今日のひとネタ

日常ふと浮かんだことを思いのままに。更新は基本的に毎日。笑っていただければ幸いです。

珍しく泉谷しげる特集でした>歌謡スクランブル

2024年04月18日 | 昭和歌謡・アイドル歌謡

 車に乗ってラジオをつけたら聞こえてきたのが「眠れない夜」。「はて?」と思ったら、なんとNHKFM歌謡スクランブルの後半が泉谷しげる特集でした。キャリアが長く、泉谷については知らない人がいないくらいなのに、その楽曲がNHKFMで特集されるというのは凄く珍しいような。

 それで、そのオンエアリストは以下の通り。

春夏秋冬
眠れない夜
寒い国から来た手紙
白雪姫の毒リンゴ
突然炎のように!
胸が痛い 夏木マリ×泉谷しげる
夜につまずき 八代亜紀×泉谷しげる
春のからっ風


 泉谷しげるについては私もよく知ってるつもりでしたが、実際はタイトルだけ知っててちゃんと聞いたことがない曲がありました。「白雪姫の毒リンゴ」とか「春のからっ風」とか。

 「眠れない夜」は小学生の頃に聞いてもかっこいいと思いましたが、実際「春夏秋冬」は好きになったのは大人になってから。そして「寒い国から来た手紙」は物凄く久しぶりに聞いた曲で、もしかしたら発売された昭和50年以来かもしれません。これも当時は良さがわからなかったのですが、まあ小学生には味わいが理解できなくても仕方ないかも。

 もう随分前から役者とか暴走系のタレントとしての認知度の方が高いでしょうが、この人の歌はもっと注目されていいかもしれません。そういう私も知らない曲多いので聞いてみようかと。Spotifyだとほとんどベスト盤しかないですが。

 今日は前半が「青春のフォーク・ニューミュージック(1)」ということで、「赤色エレジー」があったり甲斐バンドの「裏切りの街角」があったりで、「フォーク・ニューミュージックとは?」と思わない事もないですが、なかなかの選曲だった様子。前半はリアタイで聞けなかったのでらじるらじるの聴き逃しで楽しみます。


ブギと言ったらブギウギバンド

2024年02月29日 | 昭和歌謡・アイドル歌謡

 朝ドラ「ブギウギ」が人気ですが、私の年代では笠置先生は既に歌手として活動している姿は見たことなく、ブギウギと言ったらやはりダウン・タウン・ブギウギ・バンドが真っ先に浮かびます。

 最初にヒットしたのは「スモーキン・ブギ」で、その後「カッコマン・ブギ」も流行りました。そして2ndアルバム「続 脱・どん底」では「捨てましょブギ」とか「賣物ブギ」という曲がありますが、この「賣物ブギ」がそれこそ「買物ブギー」のパロディだと知ったのは随分あとのこと。

 「オッサン オッサン オッサン オッサン!」は同じなのですが、オリジナルが「わしゃ○○○で聞こえまへん」というところが、「わしゃ年増はダメなんよ」でしたから、そりゃまあ小学生には無理でしたね。

 それはそうと、この「ブギ」の定義はよくわかってません。ある種のリズムとコード進行をもって作曲された曲だというのはなんとなくわかりますが、のちに甲斐バンドの「やせた女のブルース」という曲の楽譜を見た時に「これってスモーキン・ブギとコード進行おなじだけど、あっちはブギでこっちはブルース。どういうこと?」と思ったりしました。まあ、その辺中学生では理解できませんでした。

 おとなになった今は、まあタイトルに「ブギ」とつけばブギなんだろうと思う事にしてます。マッチの「ハイティーン・ブギ」とか。それを言い出すと「白い蝶のサンバ」はサンバじゃないし、「宗右衛門町ブルース」はブルースじゃないし、「やつらの足音のバラード」は三拍子だし、あっちもこっちもあれこれですね。これぞ昭和歌謡!(と、無理やりの結論。)


ついにCDをゲットしました>謎の女B

2024年01月25日 | 昭和歌謡・アイドル歌謡

 「謎の女B」を初めて聞いたのは6年ほど前。ラジオの「ひるのいこい」でした。「平岡精二とブルーシャンデリアで謎の女B」というクールな紹介で始まったのが、なんとも不思議な曲だったので鮮明に覚えてます。

