今日も雪。幸運なことに裏磐梯では、2,30cmの積雪ですみそうである。もうこれ以上雪はいらない。それは野生動物にとっても同じであろう。激しく吹雪く庭にヒヨドリが来てホーバリングしながらカンボクの実をついばんでいる。その近くを食べ物を探して動きまわるリス。その姿にはいつもと違った、この厳しい寒さの中で生き残るための必死さがある。この吹雪でどれほどの野生動物の命が失われたことであろうか。
小雪が降っている。だが気温は高い。外に出ると森の中でヒーコ、ヒーコ、コガラが透明な声で鳴いている。コガラは遠くではあるが、確実に近づきつつある春の気配を敏感に感じとっているのであろう。気がつけば日暮れがずいぶん遅くなった・・・数日前に明るい窓辺に置いたマダム・シャルルの新芽があっという間に成長した。花咲く日はいつ頃であろうか。
快晴。この三連休のスキー場は大賑わい。猪苗代の町から眺めるゲレンデもたくさんの点点点、リフトも鈴なりの人人人。下界遠く青く広がる猪苗代湖に飛び込むように滑り下ることができたらどんなに爽快なことだろうか。にぎわうゲレンデを眺めること最近では珍しいことだ。
昨日は冷え込んだ。8時の気温、-15℃。朝食後、いやいやながら除雪作業。お越しいただくお客様さまの駐車スペースを作らなければならない。風もなく絶好の除雪日和。青空に巻き上げる雪煙が美しい。キラキラ昨夜降った雪の結晶が光り眩しい。さまざまな雪の結晶が光り耀く。
一時本を手放すことができず、やたら読み漁る時期があった。本棚に捨てられず、いまだ残った文庫本、変色し、埃だらけの一冊を手にとる。それはヘミングウェイ、「陽はまた昇る」旅の前に長い機中で読もうと探したが見つからなかった一冊だった。スペイン、ブルゲーテでのマス釣り、パンプローナの闘牛、各ページ、登場する酒、酒、酒。そして妖艶なブレッド。このヘミングウェイ初期の作品が好きで何度も読み返し、ボロボロ、忘れがたき一冊。ところでめくったページの奥付。角川源義から春樹、この奥付が消えるころから文庫本は大きく変わった。出版人の良識が変わった。スピンがなくなり安易なすぐバラバラになる製本に変わった。装丁の低下とともに本の内容の質が大きく変わった。そして日本人の価値観、倫理観が変わった・・・・・
ギー、ギー、庭にコゲラが来ている。いつもはカラ類と一緒に群れていることが多いが、今日は珍しくコゲラだけの5,6羽の群れ。盛んに枝をつついている。何を食べているのだろうか。一番小さいキツツキの仲間、コゲラ。よく見るととても愛らしい眼をしている。
恵方巻きを買いに外に出る。ついでに秋元湖に行く。雪降る秋元湖は全面結氷、間もなく氷上を歩くことができるだろう。秋元湖はモノトーン、墨絵のように美しい。家に帰って恵方巻きを指示どおり南南東の方向を見ながら食べる。商売繁盛、無病息災、願い事が叶う、その年必ず幸運が訪れるという。ここ数年たいしておいしくない恵方巻きを食べているような気がする。今年もどうぞご利益がありますように・・・
遠い四国のナーサリーから雪深い裏磐梯にバラがやってきた。CelineForestier、 Desprez a Fleur Jaune、 Clementina Carbonieri、の3本。セリーヌ・フォレスティエ、デプレ・ア・フルール・ジョーンはいずれも一昨年の冬、いい加減な冬囲いが災いし、雪の重みに耐えきれず、根元から折れ、枯らしてしまった。素晴らしいバラだったのに。相原バラ園さんからやってきたノアゼット2本は特大苗、今年の春からたくさん花を咲かせてくれることだろう。それにしてもこんなに大きなバラを生育させ、梱包し送ってくれるナーサリーのご努力に心より感謝しなくてはならないと思う。今年もまたバラに一部屋春まで占領された。暖房も入れることができない。それでも少しずつ季節の動きとともに芽が動き出す。観察する、水をやる。花咲く姿を想像する。それが雪の中での生活では楽しいことなのである。それが今手元に置く理由である。