俳句の風景

写真と自作の俳句を掲載しています。

水温む

2011-03-21 | 俳句・春・地理


水温む岩の陰より鯉出でて

寒さがゆるみ、春の日差しに沼や池の水がようやく温まってきた感じをいう。水草が生えたり、水中の魚が動きはじめたりする。池に近づくと、冬の間、水底でじっとしていた鯉が春となり水が温んだのか、岩陰から出てゆっくりと泳いでいた。春らしい気配を感じた。

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迷ひ出し隠沼(こもりぬ)の水ぬるみけり



筧引く大き蹲(つくばひ)水温む


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麗か

2011-03-20 | 俳句・春・時候


うららかや猫の歩める池の縁

穏やかな春日を浴び、万物が明るく輝くさま。「うらら」「うららに」「うらうら」などともいう。≪うらうらに照れる春日に雲雀あがり情(こころ)悲しも独りし思へば 大伴家持≫万葉集巻十九・4292は、春の明るさの中にも悲しさが同居することを詠っている。黒猫が所在なげにゆっくりと池の近くを歩いていた。麗かを絵に描いたような情景であった。

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麗日の池を望みて抹茶かな



麗かや四阿(あづまや)に眼を瞑りゐて


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片栗の花

2011-03-19 | 俳句・春・植物


かたかごの花の耀(かがよ)ふ昼の谷戸

ユリ科の多年草。山林の半日陰、湿地などに群落を作る。早春、花茎の先に淡紫色の六弁花を下向きに開く。≪もののふの八十娘子らが汲みまがふ寺井の上の堅香子の花 大伴家持≫万葉集巻十九・4143は片栗の花を詠ったものとして有名。苔むした谷戸に片栗の花が咲いていた。昼の日差しに輝くばかりに可憐で美しかった。

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かたくりの花に高鳴る鼓動かな


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青麦

2011-03-18 | 俳句・春・植物


青麦の影の生れし昼下り

穂の出る前の青々とした春の麦のこと。昔は麦畑が方々で見られたが、今ではあまり見られなくなった。春、青々とした麦畑は美しい田園風景であった。まだ短い麦の葉にも黒い影がはっきりとできていた。よく日の差す昼下りであった。

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麦青む人を逃れてきし処


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春塵(しゅんじん)

2011-03-17 | 俳句・春・天文


春塵やいつもの農夫姿なく

雪や霜の解けた後、春に乾燥して突風などで舞いあげる砂塵をいう。春は風の強い日が多いので、窓を少しでも開けていると砂埃が入り、床や机などがざらつくことがある。畑の乾いた土を突風が吹き上げていた。いつも見かける農夫はさすがに姿を見せなかった。

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遠目にも畑を走れる春埃



春塵の中くる人と自転車と



兵のごと向かつてきたる春埃


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コメント (2)
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