 そもそも真面目にやってるのかネタなのか、新しいのか古いのか、なんかのサントラだったりするのか、まったくわからないまま。古そうなのはわかったのですが、わざとそういう風に見せかけてる感じもあったので。

 なにしろ独特のアレンジと妙に味のある呟くようなボーカル、そして詞の世界がドラマを見てるような感じで、運転しながら呆然と聞いてましたが、なんか気持ち悪くてムズムズしました。

 その日は帰ってから「らじるらじる」でもう一度聞いて、あんまり気に入ったので即録音しました。それでこの曲と平岡精二について調べてみましたが、平岡精二とブルーシャンデリアではほとんど情報無し。

 ただ、平岡精二はソングライターとして著名で一番のヒット曲はペギー葉山の「学生時代」。これは作詞作曲ともに平岡精二。「つめ」というのもそうですね。ザ・シャデラックスの「君についていこう」も作詞作曲。あとは「あいつ」というのを自分で歌ってたのでシンガーソングライターということでしょう。

 ラジオから録音したのはしょっちゅう聞いてたのですが、残念ながらサブスクには無し。最近になってCDを買おうと思い立ったのですが、ついに今回トップ画像のものをゲットしました。元々1970年にLPだったようですが2007年にCDになってました。もちろん中古です。

 驚いたのは、「謎の女B」で印象的なヴィブラフォンは平岡精二本人の演奏。というよりは、この方はジャズのヴィブラフォン奏者として有名で、なんとM.J.Qが来日した際共演もしてたそうです。

 それがまあこの「謎の女B」ではとぼけた感じのボーカルとスキャットで、そんな凄い人だとは知りませんでした。おまけに間奏にも大フィーチャーされているヴィブラフォンもご自身だったとは。

 

 今回入手したアルバムでは自作曲とカバーが半々。なかなか味のあるボーカルですが、やはり「謎の女B」が出色です。この曲は曽我町子がシングルで発売してて、近年ではEGO-WRAPPIN'もカバーしてます。が、あのアレンジと演奏、飄々とした歌声があってのものなので、やはり平岡精二ヴァージョンが最高です。

 

 なお、「謎の女B」はドラマ仕立てのような詞ですが、内容は「謎の女B 僕をAとする AとBはある夜 会った」というもので、ミステリアスでなおかつトホホな世界が堪能できます。これは是非紅白で歌って欲しかったですね。(ウソ)

 ちなみに謎の女といえば、「謎の女キムチ」は餃子大王のメンバーでした。今の若い人は知りはれへんやろなあ…。


久しぶりにレコードをば>ステージ101 ゴールデン・ディスク

2023年12月09日 | 昭和歌謡・アイドル歌謡

 元々自分で持ってたレコードなのですが、20年ほど前に借りパクされてしまったもの。やはり手元に置いておきたいと思いネットオークションで入手しました。

 買ったのは50年近く前で、番組が好きだったので親にレコードが欲しいと言ったところババンと2枚組ベストを買ってくれました。が、当時好きだった「君のコスモス」「人生素晴らしきドラマ」「若い旅」「デゴイチ」などが入っておらず、ステージ101のテーマも「涙をこえて」もなくてどちらかというと洋楽カバーが中心。

 当初は「あら…」と思ってたのが、しばらくしたら結構好きになりました。私が番組をちゃんと見てたのは後期で、このレコードもそのあたりのメンバーであって、特に西玲子さんのボーカル曲が多いのが魅力。(もっとも、西さんもソロデビューしたので最終回の頃にはもういなかった様子。)

 ステージ101については、CDの2枚組ベストを2種類持ってて5枚組BOXセットもあるのですが、こんだけあるとどこに何が入ってるかわからず。このレコードに入ってる曲が全部CDにあるかというと、そうでもなさそう。特に西さんのソロとか。


 ジャケットの方はご覧の通りのシミだらけでちょっとがっかりで、さらにカラーピンナップもなしでした。まあこちらも確認しなかったし安かったから仕方ないかと。ジャケットの向かって右端の黒いタンクトップの方が太田裕美さんで、カラーピンナップの方でももっと真ん中にいました。ちなみに黄色いTシャツの方が私の推しの西玲子さん。それにしても、なぜこの写真をジャケットにしたのでしょう???

