冬木影

冬木影踏んで散策楽しまむ

枯れた冬木の影は長く伸び、それ自体不思議な情緒を醸し出している。冬木よりもその影に惹かれ、安らぎを覚える。影は時々刻々とその位置と長さを変えて行き、そこに儚い美しさがある。長く伸びた冬木の影を踏みながらの散策もまた楽しいものだった。

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冬木影余命幾ばくかは知らず


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菰巻（こもまき）

洩れのなく松に菰巻されゐたり

菰巻は害虫駆除を目的としたもので、マツカレハの幼虫（マツケムシ）を除去する方法のひとつ。マツカレハの幼虫は、冬になると地上に降りて枯葉の中などで冬を越すため、初冬に松などの幹に、藁でできた菰を巻きつける。春先にこの菰の中で越冬したマツカレハの幼虫を菰と一緒に焼却し、マツカレハの駆除をする。菰巻は冬に行われるが、防寒目的ではない。庭園に松が何本もあるが、その全てに菰巻がなされていた。毎年見る冬の光景である。

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菰巻に触れてありけり日の温（ぬく）み


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クリスマスイブ

クリスマスイブのワインを過ごしけり

イエス＝キリストの生誕を祝うクリスマスの前夜、１２月２４日の宵祭。この日はキリスト教に限らず、クリスマスケーキなどを囲んで一般家庭でも年中行事の一つとして祝う。特に子供のいる家庭では楽しみとなっている。この頃は外ではイルミネーションが夜を明るくしている。

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星灯る不況の街の聖樹かな


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冬の太白（たいはく）

武蔵野や冬の太白光増し

太白は金星を表す古代中国名。最大光度は一等星の数十倍になるため、冬の暮方に現れ、群を抜いて光り輝く。仕事帰りに金星を眺めながら帰る人が多いはず。畑が広がる武蔵野の空に冬の太白が光っていた。２０枚近く写真を撮ったが、実際の輝きを写真で表すのは難しかった。

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一日を終ふる安堵や冬の星


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藪柑子（やぶこうじ）

水音の絶ゆることなし藪柑子

藪柑子の茎は直立し、ほとんど枝分かれしない。１０～２０センチの高さで、葉の下に真っ赤な実をつけるので、可愛い。大きな松の木の下に藪柑子がたくさん生えていた。近くには池へと流れる水の音が絶えずしていた。藪柑子は丈が低いので写真を撮るのに難儀した。

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木洩日の明るかりけり藪柑子


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