投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2014年 1月28日(火)10時39分42秒
>筆綾丸さん
>離散的
『天皇制史論』、歴史好きの人にとってもけっこう難しい本だと思いますが、これは同書の半分が実質的に法律、しかも法制史・比較法という基礎法学に関係する叙述で出来ているという事情を考えると、やむをえないですね。
練達の法律学者である水林氏は自分が使う概念を独自の方法で丁寧に磨き上げており、水林氏の過去の著書・論文を見て、その概念がどのような経緯で形成されたかをひとつひとつ確認した上で『天皇制史論』を読むと、全体が非常にすっきりした論理的関係になっていることが理解できるのですが、そんな面倒な手順を踏みたいと思う人は稀でしょうから、確かに「離散的」という印象を与えるでしょうね。
去年の11月下旬、丸島和洋氏の著書、『馬子にも衣装 戦国大名にも「外交」』をきっかけに中世国家論を調べ始め、新田一郎氏の『中世に国家はあったか』で水林彪氏の論文「原型(古層)論と古代政治思想論」を知り、次いで『天皇制史論』を読んで水林ワールドにどっぷり浸かってしまってから振り返ると、短い期間でけっこう遠くまで来たなあ、という感じがします。
「支配という現象の根本に法的意味での正当性を据えようとする方法的態度は日本史学において、ほとんど顧みられることがない」(p15)だけに、マックス・ウェーバーと水林氏の方法的態度に習って歴史学者の動向を観察すれば、けっこう面白い世界が開けてきそうですね。
>筆綾丸さん
>離散的
『天皇制史論』、歴史好きの人にとってもけっこう難しい本だと思いますが、これは同書の半分が実質的に法律、しかも法制史・比較法という基礎法学に関係する叙述で出来ているという事情を考えると、やむをえないですね。
練達の法律学者である水林氏は自分が使う概念を独自の方法で丁寧に磨き上げており、水林氏の過去の著書・論文を見て、その概念がどのような経緯で形成されたかをひとつひとつ確認した上で『天皇制史論』を読むと、全体が非常にすっきりした論理的関係になっていることが理解できるのですが、そんな面倒な手順を踏みたいと思う人は稀でしょうから、確かに「離散的」という印象を与えるでしょうね。
去年の11月下旬、丸島和洋氏の著書、『馬子にも衣装 戦国大名にも「外交」』をきっかけに中世国家論を調べ始め、新田一郎氏の『中世に国家はあったか』で水林彪氏の論文「原型(古層)論と古代政治思想論」を知り、次いで『天皇制史論』を読んで水林ワールドにどっぷり浸かってしまってから振り返ると、短い期間でけっこう遠くまで来たなあ、という感じがします。
「支配という現象の根本に法的意味での正当性を据えようとする方法的態度は日本史学において、ほとんど顧みられることがない」(p15)だけに、マックス・ウェーバーと水林氏の方法的態度に習って歴史学者の動向を観察すれば、けっこう面白い世界が開けてきそうですね。