 それはそうと、レコードは傷も無く音は良好。久しぶりにレコード聞くと「おお、こういう音だったか。」と思います。割と低音も出るけど、全体的にモワッとした感じでステレオの分離も割とマイルド。とはいえ、レコードだとわかって聞いてるからであって、知らなければ普通に聞ける感じです。さて、あとレコードで入手すべきものは何かあったかなぁ。


アイドル・ミラクルバイブルシリーズ 葛城ゆき・田中真美・田島裕子・ピーマン

2023年11月12日 | 昭和歌謡・アイドル歌謡

 

 数か月前に注文していたCDが届きました。「アイドル・ミラクルバイブルシリーズ」という企画の一つですが、今回の4組にピンと来る人はどれくらいいるでしょうか。共通点としてはヤマハのポプコン出身者ということになります。

 私の場合はピーマンの「部屋を出て下さい」が昔から大好きで、それが入ってるというだけですぐ注文しました。なにしろこれまで未CD化でしたし。そして葛城ゆきの「木曽は山の中」も好きなのですが、もう数十年聞いてなかったのでそちらも嬉しかったと。

 この収録曲は以下の通りです。ちなみにCDのジャケットは田中真美「涙のロンリー・ボーイ」のジャケット。美人ですね。

01. 木曽は山の中 / 葛城ゆき
02. いつか、そっと / 葛城ゆき
03. 蛍 / 葛城ゆき
04. 小さな出発 / 葛城ゆき
05. 泣かせて今夜は / 葛城ゆき
06. 悲しみが消えるまで / 葛城ゆき
07. ムーンライト・セレナーデ / 田中真美
08. 漂流 / 田中真美
09. 愛は黄昏の中で / 田中真美
10. 気まぐれマイ・ラブ / 田中真美
11. 涙のロンリー・ボーイ / 田中真美
12. 時よ / 田中真美
13. GOOD LUCK MY YESTERDAY / 田生真美
14. おもかげMy Friend / 田島裕子
15. ガラスの午後 / 田島裕子
16. 恋のライバル3対1 / ピーマン
17. 青空のラブサイン / ピーマン
18. ラブ・タッチ / ピーマン
19. ブルーの瞳 / ピーマン
20. 部屋を出て下さい / ピーマン
21. 小さな詩 / ピーマン

 

 

 珍しい音源も嬉しいのですが、歌詞カードにはそれぞれの楽曲についての解説がちょこっとついてるのでそれもありがたいです。詳細はお買い上げの上ご確認いただきたいですが、それも基にして楽曲の感想を一言ずつ。

 葛城ゆきは、あの「ボヘミアン」の葛城ユキです。この「葛城ゆき」にした時点で3回目の改名だったそうで、名前をカタカナの「ユキ」にしたのは4回目だったのでしょうか。当時の様子は雑誌記事で見るとこんな感じです。

 

 

 「木曽は山の中」は発売が1974年12月の発売で、コッキーポップのテーマ曲だったこともあるそうですが、その時に聞いてたのでしょうか。手持ちの明星の歌本に出てたので、歌詞は全部知ってました。まだ「ボヘミアン」ほどの迫力の声にはなってないですが、雰囲気は感じます。それよりも、あらためて聞くとすごくいい曲ですね。日本のスタンダードとなりうる曲だと思います。

 

 この人は当時のシングルが3曲とそれぞれのB面で計6曲入ってますが、全部雰囲気が全然ちがうのでびっくり。「木曽は山の中」のB面はポップですごく可愛く歌ってますが、次の曲はほぼ演歌。その次は歌謡曲という感じ。今聞くと面白いですが、当時はヒットを出そうと色々模索中ということだったのでしょうか。

