面白そうなので発売前に予約注文、届いたのは先月の18日でした。
『私とスパイの物語』発行 ワニブックス ハードカバー 税込み1980円。このタイトル、とても、とても、魅力的です。
そして、表紙のカバー写真の中央に、あの「オードリー・ヘップバーン」を配して、これも魅力的です。
本書では、オードリー・ヘップバーンがスパイだった、と、記述していますが、しかし、すこしネタバレになりますが、私としては、彼女の活動内容から "スパイ" とするのは疑問です。
第二次世界大戦中のフランスにおける、ドイツ占領軍に対しての、レジスタンス運動の、末端のいち協力者的な位置づけが、適当かと思いました。
"タイトルと表紙のヘップバーン" この企画力、本書は、それなりに、かなり、売れると思います。中身については、ぼちぼち後程。
兎に角、スパイの話で、著者は孫崎享(まごさき・うける)元外務省の国際情報局長で、防衛大学教授で、現在は、東アジア共同体研究所の所長。
この研究所は、あの、元総理の、鳩山由紀夫が理事長を務めています。立ち位置としては、まあリベラル。
それで、本書を手に取り、先ずはパラパラとページを捲り、目次に目を通すと、ほぼ最後に近いところで、『安倍晋三元首相の殺害問題』が目に留まり、そこから読み始めました。ページ数としては、ほんの10ページほどです。
著者は、これまで、ネット媒体等で、元自衛官で41歳山上徹也容疑者(事件当時41歳)の犯行に疑問を投げかけていました。本書では、それなりの考察が、と、期待したのです。
それにしても、因みに、この本、序章と目次が長い、全体が301ページで、序章と目次で、何と、何と、60ページを費やしているのです。
それで、2022年7月8日、参院選の街頭演説中、奈良市で発生した暗殺事件ですが、かなり後になって、彼が投げかけた疑問を眼にしたとき、それなりに社会的地位のある人物が、エッ! 何で? と驚いたのです。
事件直後より、ネット界隈では、犯人は別にいる説が、いろいろ、有ること、無いこと、面白おかしく、根拠なく、振りまく、無責任な輩が、それなりに出没していました。
彼は、警察発表の『被害者の "後方" に居た、山上容疑者の手製銃から放たれた2発の銃弾』に対して、疑問を投げかけているのです。
根拠は、銃撃当日、治療にあたった、奈良県立大附属病院での福島英賢教授の説明で、『頸部の "前方" に、二つの射入口』と発言しているのです。
山上容疑者は、"後方" から銃弾を発射、被害者の身体には、頸部 "前方"に銃弾の射入口。"後方" に射出口。この所見では、犯人は被害者の前方から銃弾を発射したことになります。山上容疑者は後方に居ました。
しかし、ここで、注意しなければならないのは、福島英賢教授は司法解剖を行ったのではなく、あくまでも、蘇生行為、治療行為なのです。死因の特定は二の次、三の次なのです。
これとほぼ似た暗殺事件は、いまでも謎に包まれた、疑惑のケネディ暗殺事件です。この時も、犯人のオズワルドは後方の教科書ビルより狙撃。しかし、致命傷は、前方から発射されたとみられる銃弾。
何度も見ている銃撃の映像では、被弾した際にケネディは、後方に仰け反って、肉片? 骨片? は後方に飛び散っています。妻のジャクリーヌが、後ろを振り返り、飛び散った断片を拾い集める姿は衝撃的でした。
それでは、真犯人は ? と云うと、著者はまったく言及していません。行間からは、それなりに推測しているが、そこに触れるのは、とても、とても、命が危険。本書を読めば、みなさん、解るでしょ! ・・・・・・と。
本書では、外交官とスパイとの違いを、英国の情報機関に所属するスパイに語らせています。
『外交官は、相手国の国内法を守って行動する。一般的に反モラル的行動はしない。だが我々は反モラル的行動や、相手国の法律にとらわれずに行動する』
