



北極グマの剥製に顔をつっこんで絶命した伯父。死んだ動物たちに夜ごと刺繍をほどこす伯母。この謎の貴婦人は、はたしてロマノフ王朝の最後の生き残りなのか?失われたものの世界を硬質な文体でえがく、芥川賞作家のとびきりクールな傑作長編小説。

伯父さんが五十一歳、亡命ロシア人のユーリ伯母さんは六十九歳の新郎新婦。伯父さんがなくなり自分の父親もなくなりユーリ伯母さんと暮らし始める。そのとき伯母さんは七十歳。
建物の入り口で、ある儀式をしないと入れないという強迫性障害を患っているニコもいっしょに暮らし始める。
ユーリ伯母さんが、ロシア帝国ロマノフ朝最後の皇女、アナスタシアではないかと言われ始め、テレビがきたりで騒動に・・・
アナスタシアであったかどうかはわからないが、ユーリなのにAの刺繍をし続ける、ぼんやりとした雰囲気。
このぼんやりがとてもいい。読後・・・ぼんやり 不思議なお話 小川洋子さんだ~・・・
