、損害賠償の範囲も治療費などに限られる。今回の訴訟について「コメントは差し控えたい」とする球団も、約款にもとづいて治療費を支払っているという。
男性の弁護士は「訴訟に楽観的な見通しはない。しかし約款だけでいいのか。観戦ルールに一石を投じたい」と語る。
今回の事故は、一般的な観客席で起きたが、最近はブルペンわきやファウルゾーンにせり出した「砂かぶり席」とも呼ばれる席を作る球場が増えてきた。「臨場感が味わえる」と好評だからだ。
日本では03年に初めて、神戸市のスカイマークスタジアム(旧Yahoo!BBスタジアム)が一、三塁側のベンチわきに防護ネットのない席を設けた。管理を市から委託されているオリックス野球クラブによると、最も人気が高い席という。西武ドーム(埼玉県所沢市)も今季から、同様の席を新設した。
ただ、球場によっては防護ネットを張っていないため、危険度は高い。そのため各球場は、顔の前に立てる防球板を座席につけたり、ヘルメットの着用を義務づけたりと、安全対策に力を注いでいる。(堤之剛)
■大リーグは自己責任
大リーグの球場ではバックネット以外、防護フェンスはないが、ケガをしたり、個人の所有物が壊されたりしても、球団、選手、米大リーグ機構(MLB)には一切責任がない、という認識が浸透している。入場券の裏にも、打撃練習や試合中のファウルボールなどによるケガについて、観客が責任を持つ旨が印字されている。
04年、ボストン・レッドソックスの本拠フェンウェイパークで観戦中、ファウルボールが当たり、顔面を骨折し、頭痛に悩まされた女性が、治療費など50万ドルを求めて裁判を起こしたことがあった。しかし、請求は棄却。レッドソックス側の弁護士は「野球というスポーツは球を激しく打つことで成り立つ。これを見るために、ファンは球場にやってくる。どこに球が行くかなんて、誰も責任は持てない」と主張していた。
08年7月のシカゴ・トリビューン紙は「米国ではマイナーリーグを含め年間約300人の観客がファウルボールに直撃されている」と伝えた。MLBは各球団に安全策を求めたが、防護ネットなどの設置は見送られたという。ファンから「視界を遮るものはいらない」という声が上がったためだ。(村上尚史)
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乱暴かもしれませんが、ファウルボールに当たるのがイヤだったら球場なんか行かなきゃいいのに・・・っていうのがオヤジの印象です。
その点でアメリカの自己責任という考え方は野球を観るということに関しては非常に頷けます。
球場でのファウルボールなんかは自分で気を付けるしかないし、それでも避け切れない場合はしょうがありません。選手の誰も観客を狙ってファイルにするわけではありません。
それがいやなら、臨場感を諦めて家でテレビ観戦するか、遥か遠くの外野スタンドの上段からオペラグラスで覗けば良いのだと思います。
何に一石を投じるのか。
結局は自分の腹立たしさをどこかにぶつけているように感じるのですが・・・