 田中真美はシンガーソングライターですが、その後ビジネスの世界でも大成功したとか。プロフィールを調べてみたら、提供曲として石川ひとみの「何も言わないで」があってびっくり。この人の歌声は、しっとりしつつ力強さもあって伊東ゆかりとか上田知華の声を太くしたという感じでしょうか。あまり例えようがないですが、1979年デビューなので完全にニューミュージック世代という感じですね。ただ、曲は結構歌謡曲っぽいです。

 田島裕子の曲は1981年11月だそうですが初めて聞きました。シンガーソングライターですが「おもかげMy Friend」は自身の作曲、B面は森田公一作品でした。こちらも結構大人の歌手という歌声です。

 そして注目のピーマン。先に書いた通り、とにかく「部屋を出て下さい」が大好きだったのですが、何しろこの人たちの情報がほとんどなく。たまに見かけるのはデビュー曲の「恋のライバル3対1」のシングルくらい。

 このグループはメンバーの叶正子が後年サーカスとしてデビューするわけですが、ピーマンのデビューが1974年4月なので「Mr.サマータイム」よりは4年も前。ピーマンはキャンディーズのちょっとあとにデビューしたわけで、こちらの記事によると事務所もレコード会社も「キャンディーズに追いつけ追い越せ」という事だったのですね。

 ある番組にサーカスが出た際、「叶正子はアイドルでデビューした」と言ってて、私は「え、ピーマンってアイドルだったの?」と驚いたのですが、確かに「恋のライバル3対1」を聞いてみると完全にアイドル歌謡。

 実はこのアルバムではピーマンの楽曲が楽しみだったのですが、「部屋を出て下さい」以外はあんまりピンときません。前述の記事によると、4枚目のシングルもレコーディングしたものの日の目を見なかったということですね。「部屋を出て下さい」は叶正子のソロパートが中心ですが、次のシングルはどんな感じだったのでしょうか。

 この「部屋を出て下さい」は、ピンクレディーの二人が「スター誕生」で歌ったことが有名で、好きな人が多いことはわかりますし、あの二人がどういう方向を目指してたのかもなんとなくわかります。それにしても、この曲が当時どの程度ヒットしたか、世間の評価はどうだったのか、その辺はほとんど情報がないです。

 私はこの曲がボーカルもアレンジも、特にイントロのギターの音色とフレーズが大好きで長年ちゃんと聞きたかったので、このCDについては満足しています。これが1975年1月の発売。当時ラジオからカセットに録音して聞いていたということは、巷にはそこそこ流れていたと思うのですが、みんな知ってるのかなあ。


3日目は全勝でした>70年代フォーク・ニューミュージック集

2023年11月08日 | 昭和歌謡・アイドル歌謡

 

 NHKFM「歌謡スクランブル」の70年代フォーク・ニューミュージック集も3日目。今日はやっと全曲わかる日でした。全勝です。年代的にはちょうど私がフォークなどを聞き始めた頃の曲ばかりでしたし。

 ということで、本日のオンエアリストは以下の通り。

岬めぐり/山本コウタロー&ウィークエンド
東京/マイ・ペース
精霊流し/グレープ
想い出が多すぎて/高木麻早
水色の街/三輪車
母に捧げるバラード/海援隊
青春の影/チューリップ
いつのまにか君は/浜田良美
踊り子/下田逸郎
私は泣いています/りりィ
ひこうき雲/荒井由実(松任谷由実)
ルージュの伝言/荒井由実(松任谷由実)
あの日に帰りたい/荒井由実(松任谷由実)
卒業写真/ハイ・ファイ・セット
チャイニーズ・スープ/吉田美奈子
「いちご白書」をもう一度/バンバン
想い出まくら/小坂恭子
僕にまかせてください/クラフト
我が良き友よ/かまやつひろし
眠れぬ夜/オフコース
20歳のめぐり逢い/シグナル
ひと足遅れの春/とんぼちゃん
なごり雪/イルカ


 このあたりの曲はついつい語りたくなってしまいます。「岬めぐり」は当時本当に流行りました。イントロからのあの印象的なアコースティックギターは吉川忠英だそうです。あの頃は町中のあちこちであの曲が流れていたので、そのたびに忠英さんは知り合いに「あれ、オレ!」と自慢してたとか。

