庭に出た妻が驚きの声を上げて家に飛び込んで来る。
エントランスの横に大きな鳥が落ちている、と。
確かに芝生の上に鳥が横たわっている。よく見ればその鳥はメスのヤマドリであった。
野鳥が透明なガラス窓に衝突することがある。よく衝突するシメ、そしてヤブサメ、カワセミ・・・
今までで死んでしまった鳥はシメだけであった。多くは一時的に気を失うことはあっても死に至ることは少ない。
つい最近も窓に小さな衝突音、バラの小枝に小さな野鳥がぶら下がって動かない。
だが幸運なことに外そうと触れた指を嘴で突き、元気よく飛び立っていった。
思いもよらずその鳥はメジロ、裏磐梯にメジロがいるとは・・・あの庭に静かに営巣し、巣立った鳥はメジロだったのだ。
死んだヤマドリの体に外傷はない。猛禽類その他の動物に襲われた形跡は認められず、死因不明。
まだ死後硬直の始まっていない、首を垂らしたヤマドリの遺体を暗い気持ちで庭の片隅に埋葬する。