印象的な、小学校総合学習?の話を聞いた。
当時(1992年)としては珍しい、命の学習の試みという。
――クラスで3年にわたってブタを育て、
成長したら食べよう、というものである。
いざ食べる予定の時期が来て、
クラスは揺れに揺れる。
「やっぱり下級生に引き継いでもらおう」
という意見(始めはほぼ全員この意見)と、
「約束通り、自分たちで終わらせなければならない」
という意見で、激論が交わされる。
結局、ブタは食肉センターに連れていかれることになるのだが……――
この話は、大学教育学部の授業でも取り入れられてるらしい。
多くの人が、思いきったことができる先生に敬服すると共に、
もし自分だったら??
という難題が頭を擡げるかもしれない。
もし自分なら――
(やはり難しい問題なので、見当外れ・非常識なことを書いてるかもしれないが……)
まず、「ブタを助けてくれ!」
と教師に掴みかかってくる子どもを、最大レベルで誉めたい。
そして、
「やはり助けたい。でもそうすると責任逃れになるかも」
というジレンマに陥っている子どもへは、
ときには――殊に生命を前にしては、
責任・けじめといったものさえ、無価値になることもある、
と、助けたい精神の方を、絶対支援したいと思った。
この試みでは、
生きてるブタと豚肉を結びつけよう、という目標は、
激烈なほど果たされた。
ただ、少々過激過ぎるのでは?という疑問も残る。
草が鎌で薙がれるのを見て食欲をなくす、
毎日無数の虫が鳥に食べられてると知って眠れなくなる、
というようなセンスを持った子どもが、
確実に存在するようであるから……