 「精霊流し」も当時よく流行って、これのお陰で「岬めぐり」が1位になれなかったというのは、山本コータローのネタでした。が、私はなぜかラジオで「精霊流し」を聞いた記憶無し。あるいは、ああいう暗い歌が好きじゃなくて無意識にシャットアウトしてただけかも。

 本日のトップ画像は「水色の街」の三輪車。当時ラジオでは本当によく聞きましたが、テレビでは見た記憶がほとんどありません。このアコギ×2、ベース1というトリオは当時のフォークグループに多かったですね。アルフィーもそうだし、NACとか、シグナルとか。

 そしてこの三輪車が鶴光師匠のオールナイトニッポンに電話ゲストとして出演した際、師匠は「三輪車いうたらト〇コみたいでんな」と言ってました。さすがです。

 「母に捧げるバラード」はあのセリフをネタにされるケースがよくあって、「タバコ屋の武田ん方の息子は ポルノ映画狂いのエロ息子エロ息子言われよっと!」というのもありました。鉄矢氏のキャラだとこちらの方がピッタリかも。

 ラジオではなかなか聞けない珍しい曲としては浜田良美の「いつのまにか君は」。どれくらいヒットしたかはわかりませんが、これも世界歌謡祭のグランプリでした。これの前の年が小坂明子の「あなた」、次の年が中島みゆきの「時代」。すべてがヒットするわけではないのかも。ただ、この人はコッキーポップのテーマ曲にもなった「My Song」という歌が好きでした。

 その次の曲はイントロ聞いて「ん?」と思ったのですが、始まったら「踊り子」だというのがわかりました。私の知ってるのはもっと淡々としたアレンジでしたが、今回のはサンバのような感じ。これは知らなかったなあ。

 クラフトの「僕にまかせてください」は、昔からこれのイントロをマンドリンで練習してて、以前通ってたライブハウスで常連客のギターの上手い人に伴奏をお願いしたら、「えっ、これお墓参りの曲だよ!」と拒否されたことあります。まあ、それはそうですが曲は曲だし。なお、マンドリンはいまだにちゃんと弾けません…。

 と、語りだすとキリがないのでこの辺で。今日は「なんでこの曲?」と思ったのは吉田美奈子くらい。あとは王道のヒット曲の感じでした。


ジュリーと井上尭之バンドの話

2023年10月31日 | 昭和歌謡・アイドル歌謡

 

 YouTubeの「田中一郎のギターアッパーカット2」は、現在「田中一郎のギタープレイのルーツ日本編」というシリーズで、Part2ではスパイダースの話をしてました。その回でジュリーと井上尭之バンドの事にも触れており、私もそこには大いに興味があります。そこで、あらためて資料を当たってみようという話です。

 私の愛読書は井上尭之さんの「スパイダースありがとう!」なのですが、そこにはもちろんスパイダース解散からPYGを結成する経緯、その後井上尭之バンドとしてジュリーのバックで演奏するようになったことが書いてあります。

 重要な部分を引用すると、GSのスターであるジュリー、ショーケンをボーカルに据え、スパイダース、タイガース、テンプターズの選抜メンバーで結成したPYGは「よりロック的でアンチ体制的な音楽を目指してスタートし、それをバックで支えているのは芸能界で強大な影響力と資金を誇っていた渡辺プロ」だったとのこと。

 「それこそ大船に乗ったような気持ちで始め、レコーディングにも時間とお金をかけて、録音方法もドラムセットにそれぞれマイクをセッティングする方法をいち早く導入、テレビ番組もそのセッティング以外では出演しないという条件付き」だったそうです。

 渡辺プロとしては、ジュリーとショーケンのファンが両方くれば客はこれまでの倍になると思ったのでしょうが、実際はそれぞれのファンは仲が悪くどこへ行っても客はガラガラ。おまけに野外のロックコンサートに出ると、GSだとバカにされて罵声は浴びるし物は飛んでくるし散々だったとか。

 結局、半年間で1000万円の赤字を出して自然消滅、解散宣言もないままの幕切れに終わったそうです。その後、井上さんは事務所に残りそれから10年ほどジュリーのバックバンドをやることになりました。

