前回の続きです。
第11回、『まどう心』です。
父為時は、政変で失職。"まひろ"は、左大臣の娘 "倫子" に口添えを願うが、いつもと異なる激しい口調で拒絶され、止められ摂政の" 兼家 "に直談判。
しかし、兼家からは、冷たく、厳しく、憎たらしく、拒絶され、これで、父の官職への道は、ほぼ完全に閉ざされます。
思いつく限りの方策は、すべて徒労に終わり、使用人は解雇し家事を自らが行い、もう、なるようにしかならないと、ほぼ観念したまひろ。
でも、しかし、もしかして、もしかして、道長が・・・、救いの手を・・・、かすかな期待を抱きつつ、日々を送るまひろ。
そんなある日、父・為時の同年配の友人"藤原 宣孝"が心配して、為時の留守にまひろの家を訪れます。
『婿を取れ。有望な婿がおれば何の心配もない』
『このようなありさまの家に、婿入りするお人なぞおりますでしょうか?』
『北の方(正室)にこだわらなければいくらでもおろう。そなたは博識であるし話も面白い。器量も・・・そう・・・悪くない。誰でも喜んで妻にするであろう・・・』
『私は、しょう(妾) になるのは・・・』
『私にも幾人の妾がおるが、どの女子も満遍なく愛しんでおる、文句を言うものなぞおらん・・・もっと男を信じろ、まひろ』
年老いて捨てられた妾の、悲しくも哀れな姿を見ているまひろ。
まひろは惑います。もしかして、できることなら道長の正妻に、北の方に、一縷の望みを託します。
そんな日々、歌会の席で、引く手あまたの倫子が、まひろに、
『わたし、今、狙っている人がいるの。両親は猫にしか興味が無いと思ってますけど・・・でも、必ず夫にします。この家の婿にします』
と打ち明ける倫子。
引く手あまたの倫子が、これまで断り続けた理由は、あらゆるつてを使って情報を集め、将来、権力を手中に収める、そんな器量の男を物色していた、と、思います。
それは、私が勝手に思ったのではなく、うすうす、そう思わせる脚本の、演出の、演技の、結果だと、そう思うのです。ホント、倫子は、賢さと、したたかさと、そして、怖さをも、併せ持つ女性。
ここで一言。
人間には、①支配したがる者 ②支配されたがる者 ③支配したくも、されたくもない者、この三種類に分かれる、と、考えます。または、野党的資質? 気質?の者と、与党的資質・気質の者に分かれる、と、考えます。
道長を、権力闘争大好き人間に変えたのは、この倫子の資質・気質の影響が大だと、そう思えて来ました。
そして、そして、待ちに待った、道長から届いた手紙。逢瀬の場に、淡い期待を抱きつつ、飛んでいくまひろ。
抱き合い、求め合う二人、長く、激しく、濃厚な口づけ、いや、"口吸い"、糸引くような口吸いです。これは、実際に舌を絡ませています。NHKとしては、かなり思い切った過激なシーン。
そして、道長は、
『妻になってくれ。遠くの国へは行かず、都に居て、政の頂を目指す。まひろの望む世を目指す、だから傍にいてくれ。二人で生きていくために俺が考えたことだ』
『それは、私を北の方にしてくれるってこと ? 』
『・・・・・・』
『ショウ ( 妾 めかけ ) になれと云うこと ?』
『北の方は無理だ。されど、俺の心の中ではお前が一番だ。まひろも心を決めてくれ』
『心の中で一番でも、いつかは、北の方が・・・』
『それでも、まひろが一番だ』
『耐えられない、そんなの !』
『お前の気持ちは分かっておる』
『分かってない ! 』
『ならばどうすると言うのだ ! どうすれば、お前は納得するのだ・・・言ってみろ・・・、遠くの国に行くのは嫌だ。偉くなって世を変えろ。北の方でなければ嫌だ。勝手なことばかり、勝手な事ばかり言うな』
捨て台詞を残し、道長は去って行くのでした。淡い期待は、木っ端みじんに打ち砕かれました。
妾となる事を拒絶した事で、道長との関係を終わらせてしまったまひろ。それでも道長への想いは残り、拒絶への後悔と、終わってしまった関係に涙するまひろ。
まひろと決別した道長は、父の兼家にたいして、ある決意を継げます。
どうする? どうなる? まひろと道長です。
第11回『まどう心』でした。
ここで、一つの疑問。
正室がだめなら、側室の手があると思うのですが、何故、妥協点として側室の提案はなかったのでしょうか? 受領貴族の娘だとしても、いきなり妾はないと思うのです。
そうでした。そもそも、ここで二人が結ばれては、ドラマは12月を待たずして、終わりを迎えてしまいます。ここで悲しい別れで前半の山場。
これから中盤は、まひろ、道長、倫子の三人の絡みで展開していく?
まあ、それは、それとして、そういう事なのだとして、この続きを期待します。
それでは、また。