遅刻迷信 そう心中。
(近松門左衛門)(国姓爺合戦(こくせんやかっせん)・冥途(めいど)の飛脚(ひきゃく))(心中天網島(しんじゅうてんのあみじま)・曽根崎心中(そねざきしんじゅう))
[ポイント]
1.近松門左衛門の代表作は、『国姓爺合戦』・『冥途の飛脚』・『心中天網島』・『心中天網島』の4作。
[解説]
1.近松門左衛門(1653~1724)は、人形浄瑠璃で語りの竹本義太夫(1651~1714)と組み、数々の名作を生む。義理と人情の板挟みに苦悩し、結局死をもってしか誠を示せない封建社会に生きる人間の姿を描いて、多くの町人たちの共感を呼ぶ。代表作は『曽根崎心中』『冥土の飛脚』『心中天網島』『国姓爺合戦』など。
2.町人を題材にしたもの(江戸時代の現代劇)を「世話物」という。これの代表作は『曽根崎心中』(遊女お初と醤油屋の手代徳兵衛の心中)・『心中天網島』(遊女小春と紙屋治兵衛の心中)・『冥途の飛脚』(遊女梅川と飛脚屋忠兵衛の心中)。いずれも実際にあったとされる事件に題材をとっている。
3.武家社会に題材をとった作品を「時代物」という。武家社会を描くときは、当該武家を憚って(はばかって)、過去の時代・別の姓名に変えて上演したので、必然的に時代物となる。(例えば赤穂事件をあつかった竹田出雲作『仮名手本忠臣蔵』では時代は室町時代、浅野家→塩冶家、大石良雄→大星由良助、吉良義央→高師直という具合)。
4.近松の時代物の代表作は『国姓爺合戦』(中国人が父、母が日本人で台湾の英雄である鄭成功(ていせいこう)が、台湾を拠点に明朝の復興運動を行った史実を題材に脚色した物語)。
〈2016上智大・神外(英)総人(教・心):「
問1 文章の下線部a~dのなかには、その人物の説明文に用いる語句としては不適切なものがある。誤っている語句をa~dの中から1つ選びなさい。また、それにかわる正しい語句を、語群から1つ選びなさい。
D 京都、都万太夫座のa浄瑠璃作者。b竹本義太夫のために作品を書いた。作品は、c.歴史物と世話物に大別され、義理人情の葛藤の描写に特色がある。最初の世話物d『曽根崎心中』は徳兵衛と遊女お初の心中話である。
〔語群〕
1歌舞伎 2青表紙 3市川団十郎
4坂田藤十郎 5時代 6流行
7『心中天網島』 8『冥途の飛脚』
(答:c5 ※Dは近松門左衛門)〉
〈2016慶大・商AB方式:「
また、歌舞伎では鶴屋南北の『東海道四谷怪談』や河竹黙阿弥の作品など、(カ).町人の日常生活を写実的にとらえた作品が人気をあつめた。
問6 下線部(カ)で述べられている歌舞伎の脚本を何というか。漢字4文字で書きなさい。
(答:生世話物 ※文化文政期以降、とくに写実性のつよい生粋(きっすい)の世話物を生世話物(きぜわもの)(真世話物)と称した)〉
〈2014早大・教育:「
問9 下線部e文政の時代に活動していた文人をすべて選べ。
ア柳亭種彦 イ曲亭馬琴
ウ近松門左衛門
エ三浦梅園 オ松尾芭蕉
カ富永仲基 キ井原西鶴
(答:ア・イ ※ウ近松・オ芭蕉・キ西鶴は元禄期(17世紀後半)、エ梅園は明和・天明期(18世紀後半)、カ仲基は享保・元文期(18世紀前半))〉
〈2013早大・政経:「
下線部5(文昭院〈=6代家宣〉)の頃に成立した文学、工芸作品はどれか。
a鈴木春信「弾琴美人」
b鈴木牧之「北越雪譜」
c海北友雪「一の谷合戦図屏風」
d狩野探幽「大徳寺方丈襖絵」
e近松門左衛門「冥途の飛脚」
(答:e)〉
●江戸時代(化政文化)
1764(明和元(宝暦14)年)〈鈴木春信、錦絵を始める〉★
Suzuki Harunobu produces full-color woodcuts (nishiki-e).
否むよ美人 春のブス。
1764年 『弾琴美人』 鈴木晴信
田沼時代の1764年、江戸の浮世絵師鈴木春信は多色刷の錦絵を創始。『弾琴美人』などの情緒に富む美人画が好評を博した。美人画は明和期の春信の後、寛政期の喜多川歌麿のとき黄金時代を迎える。
〈2013中大・法:「
問7 下線部6人形浄瑠璃や歌舞伎が庶民の娯楽として発展したに関連する説明文として正しいものにはイ、誤っているものにはロをマークしなさい。
a かぶき踊りは芳沢あやめがはじめたものである。
b 竹本義太夫、辰松八郎兵衛らがあらわれ、人形浄瑠璃の人気をもりあげた。
c 近松門左衛門は世話物のほかに『国性爺合戦』などの武家物とよばれる脚本を書いた。
(答:aロ※芳沢あやめ→出雲阿国、bイ、cロ※武家物→時代物)〉