「マー姉ちゃん」は1979年度上期の朝ドラですが、昨年9月末からBSPにて再放送されてました。主演は熊谷真実、共演が田中裕子、藤田弓子など。
ご存じ「サザエさん」作者の長谷川町子の一家をモデルとしたものですが、「これぞ朝ドラ!」という感じで大変面白かったです。ヒロインの熊谷真実さんは長谷川町子役ではなく、その姉の毬子をモデルとした役。元々画家だったのが「サザエさん」の出版に奔走し実業家として活躍した人です。
その妹で長谷川町子をモデルとした人物を演じたのが田中裕子であって、これならヒロインが二人いるようなもの。4番バッターが二人いれば打線は強力です。まず負けませんね。放送当時の平均視聴率は42%もあったとか。
もっとも「サザエさん」自体は大ヒットするのがわかっていたので、ストーリーの大筋は大したことが無く(失礼)、キャラクターの設定とか、姉妹や親子のやりとりのドタバタを楽しむという、朝ドラの王道的な作品でした。デビュー間もない熊谷真実が段々きれいになって、それこそヒロインの成長を観察できるので、リアルタイムで見ていた人もワクワクしていたでしょう。
ただ、さすがに半年の長丁場は大変だったらしく、最後の2週間くらいは三姉妹の末っ子である洋子の結婚や出産だけで引っ張る展開となりつまらなかったのですが(失礼)、全体としては雰囲気がよかったのでオッケーです。全話見た朝ドラでは、私の中ではベスト5に入ります。それもかなり上位で。
脚本が金八先生を書いた人なのですが、姉妹のやりとりがマシンガン並みの早口の場面が多くて、そこは熊谷真実は苦労した事でしょう。セリフも長いし。田中裕子も大変そうでしたが、実際の年齢は田中裕子の方が上で、劇団での活動のキャリアもあったんですね。それでも苦労したでしょうが。
このドラマの主役である「磯野家」と、実際の「長谷川家」や「長谷川姉妹」はそれぞれの設定を多少変えてあるようですが、放送された1979年の時点では皆さんまだ存命というか、長谷川毬子は61歳、長谷川町子はまだ50代だったので、ドラマの制作にあたってはいろいろ本人への配慮があったことでしょう。
今となっては、この三姉妹で存命なのは三女の長谷川洋子だけですが、このドラマの放送後の三姉妹の関係をWikipediaで知って結構驚いたりします。仲の良かった姉妹に何があったのやら。まあ、気性の激しい人たちだったのでしょうけど。
それはそれとして半年間楽しませていただきました。朝ドラはかくあるべし!という作品で、大いに評価します。大野雄二先生の音楽も凄く良かったです。テーマ曲も明るくて覚えやすいし、もっと世間に知られてスタンダードにすべきだと個人的には思っております。