投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2010年 2月23日(火)00時41分1秒
国会図書館の雑誌検索で「副島種臣」を調べると、硬軟取り混ぜて相当な数の文献がヒットしますね。
その中に「副島種臣の借金問題について」(斎藤洋子、『ソシオサイエンス』Vol.13、2007)というタイトルの論文があったので、取り寄せてみたところ、冒頭に頭山満の回想からの引用がありました。
頭山満の語り口はカラッとしていて、妙な味わいがありますね。
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頭山満は、往年の回顧録の中で副島種臣との交流に触れ、幾つかのエピソードを紹介している。その中の一つに次のような述懐がある。
金玉均が来て「副島さんが、大変お困りの様子ですが、何んとかなりませんか」といふ。借金で苦しんでゐるといふのぢや。正直な男じやから、方々借金がかさんで気を腐らしてゐる様子ぢや。そこで、私は「私にも金は直ぐ出来んが、借金位のことはどうでもよい。一ツ行つて副島の膽伸ばしをする位造作ない。今からでも行かう」といつて、副島の家へ行つた。そして、「国家の柱石たるあなたが、その位の事に心配するのは宜しくありません。人には能不能があり、そんな金の事などは、あなたが、心配なさらんでも、あなたの知られる人間で其方の能ある者が何んとか致しませう。私共は、拍手一ツ打つてもそんな金位は出来ますが、そんな事は、土台、あなたの御心配なさる問題ではないのですから」といつてやつた。副島は大層喜んで、「いや、金のお世話をして下さらんでも、その御一言は難有い。仲間になつても此の御親切に報ひます」と大いに愁眉を開いてをつた。副島の借金といつても、私の高利貸共から借りてゐたのに比べたら問題にもならんものであつたらう。伊藤(博文)や大木(喬任)などが、その借金を支払つたといふことぢや[薄田1932.82-83]。
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なお、斎藤洋子氏の論文は非常に手堅く真面目なものなので、念のため書いておくのぢや。
頭山満
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%AD%E5%B1%B1%E6%BA%80
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0896.html
国会図書館の雑誌検索で「副島種臣」を調べると、硬軟取り混ぜて相当な数の文献がヒットしますね。
その中に「副島種臣の借金問題について」(斎藤洋子、『ソシオサイエンス』Vol.13、2007)というタイトルの論文があったので、取り寄せてみたところ、冒頭に頭山満の回想からの引用がありました。
頭山満の語り口はカラッとしていて、妙な味わいがありますね。
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頭山満は、往年の回顧録の中で副島種臣との交流に触れ、幾つかのエピソードを紹介している。その中の一つに次のような述懐がある。
金玉均が来て「副島さんが、大変お困りの様子ですが、何んとかなりませんか」といふ。借金で苦しんでゐるといふのぢや。正直な男じやから、方々借金がかさんで気を腐らしてゐる様子ぢや。そこで、私は「私にも金は直ぐ出来んが、借金位のことはどうでもよい。一ツ行つて副島の膽伸ばしをする位造作ない。今からでも行かう」といつて、副島の家へ行つた。そして、「国家の柱石たるあなたが、その位の事に心配するのは宜しくありません。人には能不能があり、そんな金の事などは、あなたが、心配なさらんでも、あなたの知られる人間で其方の能ある者が何んとか致しませう。私共は、拍手一ツ打つてもそんな金位は出来ますが、そんな事は、土台、あなたの御心配なさる問題ではないのですから」といつてやつた。副島は大層喜んで、「いや、金のお世話をして下さらんでも、その御一言は難有い。仲間になつても此の御親切に報ひます」と大いに愁眉を開いてをつた。副島の借金といつても、私の高利貸共から借りてゐたのに比べたら問題にもならんものであつたらう。伊藤(博文)や大木(喬任)などが、その借金を支払つたといふことぢや[薄田1932.82-83]。
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なお、斎藤洋子氏の論文は非常に手堅く真面目なものなので、念のため書いておくのぢや。
頭山満
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%AD%E5%B1%B1%E6%BA%80
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0896.html