 ここまではその本の話ですが、これとは別にギターマガジンのインタビューも見てみましょう。掲載されていたのは1992年3月号。井上尭之さん愛用のギターを紹介する記事で、それまでの活動についての話もありました。

 まず、スパイダースのギタリストとしてかまやつさんとの役割分担では、「かまやつさんどうする?」なんて相談はせず、井上さんが弾いててかまやつさんが様子を見ながら合間に入ってくるということだったそうです。井上さん曰く、「かまやつさんはベーシックな戦力には一切なってない(笑)」と。かまやつさんがある雑誌で言ってた「尭之には俺がギターを教えた」には「嘘つけって(笑) 彼もジョークだけどね。」ですと。

 ただ、かまやつさんの音楽センスは凄く評価してて、特に楽屋で思いのままに弾いてるときのフィーリングは素晴らしかったとのこと。

 それはそうと、井上尭之バンドはジュリーのレコーディングでも弾いていたのかということについては、実際に演奏してたのは本当に初期だけだそうで「危険なふたり」も「やってないやってない」とこの時すでに完全否定してます。なぜかというと、井上さん達の演奏印税がシングル1枚で14円。これは美空ひばりさんと同レベルだったそうで、「誰が使うよ、そんなもの。」ということで。

 通常のスタジオミュージシャンが1曲5千円なのに、この人たちは印税で1枚14円だから10万枚売れれば140万! それでさらに「なんだよ、この曲!」とか文句言って態度もでかく、その上ようやく機嫌直して始めようとしても誰も譜面が読めなかったりと。

 結局、いろいろやりたい音楽ができない、うまく行かないということが続いて「太陽にほえろ」にしてもジュリーのバックにしても、ほぼ仕事と割り切ってた部分が大きかったのですね。ジュリーが紅白に出た時には井上尭之バンドとの事を「ロックで結ばれた絆」と紹介されてて私は憧れたものですが、芸能界はいろいろありますね。

 ちなみに、ギターマガジンはWebでバックナンバー読み放題という企画をやってますので、このインタビューもいつでも読めます。もちろん有料ですが気になる方はご覧ください。


日本でいち早くビートルズの新曲を演奏できるバンド

2023年08月15日 | 昭和歌謡・アイドル歌謡

 井上尭之さんが書いた「スパイダースありがとう」は私の愛読書ですが、もう今年2回も読んでしまいました。スパイダースは「日本でいち早くビートルズの新曲を演奏できるバンド」というのが売りだったそうです。

 そもそもは、ビートルズのレコードを初めて聞いた時のリズム、斬新なメロディとコーラスなどすべてに打ちのめされた興奮で、メンバー全員が完全に虜になったとか。それで、ラジオの「FEN」を聞いたり、「キャンティ」の人脈や横浜のアメリカンスクールに通っている生徒からレコードを借りたり、ありとあらゆる手段で最新の音楽情報を仕入れ、レパートリーに加えていったそうです。そして、歌詞のコピー担当は唯一英語のヒアリングができるムッシュかまやつの役目。

 そうやって注目が高まり、それまでまばらだった客席があれよあれよという間に、毎回満席で立ち見が出るほどになったそうです。

 ただ、これについては後日談があって、マチャアキの話によると「HELPをムッシュが聞き取った歌詞で歌ってたけど、あとで国内盤が発売されたときに歌詞カード見たら、合ってるのは『HELP』ってとこだけ。こっちが『HELP!』と言いたいよ!」と。(これはテレビ番組で言ってた話で井上さんの本にはありません。)

 まあそういうところもスパイダースの魅力であり、ムッシュの持ち味でもあったのでしょうね。その頃のビデオがあればと思いますが、ジャズ喫茶で演奏してた時の映像はないでしょうね。残念。


流行歌を縦軸と横軸で見ると

2023年08月14日 | 昭和歌謡・アイドル歌謡

 好きな歌手やバンドは、シングルもアルバムも発売順や発売時期はわかります。しかし、歴史は縦軸だけではなく横軸で見ることも大事。1977年の近代映画の歌本を見てたら、新譜の発売日がずらっと並んでました。これはシングル曲について。

