前回の続きです。
さすが、"ラブストーリー" の名手です、大石静さんです。
切れた、別れた、諦めた、と、思ったら、互いに、何度も、焼けぽっくりに火が付きそうになったり、消えかかったり、見ている者を、焦らします。
私としては、何故に道長? です。諦めの悪い奴だと思ったりしています。まあ、二人の関係は、最後まで、付かず離れずで、もつれ、絡まり、引きずっていくのでしょう。
それでは、第12回『思いの果て』です。
左大臣家の倫子を北の方とする、政略結婚を受け入れた道長。当時も、そして、今も、上級国民は、ほぼ政略結婚。
そも、そも、彼ら上級国民にとっては、今も昔も、政略としての結婚ではなく、結婚とは政略なのです。
それで、父から、道長との話を聞かされた倫子ですが、嫌がると予想していた倫子の口から、道長への想いを告げられ驚きの父、左大臣源雅信。
しかし、それにしても、この驚き方は、かなりくさい芝居でした。これは、雅信のキャラクター表現 ? 血筋としては一流で、人柄も良く、しかし、政治力は二流で、それなりに娘想いのやさしい父親ですかね。
彼の官位は従一位で、道長の父兼家とは、官位は同じですが、関白兼家の強引なやり方に、そして、官位は同じでも、天皇家につながる血筋で、家柄は上として、兼家を快く思っていない雅信。
ちなみに、官位は、正一位から少初位下まで30階に分けら一般的に、五位以上の官僚を「貴族」、三位以上の官僚を「公卿」と呼ぶそうです。紫式部 の父、藤原為時は、 正五位でギリ貴族。
この婚姻話は、兼家の血筋に、天皇家の血筋を入れ箔を付けるための、見え見えの政略結婚。可愛いい娘を、憎たらしい兼家の三男の嫁にするのは反対の雅信。
泣くほど好きでは致し方ないとして、倫子と道長の婚姻は進められる。倫子の妖しく、怪しい思惑を感じさせるシーン。
そして、"庚申待ち" の夜、人々は眠らない、眠ると腹の中にいる3種の虫が天に上り、天帝にその人の罪を告げると言われる中国の故事。大陸の昔の人はいろいろ考えるものです。
この夜、道長は、いまだ諦めきれないまひろに文を送り、密会します。
喜ぶ、まひろ、「妾でもいい、あの人以外の妻にはなれない」との思いを抱きつつ、密会の場に飛んでいきます。
『すまぬ、呼び立てて』
『いえ、私もお話ししたいことがあり、お会いしとう御座いました』
そこで、道長から告げられた言葉
『左大臣家の一の姫に婿入りすることとなった。お前には、そのことを伝えねばと思い参った』
想定外の言葉に、唖然、呆然、放心、虚脱、しばらく言葉も出ないまひろ。あの倫子さまでは、道長の心は奪われ、妾となったまひろは、忘れ去られると・・・。
『倫子さまは・・・大らかなすばらしい姫様です。どうぞお幸せに』
『幸せとは思わない。されど地位を得て、まひろの望む世をつくるべく、精いっぱい努めようと、胸に誓っておる』
『楽しみにしております』
妾でいいと言ってほしい道長。
『お前の話とは何だ?』
『道長様と私は、やはり、たどる道が違うのだと私は申し上げるつもりでした。私は私らしく、自分の生まれてきた意味を探してまいります。道長様もどうぞお健やかに・・・では』
すべては終わったと悟り、別れを告げ去って行くまひろ。
道長も、すべては終わったとして、その足で、倫子の居る屋敷へ向かう。
"しな垂れ掛かる" 倫子。愛の欠片もない、見え見えの政略結婚に対して、この反応、戸惑いつつも、"妖しさ" と"怪しさ" を感じつつ、抱き寄せる道長。
倫子との結婚で、道長の、
『幸せとは思わない。されど地位を得て、まひろの望む世をつくるべく、精いっぱい努めようと、胸に誓っておる』
思いは、少しずつ、権力闘争大好き人間に変貌していく、そんな気がするのです。倫子は、妖しくて、怪しい、したたかな女性だと考えます。
それで、突然ですが、ここで、"平安の世"とは、如何に ? と、先ずは気になっていた、人口構成を調べてみました。
平安時代の日本の人口は各種の推測値としては、600万~700万位のようで、平安京の人口の推測値は10万人位のようです。
平安貴族の人数は、上級貴族は30人 (三位以上)、中級貴族 ( 五位以上) は900人、そして下級貴族は4千人で、合計すると4,930人となる。 当時は位階を持つのはほとんどが男性であり、 つまりこの約5千人というのは、ほとんどが成人男性だそうです。
と、云う事で、全人口の1.5%が都に住んでいて、都に住んでいる中の10人に一人がが貴族だったようです。
これで、"平安の世" が、以前よりも、何となく、それとなく、少しだけイメージできた気がします。
それで、話を戻します。
これまで、泣いてばかりで可哀そうな "まひろ" 、"紫式部"も一度結婚したそうですが、数年で夫と死別、その後は独身で通したそうです。
それにしても、これまで、泣くシーンが多くありました。吉高由里子さん、とても、とても、涙のシーン、好演でした、素敵でした。
1988年7月生まれで35歳、娘役として、今が一番、脂が乗っています。やっぱり、時代劇向き ?
まひろ・紫式部が、権力闘争を背景にした、長編ラブストーリー「源氏物語」を書き上げたのは、現実には叶わなかった恋の欲求を、妄想と云う形で昇華したのが、源氏物語だった、ような思いに駆られる今日この頃。
それと、ついでと云ってはなんですが、倫子役の黒木華さんですが、1990年生まれで34歳。まひろの由里子さん、と、倫子(ともこ) の華(はる) さん、同年配の二人、役柄としても、女優としても、今後の対決が楽しみです。
はい、これで、本日の第12回『思いの果て』のお話はお終い。
それでは、また。