先日、Jリーグアウォーズの表彰式があり、各賞が発表された。我が清水エスパルスからは、“態度が”大型新人、藤本淳吾選手が新人王に選ばれただけ。ちょっと寂しい結果となった。(もちろん藤本がとても良い選手だが)
この表彰式より以前に「優秀選手賞」が28名発表されており、その28名の中から「ベストイレブン」が選ばれるということになっていた。清水エスパルスからは若手DF:“強き魂、ハードコンタクト”でもうすっかりおなじみの青山選手と、新人王になった藤本選手が選ばれていた。だが・・・、
その28名中、MFは12名。しかし、その中に藤本選手の名はあるものの、なぜあれだけ活躍した、敵の攻撃の芽を摘んで摘んで摘みまくった伊東輝悦選手の名前がないのだろうか?優勝した浦和とはいえ、ケガなどで出場試合22、出場時間全3060分中たった1725分のポンテがいて、全試合出場、出場時間が3047分、4位躍進の本当の立役者、伊東テルがなぜ入っていないのか?Jリーグの査定委員の目は節穴なのか?MVPとかベストイレブンとかはいいとしても28人の優秀選手にも入れてもらえないのはどうしてだ?いろいろな評論家がテルを絶賛しているのに。
・・・と、思っていたら、週3回発行の「よくそんなにサッカーだけで原稿を揃えられるなぁ~」と感心しきりのサカー専門誌ではなく、専門紙の“エルゴラッソ”が、今季Jリーグベストイレブンを選出していた。そこには、G大阪遠藤保仁選手、川崎の中村憲剛選手、浦和の(清水市出身!)鈴木啓太選手とともに、しっかり伊東輝悦選手が選ばれていた。
そこに書いてあった文章には納得がいった。
“中盤の残る2枚には、なかなか評価されにくい地味な仕事をこなした2枚を選んだ。鈴木は衆目の一致するところだろうが、今季の伊東も評価されるべきだ。中盤での振る舞いは達人芸である。”
テルの写真の下にも・・
“ポジショニングを見ているだけで感動できる稀有な選手。” ・・とある。
そうだよ!そうだよ!そうなんだよ! やはり、見る人は見ているのである。「ポジショニング」・・・サッカーの才能のうちの重要な要素の1つだ。“そこにいること”・・テルはそのポジショニングがとてもいい。それはサッカーのセンスが良く、「次の展開を予測する能力」が抜群にいいからだ。おそらく教えてもテルほどになるのはムリだろう、天性のものだと思う。
そして、伊東選手の予測能力の高さは守備面だけが強調されがちだが、攻撃面でも発揮されている。一見なにげないバックパスもリスクを避け、サイドを変えるためのつなぎとして堅実かつ的確にできている、攻撃の基点として。清水の試合を見ると、DFラインからロングボールでなければほとんどのボールがまずテルを経由する。それは攻撃をはじめるためにまずどこから行こうか・・常に読みながらテルはやっているのである。
そして、攻撃面での伊東テルの極めつけのプレーはなんといっても1996年アトランタオリンピック・男子サッカー第1次リーグにおいて、日本代表がブラジル代表を1対0で下した試合、“マイアミの奇跡”。あの試合で状況を読み取り、ボランチの位置から長い距離をずっと走り、最後にゴールへと押し込んだのは誰だったのか?そう!この伊東輝悦選手だったのである!!
天皇杯と、来季も頼むぞ、テル!