これは掲示板に私が投稿したものではないですが、参考のため、置いておきます。読売新聞記事です。
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運慶落札、想定4億・提示は8億…国は購入断念・競売見送り
競売会場のモニターに表示される運慶の作とみられる木造大日如来座像=清水健司撮影 14億3700万円――ニューヨークで18日、落札された運慶作とみられる大日如来座像は、過去競売に出品された日本美術の最高額となった。
これほど高い価値のある文化財がなぜ競売にかけられたのか。
2003年夏、東京国立博物館の山本勉氏(現・清泉女子大教授)に仏像の持ち主から手紙が届いた。見に行った山本氏は「運慶作の仏像に似ている。興奮しましたね」。エックス線撮影で運慶一派独特の像内納入品を確認できた。翌年、同博物館で公開された。
その一方で競売出品が動き出した。06年7月、持ち主は輸出に要する書類を提出。文化庁は重要文化財指定を視野に買い取り交渉に入った。想定していたのは3億~4億円。だが提示されたのは8億円。購入は断念せざるを得なかった。
先月、競売出品が明らかに。国は競売参加の可能性を探った。前例はない。情報が漏れれば投機筋の参入を招きかねず、消極論が出た。そこに国内の私立美術館が参戦するとの情報が入ってきた。「国内に残りさえすればよい」(文化庁幹部)。参加は見送られた。ただし3月5日に購入の適否、価格算定のための二つの協議会を開催。美術館の撤退に備えた対応だった。
日本時間19日未明の競売直後、落札者は百貨店の三越と判明。海外流出の懸念は遠ざかった。だが三越に落札を依頼したのが誰なのか、明かされていない。
明治以降、海外に流出した主な鎌倉彫刻は6件。国宝・重要文化財は輸出を規制されるが、指定の際は管理義務を負う所蔵者の了解が欠かせない。「指定外でも、レベルの高いものは流出しないルールを制度化する必要があるのではないか」と日本画家の平山郁夫氏は話す。
◆「給料で支払えるほどの額で入手」◆
【ニューヨーク=佐々木良寿】競売に出品した男性は落札後、読売新聞などの取材に応じた。40代前半で、外資系企業の社員だという。8年ほど前、古美術商から「会社員が給料で支払える程度の金額で譲ってもらった」。だが運慶作の可能性が判明。「個人で所有するには荷が重すぎた。日本に残したいと文化庁とも連絡を取ったが、現行の規則では希望に添えないなどと言うばかりで交渉にならなかった」という。
「落札者は私のような一般人より大切にしてくれると信じていた。(落札の結果)東京に戻ってくるので安心した」と語った。
(2008年3月20日02時42分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080320-OYT1T00159.htm
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運慶落札、想定4億・提示は8億…国は購入断念・競売見送り
競売会場のモニターに表示される運慶の作とみられる木造大日如来座像=清水健司撮影 14億3700万円――ニューヨークで18日、落札された運慶作とみられる大日如来座像は、過去競売に出品された日本美術の最高額となった。
これほど高い価値のある文化財がなぜ競売にかけられたのか。
2003年夏、東京国立博物館の山本勉氏(現・清泉女子大教授)に仏像の持ち主から手紙が届いた。見に行った山本氏は「運慶作の仏像に似ている。興奮しましたね」。エックス線撮影で運慶一派独特の像内納入品を確認できた。翌年、同博物館で公開された。
その一方で競売出品が動き出した。06年7月、持ち主は輸出に要する書類を提出。文化庁は重要文化財指定を視野に買い取り交渉に入った。想定していたのは3億~4億円。だが提示されたのは8億円。購入は断念せざるを得なかった。
先月、競売出品が明らかに。国は競売参加の可能性を探った。前例はない。情報が漏れれば投機筋の参入を招きかねず、消極論が出た。そこに国内の私立美術館が参戦するとの情報が入ってきた。「国内に残りさえすればよい」(文化庁幹部)。参加は見送られた。ただし3月5日に購入の適否、価格算定のための二つの協議会を開催。美術館の撤退に備えた対応だった。
日本時間19日未明の競売直後、落札者は百貨店の三越と判明。海外流出の懸念は遠ざかった。だが三越に落札を依頼したのが誰なのか、明かされていない。
明治以降、海外に流出した主な鎌倉彫刻は6件。国宝・重要文化財は輸出を規制されるが、指定の際は管理義務を負う所蔵者の了解が欠かせない。「指定外でも、レベルの高いものは流出しないルールを制度化する必要があるのではないか」と日本画家の平山郁夫氏は話す。
◆「給料で支払えるほどの額で入手」◆
【ニューヨーク=佐々木良寿】競売に出品した男性は落札後、読売新聞などの取材に応じた。40代前半で、外資系企業の社員だという。8年ほど前、古美術商から「会社員が給料で支払える程度の金額で譲ってもらった」。だが運慶作の可能性が判明。「個人で所有するには荷が重すぎた。日本に残したいと文化庁とも連絡を取ったが、現行の規則では希望に添えないなどと言うばかりで交渉にならなかった」という。
「落札者は私のような一般人より大切にしてくれると信じていた。(落札の結果)東京に戻ってくるので安心した」と語った。
(2008年3月20日02時42分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080320-OYT1T00159.htm