 眺めてみると、甲斐バンドの「そばかすの天使」が1977年9月の発売。4thアルバムの「この夜にさよなら」がその1か月後なのでほぼ同じ時期。何がどうかというと、ピンクレディーの「ウォンテッド」も同じ時期なのですね。

 私は中2だったので、ちょいとロックの世界に頭を突っ込んだつもりでいたのですが、テレビではピンクレディー見てたんだろうなと。横軸で見るというのはそういう感じです。

 ピンクレディーはファンではなかったしこの曲も好きではないのですが、テレビではよく見た記憶があるので案外喜んでたのかもしれません。ということで、そういう時代の話をしても「ピンクレディーって誰?」というようなロックな人のみ私に石を投げなさい。

 …って、本当に投げられると困るんですけどね。


プレイバック80年代2日目>歌謡スクランブル

2023年08月01日 | 昭和歌謡・アイドル歌謡

 NHKFM「歌謡スクランブル」のプレイバック80年代は2日目。昨日はほとんどが1980年の曲でしたが、今日は冒頭で1981年にポートピアが開催されたという話がありましたが、今の若い人は知りはれへんやろなぁ…。

 そんななので、序盤は81年~82年の曲が並んでました。本日のオンエアリストは以下の通り。


悪女/中島みゆき
まちぶせ/石川ひとみ
メモリーグラス/堀江淳
帰ってこいよ/松村和子
NAI・NAI 16/シブがき隊
ふられてBANZAI/近藤真彦
待つわ/あみん
北酒場/細川たかし
聖母たちのララバイ/岩崎宏美
ワンダフル・モーメント/松崎しげる
北の国から遥かなる大地より ~螢のテーマ/スキャット:さだまさし
赤道小町ドキッ/山下久美子
約束/渡辺徹
悲しい色やね/上田正樹
色つきの女でいてくれよ/ザ・タイガース
パタリロ!/藤本房子
夢を勝ちとろう/水木一郎 、 台詞:頓宮恭子
キン肉マンGo Fight!/串田アキラ
CAT’S EYE/杏里
夏色のナンシー/早見優
春なのに/柏原芳恵
夢芝居/梅沢富美男
冬のリヴィエラ/森進一


 仕事中に運転しながらだったので、聞いたのは断片的。とはいえ、前半はほぼ聞けました。「悪女」と「まちぶせ」を並べたのは何かの意図があるかと思ったら、このあとに「メモリーグラス」「帰ってこいよ」と続いて気づきました。この4曲は決して結婚式で歌ってはいけない曲ですね。とはいえ、「悲しい色やね」や「春なのに」がオッケーかと言うとそれもありません。あとは、調べてみたら「帰ってこいよ」は1980年なんですね。そこまで厳密には時系列では並べてない様子。

 シブがき隊は今回「NAI・NAI 16」でしたが、彼らには「Zokkon 命」という曲もあります。そのレコーディングの時に、ギターの水谷公生さんがイントロを当時流行っていたナイト・レンジャーの「Don't Tell Me You Love Me」に似せて弾いたら、ディレクターが「同じにしちゃってよ」と。

 その結果、ナイト・レンジャーが来日公演でその曲を演奏するとファンが「ゾッコン!」と叫ぶので、メンバーは「ゾッコンってなんだ?」と不思議がってたとか。いい時代でした(?)。気になる方は聞き比べをどうぞ。ただし、シブがき隊はサブスクにはありません。シブくないなあ。

 あとは、北酒場がどこにあるかは知りませんが、東武東上線では坂戸駅の隣が北坂戸。北の酒場通りには長い髪の女が似合いますが、北の坂戸駅には何が似合うでしょうか。

 昨日は全曲知ってたのですが、今日はアニメが全滅でした。もう大人だったから見てなかったのでしょう。おまけに、1982年~83年にかけては私はテレビ持ってなかったので。

 ということで、あれこれ語れるのが80年代歌謡曲の魅力です。今回もらじるらじるの聴き逃しがありますので、聞きたい方はこちらからどうぞ。なお、いまだに「まちぶせ」をストーカーソングだとかいう人とは友達になれません。いいですね。