菜種梅雨レターパックを小脇にし
三月から四月菜の花が咲く頃、しとしとと降り続く長雨をいう。
本来の意は、その頃に吹く雨を含んだ南東の風のことであったようであるが、今では雨天を指す。
暗さの中にもどこか明るさの漂う気分がある。
昨夜から菜種梅雨となっていた。
その中を、レターパックを小脇に抱えて、郵便局のポストまで出しに行った。
野菜なき直売所なり菜種梅雨
菜種梅雨レターパックを小脇にし
三月から四月菜の花が咲く頃、しとしとと降り続く長雨をいう。
本来の意は、その頃に吹く雨を含んだ南東の風のことであったようであるが、今では雨天を指す。
暗さの中にもどこか明るさの漂う気分がある。
昨夜から菜種梅雨となっていた。
その中を、レターパックを小脇に抱えて、郵便局のポストまで出しに行った。
野菜なき直売所なり菜種梅雨
すれ違ふ人なき道や鳥曇
雁や鴨などの渡り鳥が、春になって北方へ帰っていく頃の曇り空をいう。
その雲を鳥雲といい、この頃の風を鳥風という。
この風に乗って鳥は北へ帰っていくという。
また、帰る鳥の群れをなして羽ばたく音が風音のように聞こえるので、鳥風という説もある。
川沿いの道を歩いた。
鳥曇というべき曇り空であったため、すれ違う人がいなかった。
木を映す潦あり鳥曇
花馬酔木池の向かうに茶室あり
ツツジ科の常緑低木。
日本固有種。
山野に自生するが、庭に植えられたり、盆栽にもされる。
三~四月頃、鈴蘭に似た白色で壺状の花を枝先に多数総状に垂らす。
有毒植物で、牛馬が食すると痺れて酔ったようになるのでこの名がある。
標準和名は「あせび」。
園芸品種には桃色の花もある。
日本庭園に馬酔木が咲いていた。
池を隔てた向こう側には茶室があるのが見えた。
馬酔木咲く畑にいつもの農夫ゐて
青空に似合ふ辛夷と仰ぎけり
モクレン科の落葉高木。
日本原産。
山林に自生し、庭木にもされる。
三月中旬頃から、葉に先立って木蓮よりやや小振りの白色六弁花をつける。
花には芳香があり、一樹を真っ白に覆うと、春が来たことを実感する。
辛夷の花が咲いていた。
この白い花は、青空によく似合うと思い、見上げていた。
花辛夷昼月掲げゐたりけり
芽柳と風に吹かれてゐたりけり
柳は種類が多いが、なかでも枝垂柳の芽はその美しさを讃えられる。
早春に伸びた柳の枝に、三月頃、浅緑の新芽が吹き出す。
芽吹いた柳が池畔や街路で揺れているさまは、いかにも春らしい。
川に風が吹いていた。
川岸に立ち、柳の芽と一緒に風に吹かれていた。
シューマンの「ライン」聴きをり柳の芽