生き物好き気象予報士&理科教員、公認心理師・金子大輔(金兵衛)のブログ~通り雨の旅路~

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「走れメロス」のクライマックス

2005-11-06 | 音楽・文学・美術・芸能

またまた、『世界一受けたい授業』の話だが…………
太宰治「走れメロス」のラストシーンを、
正確に知っている人は、案外多くないらしい。


――身代わりとして、
死刑台に置いてきた親友セリヌンティウスを救うため、
メロスは、ボロボロになりながら走り、期限ぎりぎりで間に合う。

そして、クライマックスを迎える。

メロス
「一度だけ、走るのをやめようとした(悪い夢を見た、と表現)
殴ってくれ。
殴ってくれなければ、抱擁する資格などない」

セリヌンティウス
「俺も殴ってくれ。一度だけちらりと君を疑った」――


いうまでもなく、
何回読み返しても感動するのが、このシーンである

が、現実世界では、
「相手を疑ったことを暴露なんかしたら、相手に悪い」
と、闇から闇に葬ってしまう場面のほうが多いかもしれない。

信頼している人に対して、
――自分は悪い夢をみてしまった――ことを懺悔するほど、
恐ろしいこともないから、当然ともいえる。

現実に、
悪い夢を見たことさえ懺悔しあい、殴り合えるような
断金の契りを結べたら、なんとファンタスティックであろうか……

(おまけ)
「はしれメロス」は、たしか
――メロスは激怒した。
で始まり、
勇者は、ひどく赤面した。――
で終わる、
という呼応のような形になっている所もおもしろい。


コメント (5)
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