スパイは、自国の利益の為には、謀略も、殺人も、躊躇なく実行するようです。
そんな事をして、スパイは悩まないのか、と、云う問いかけには、
『① 国家、及び組織の価値観は、即、自分の価値観であると思う。② 敵を憎む、敵は同じ人間ではないと判断する。③ 悪は所詮、皆が行っていることと開き直る』
そうなのです、凄いですね、怖いですね。
いつか、何処かで、眼にした耳にした、話ですが、スパイが人を殺すのは、5人が限界で、それ以上は、良心の呵責に耐えられなくなるそうです。
それで、著者が触れなかった、真犯人の推測ですが、私が、著者に変わって、大胆にも、命がけで ? それなりに、述べてみたいと思います。
その前に、奈良県立大附属病院での福島英賢教授の説明で、『頸部の "前方" に、二つの射入口』と発言の件です。
しかし、ここで、再度、述べますが、福島英賢教授は司法解剖を行ったのではなく、あくまでも、蘇生行為、治療行為なのです。死因の特定は二の次、三の次なのです。
公判で明らかになる、司法解剖の所見では、死因の特定、銃弾の射入口。射出口についても、明らかになる筈です。
そこで、福島教授の見解と、まったく逆の、後方に射入口との見解が出る可能性が、高いような気がします。福島教授は、その見解について、マスコミから意見を求められても、立場上、大人の判断上、反論することは無いと考えます。
孫崎享氏は、そんな事は "百も承知、二百も合点" で、それでも、敢えて、山上犯行説を否定しているのは、それなりに、安倍晋三元首相暗殺に対しての情報を持っているのだと、思う次第。
本書『私とスパイの物語』で語られた、いろいろなエピソードの最後に、安部暗殺をとり上げたのは、当然、犯行は、どこかの国のスパイの犯行を示唆している訳です。
何処かの国は、何処の国? 何故、安倍晋三は消されたのか、その動機は、犯人は、孫崎さんは、たぶん、すべて分かっていると思います。
当然、政権の、警察の、検察の、対応を見ていれば、日本と敵対する国ではありませんし、それなりの大国で、過去にも敵対する政治家を消してきた、それなりの情報機関を持つ国です。
ここまで云えば、もう、誰しもが、あの国と想像できる筈。それでは、動機は ? と、誰しもが考えます。
安倍晋三氏ですが、首相在任中の北方領土返還交渉で、四島返還から二島返還へと譲歩し、プーチン大統領とは24回も会談していて、ファーストネームで互いに呼び合う仲でした。二島返還は実現しそうな状況にあった。
しかし、外務省が返還された島に、日米安保条約に基づき、米軍が基地建設を要求すれば、日本はそれを受け入れると表明し、ロシアは態度を硬化させます。
かの大国は、安部とプーチンの接近に、日本とロシアの接近に、警戒していました。外務省は、かの大国に忖度してと云うか、従来どおりの対米協調路線と云うか、対米従属路線と云うか、兎に角、官僚は、現状変更は望まないのです。
そして、ロシアによるウクライナ侵攻、ウクライナ戦争です。
ここで、かの大国は、 ロシアに対する制裁発動で、日本は領土返還を取引材料に、プーチンと安部氏が、裏で、何やら、日本は積極的に制裁には参加しない、密約の動きを察知したのかも?
話が長くなりました。それで、本書の感想ですが、長い序章で、ほぼ内容は語られており、本文は、孫崎さんが過去を振り返り、いろいろなエピソードが、面白おかしく語られ、肩の凝らない、読みやすい内容で、すらすら読めたのでした。
すらすら読めた本は、すらすら忘れるのです。
あたらしい発見とか、驚きの内容とか、認知機能を刺激する内容とか、 そういう類の本ではありませんでした。
まあ、そんな、こんなを、書き綴れば、それなりに、認知機能低下対策にはなった気がします。
本日は、少し長くなりましたが、これでお終い。
それでは、また。